月齢3 ろうふうふ
嫗は、自分の想像よりも簡単に存在を受け入れてくれた。多少嫌がるかと思われたが…
(いや、物凄く喜んでない?)
嫌がるどころか、歓迎してる様に見える。にこにこと、柔らかい笑みを浮かべ、自分の口に食べやすい粥を運んでくる。まだ、あーとか、うーとかくらいしか言えないかぐやにとって、過ごしやすい以外の何ものでもない。のんびりと寝て、食らうだけの生活を悠々自適に過ごさせてもらうことにする。
……
翁に拾われてから、一月程経った。いや、養父の方が正しいかもしれない。かぐやは話し、走り回れる程度まで成長した。最近は養父と色々話すのが日課だ。
「とーさまぁ」
竹を取りに行こうと準備している養父の元まで駆けて行く。
「どうしたのかい?おうぎ」
養父母には話せる様になってすぐ、『おうぎ』という名前だと言った。字はもう少し後に伝えるつもりだ。
養父は頭を優しく撫でてくれる。温かくて、今までの苦労がわかる。働き者の手をしていた。膝を折っておうぎの視線に合わせてくれる。
おうぎは後ろに隠していた養母から預かっていた握り飯と竹筒を渡した。竹を取りに行く時、朝日が登り始めてから日が沈み始める夕方まで養父は出かける。
「ありがとなぁ、おうぎ」
養父は頭を撫でてくれる。かぐやはにっこりと笑って返す。
「それじゃぁ、行ってくるよ」
「いってらっしゃい、気をつけてね」
そう養父母の会話を聞きながら、おうぎは手を振り、見送った。




