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動物病院日誌   作者: じょんどぅ


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雨の日の散歩・メンタルケア、あるいは家の中の冒険

雨の日の散歩・メンタルケア、あるいは家の中の冒険


### 1. 窓の外を恨めしく

六月の終わり。連日の雨で、京都の鴨川も水嵩を増しています。診察室にやってきたのは、元気が有り余っているジャック・ラッセル・テリエの「ハチ」君と、少々お疲れ気味の木下さん。

「先生、もう三日も散歩に行けてなくて。ハチが家の中でずっと走り回って、家具を噛んだり、夜中に遠吠えしたりするんです。雨の中連れて行くと、泥だらけになるし、後の手入れが大変で……」


ハチ君は診察室に入るなり、僕のズボンの裾を引っ張って「遊ぼうぜ!」とアピール。溜まったエネルギーが全身から溢れ出していました。


### 2. 「歩くこと」だけが散歩じゃない

「木下さん。犬にとって散歩の目的は『運動』だけではありません。五感を使って情報を得ること、つまり**『脳の刺激』**がとても大切なんです」




「外に行けない日は、お家の中で**『鼻』を使った遊び**を提案してみてください。実は、15分の全力疾走よりも、15分の鼻仕事ノーズワークの方が、犬は心地よく疲れると言われています」


### 3. 室内でできる「メンタル・デトックス」

1. **宝探しゲーム:** 大好物のおやつを、空き箱やタオルの中に隠します。ハチ君のような狩猟本能が強い子には、これだけで最高のアトラクションになります。

2. **知育トイのフル活用:** フードを転がさないと出てこないおもちゃなどは、集中力を高め、イライラを鎮める効果があります。

3. **「雨の日限定」のコマンド練習:** 普段はしない「マットへ行く」「物の名前を覚える」といった新しい芸に挑戦する。飼い主さんとの密なコミュニケーションが、孤独感や不安を払拭します。


### 4. 雨上がりの「水たまり」に潜む影

「先生、でも少し小雨になった隙に行っちゃダメですか?」という木下さんに、僕は一つだけ注意を付け加えました。




「散歩自体は悪くないですが、**雨上がりの水たまりや土手**には気をつけてください。ネズミなどの野生動物の尿を通じて**『レプトスピラ症』**という重篤な感染症(人獣共通感染症)の菌が潜んでいることがあります。水たまりの水を飲ませないこと、帰ったら手足をしっかり洗って乾かすことが鉄則です」


### 5. 雨音を楽しむ余裕

「……鼻を使う遊び、早速やってみます! ハチ、今日は家の中で宝探しだぞ」

木下さんの言葉に、ハチ君は首を傾げて尻尾を振りました。


「先生、お疲れ様です。……雨の日は、飼い主さんの工夫次第で『絆を深める日』に変わるんですね」

河野が、退屈そうにしていた看板猫・みたらしに、そっとおやつ入りのボールを転がしながら言った。


「そうだね。外に行けないことを『制限』と捉えるか、『新しい遊びのチャンス』と捉えるか。その心の余裕が、動物たちのメンタルヘルスには一番効くんだよ」


窓を叩く雨音を聞きながら、ハチ君は意気揚々と診察室を後にしました。

梅雨明けまであと少し。家の中という名の冒険が、今日から始まります。


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