第103話「王都での秘密がバレた!」
#第103話「王都での秘密がバレた!」
オルドの相談とは、やはり魔道具の秘密についてだった。エレンさん、そしてエリシアさんにも秘密を共有してはどうか――という話だ。
俺としてもそれについては反対はない。むしろありがたい。魔道具のことについて質問できる人が増えるのは素直に嬉しい。
まずはエレンさんに話をして、仲間になってもらえるなら、その上でエリシアさんも考えていこう。
そこまではすんなり決まった。
しかしそれで話が終わったかと思えばそうではなかった。オルドが真剣な顔をして続きがあると言い出したのだ。
「坊ちゃん、まだ話がございます」
オルドは真顔のままだった。嫌な予感がする。また俺は何かをやらかしたのであろうか?報告していない話は特にはないはずだが?
そう思っていたらオルドが続けた。
「王都での行動について、私に隠していることはございませんか?」
「えっ?」
隠していること?王都で……何かあったっけ?まあ確かに濃い経験をしたとは思うけど、やらかしは特にないはずだよな。まあ孤児院の件はあったけど、それは全てオープンにしているはずだし他にはないはずでは?
俺が首を傾げていると、オルドは淡々と続けた。
「ギルベルト様、セレナ様と共に、私は国王様に呼び出されました」
「王女ソフィア様の病状が、魔道具によって改善しているとのことでした」
……ああ、すっかり忘れていたよ、そこのことか。
俺は王女様の部屋に忍び込んで魔道具を渡したんだっけ。
なるほどね。でもなんで国王様は父さん、母さん、オルドにそのこととを話したのだろうか?謎だな?
そう考えていたらオルドが話を続けた。
「もしかして、ライゼンの弟子レイゼンとは、レオン坊ちゃんではございませんか?」
バレたか。
まあ、バレるよな。
まあいくら咄嗟の言葉とは言えあからさますぎる。ライゼンの弟子“レイゼン”なんて名乗ったら、オルドにとって候補は一人しかいないはずだ。
俺はあっさりと観念した。
「うん。そうだよ。実はあれは俺なんだ」
「父さんと母さんには……バレてない?」
「おそらくは」
(……いや、坊ちゃん、本当は完全にバレてますけどね)
オルドはバレていないだろうと言った。良かったよ。父さんと母さんにばれてないならば、特に問題はないだろう。とりあえず大丈夫だ。
「ソフィア様があまりにも可哀想だったからさ」
「魔力視認の魔道具で魔力を探して、部屋を特定して」
「それで、魔道具を渡したんだ」
あのときのことを思い出す。あんな小さな子が、あんな状態で。放っておくことができなかったのだ。
そして俺は話を続けた。
「姉さんと同じ病気みたいだから何とかなるかもしれないと思ったのだけど、魔石に魔力を貯める魔道具を付けたら楽になったって言ってたよ」
「それで病状が回復してるなら、本当に良かった。ほっとしたよ」
そう俺が言うと、オルドは深く息を吐いた。ごめんね。そう言えばオルドにだけは言っておいた方が良かったかもね。全く考えが及ばなかった。
「……やはり坊ちゃんでしたか」
「うん。ゴメン、それは話した方が良かったね」
「まあ、それはよろしいでしょう」
よろしいのか。ありがとう、さすがオルドだ。寛容だね。
だが次の話で俺は凍った。
「で、どうなさるおつもりですか?」
「何を?」
「三か月に一度、魔石を持って行くと約束されたのでしょう?」
「……あっ、忘れてた」
ああ、そうだったよ。完全に忘れていたよ。血の気が引く音がした気がした。これはまずい、さすがにまずすぎる。
俺は確かに約束したんだ。三か月に一回程度は魔石を交換しに行くと言ったんだ。王女様との約束を破るなんてあり得ない。
「どうしようオルド! 困った!」
「やはりノープランでしたか……」
前言撤回、寛容は取り消しだ。オルドは厳しいよ。確かにノープランだけどさ。ここにきて突き放すなんてあまりにも冷たすぎるよ。
ああ、どうしよう、定期交換が必要だと言ってしまった。そして三か月に一回ぐらい行くと適当に言ってしまった。あのときは勢いで言ったけどこれはまずい。
現実問題として厳しい。三か月ごとに王都に行く理由など無い。
どうする?本当にどうするんだ?俺は頭を抱えた。
するとオルドが静かに言ってきた。
「だからこそ、エレンを仲間に入れるべきです」
「エレンさんを? それって、どういうこと?」
「エレンはこちらにしばらくは定住しますが、定期的に王都へ行くと言ってました」
「その際に、何らかの理由を付けて坊ちゃんも同行されるといいでしょう」
……なるほど。
もしかしてオルドは天才かな?
まるで、こうなることを考えていたかのような対策だ。エレンさんを仲間に入れることといい考えが深い。ほんと凄すぎるよ。
素晴らしい解決策の提示、まるでのび太の前に出てきたドラえもんのようだ。
「でも、それ、父さんと母さん許してくれるかな?」
「そこは私とエレンで整えます。何らかの形でレオン坊ちゃんを王都に連れて行く必要性をギルベルト様とセレナ様に訴えます」
凄いやオルド、きっぱりで全く迷いなし。
もう俺にはオルドが輝いて見えてきたよ。もしかしてオルドは神かな?
「凄いや、オルドはもしかして神?」
「違います」
即答された。でも本当に助かった。俺一人だったら完全に詰んでいたよ。まだ大丈夫とは断言はできないけど望みが繋がったと思う。
「とにかくありがとう、オルド!」
「ならば早速、エレンさんに話をしよう!」
まずは秘密の共有、そして王都再訪の布石も打っておかないとね。俺は勢いよく部屋を飛び出し、エレンさんを探しに向かった。
「エレンさーん!」
――次の段階へ進むために。




