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辺境生まれの小さな天才魔道具師( 旧:辺境伯貴族家の息子、魔道具修理で無双し王女をも救う)【書籍化予定】  作者: まめたろう
2-5章「王都からの帰還」

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第102話「秘密の拡張」

#第102話「秘密の拡張」


 オルドに呼ばれ、俺は部屋へ向かった。相談があると言っていたけど、何だろう?やや不安だ。でも話を聞かないと分からない。まずは聞いてから考えよう。


 孤児院から引き受けた子供たちの件かな?

 そう思っていたら――


「レオン坊ちゃん。魔道具の秘密に関するお話になります。」


 ……魔道具の秘密?

 なんだか嫌な予感しかしないのですけど……今更だけど逃げ出していいかな?

 そう思っていたらオルドはとんでもないことを言い出した。


「エレンにも、私たちの魔道具に関する秘密を共有してはいかがでしょうか」


「えっ?」


 現時点では俺が魔道具の修理や開発をしているという事実は、俺とオルド、そしてライゼンだけの秘密になっている。

 そして当然のことながら、誰にも話さないという約束になっている。

 その秘密をエレンさんにも共有する?俺は素直に不思議に思ってオルドに聞き返した。


「それはなんで?」


 素直な疑問だった。人数が増えるほど秘密は漏れやすくなるのでは?すると、オルドは真剣な顔をして言葉を続けた。


「正直申し上げて、私とライゼンだけでは魔道具の知識に限界がございます」


「エレンは魔道具において私よりも詳しいでしょう」


 ……そういえば。研究しているとか言っていたな。

 ならば、確かにオルドより魔道具に関しては専門的な知識はあるのかもしれない。


「坊ちゃんの魔道具の修理や新しい開発に、その知識が生きる可能性がございます」


「ですが秘密にしていれば、エレンに自然な質問もできません」


 ああそうだ。それは確かに間違いない。

 エレンさんが魔道具に詳しいなら聞きたいことは山ほどある。でも俺の魔道具に関する秘密を隠したままだと、どうしても質問が不自然に不明確になる。そして具体性に欠ける質問にもなりそうだ。

 エレンさんも、そんな具体性の無いあいまいな質問は答えづらいだろう。いろいろと質問をするならば、秘密を共有した方がいいに決まっている。


 俺は少し考えた。確かに人数が増えるとリスクは増える。でも、使える知識が増えるのも事実だ。

 しかもエレンさんは既にかなり怪しんでいる気もする。さっきも、うろちょろ、ソワソワしていたんだよね。


「……そうだな」


 エレンさんには俺の魔道具関連の秘密を共有した方が良さそうだ。ただし条件がある。


「父さんと母さんには内緒ってことも、ちゃんと伝えないとね」


「それはもちろんでございます」


 父さんと母さんに内緒にしてもらえるならば、エレンさんと秘密を共有するのはありだろう。オルドの後輩だし信頼もおける。

 でも、オルドはさらに続けた。


「可能であれば……エリシア様にも秘密を共有する仲間になってもらうといいと思います」


「え?」


 これは予想外だ。エリシアさんをも仲間に?それはどういうことだ?


「エレンとエリシア様は親しいご様子」


「エレンだけが秘密を知れば、不自然さからエリシア様に気付かれる可能性がございます」


 なるほど。

 確かに、エレンさんが妙な態度を取れば、エリシアさんは察するかもしれない。二人はかなり仲が良かっただけに、すぐにバレそうだ。そして言っちゃ悪いけどエレンさんはその辺り、不器用そうな気がする。秘密を抱えたら言動が不自然になりそう。


 だから下手に隠すくらいなら、最初から共有した方がいい。

 そういう理屈か。

 そう言えば、エリシアさんも学園では優秀だったらしい。基本的には魔法専門だとはいえ、魔道具の基礎知識もあるはずだろう。

 質問できる人数が増えるのは、正直ありがたいところだ。エリシアさんも秘密の仲間に入れるといいと思う。

 なんだか秘密の仲間というのも響きがいいよね。


「ということは……」


 俺は指を折る。まずはオルド。そしてライゼン。更にエレンさん。そしてエリシアさんの……四人か?


「四人で秘密共有か」


 なんだかいい響きだ。まるで四天王みたいではないか。


「ふっ……私は四天王の中でも最弱……」


 とか誰でもいいから言わせてみたいよな。頼めばやってくれるかな?

 でも誰に言わせる?現時点ではライゼンがやってくれる可能性は高いかもしれないな。あいつは大人のくせに「自分は剣聖と呼ばれてました」とか言う中二病だし。


 それともオルドかな?でもオルドはあんまり似合わないかな。すると、エレンさんか?でもエレンさんは何か違うような気がする。

 そしてエリシアさんは絶対言わないタイプだな。真面目そうなんで確認するのも躊躇われる。

 などと、どうでもいい妄想をしていたら――


「坊ちゃん」

「この話は遊びではございません。重大な話です」


「あ、はい」


 オルドの低い声で現実に引き戻された。おっと危ない。肝心な相談について考えないと!

 しまったな、四天王とか考えてちょっと楽しくなっていたよ。

 でも、オルドの言う通りちゃんと考えないとね。確かにこれは大きな決断だ。


「……分かった。エレンさんには話そう」


「エリシアさんについてはエレンさんに相談し、良さそうならば秘密を共有しようか」


 俺はそう決めた。とりあえずは四天王(仮)、結成になりそうである。いろいろなことを聞ける仲間が増えるのはいいことだ。

 これで俺の日常は更に充実しそうな気がする。

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