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夏だ!ロマンだ!!冒険だ!!!

もう夏休みが始まる頃ですね。翼達の世界でも夏休みが始まったみたいです。

「〜というわけで、皆さん、ルールを守って過ごしましょう。」

私の名前は雲井翼。只今終業式の真っ最中だ。しかし、過去に戻ってからの生活も早いもんで。もう3ヶ月が過ぎたらしい。時の流れは早い。

その日も学校が終わったあとは秘密基地で皆で駄弁っていた。ちなみに今日は給食がないのでお昼代持参だ。

私たちはステレオタイプ的な優等生の定番である『宿題?あぁそんなの僕は1日で終わらせたよ。君たちはまだ終わってないの?wハッまあ頑張り給えよw』というようなシーン再現すべく1日で宿題を終わらせようとするが…

「はぁ~宿題終わらないね。」

「ですねぇ…」

昼食を食べ終え早30分…宿題が終わる様子もない。

「やっぱ不可能ですよ一日で宿題終わらせるのは」

優李ちゃんは鉛筆をくるくると回しながら悲観的に答えた。

「そもそも、優等生はどうして日記まで終わらせることができたのでしょうか?」

太陽くんの疑問も最もである。日記まで終わらせるのは不可能に近い。

「確かに、それはそう。」

「未来予知でもしたんじゃないですか知らないけど」

美音ちゃんが伸びをしながら答えた。

「んなのできたら苦労しないんだよなぁ…」

「だねー」

会話をしながら続けること約1時間…

「あ、わたしドリルの22ページやっと終わった…残り半分…」

「先輩まさか答え丸写ししてます?」

太陽、なぜわかった。

「バレなきゃ犯罪じゃないんだよ。」

「まぁ私達未来人ですからぶっちゃけ宿題なんてやっても意味ないんですけどね!」

「そーだよそーだよ美音ちゃん、よく言った。大体世の中出たら答え丸写しのスキルのほうが役に立つんだもんこれもれっきとした宿題さ。」

「暴論だ…」

さらに30分後…

「よし、何とか30ページまで終わらせた…。」

ここからは急激に10問や4問の応用が多くなる。

20分後…

「算数ドリル…終わりましたァ!!!イヤッハァァ!プルルルルルル!」

「先輩が壊れた!そして私も終わった。」

「俺も。」「私も。」

「さーてと、次は漢字練習…つってもこれはだいたい1時間で終わるんだけどな!」

「ホントですか?」

「うん。」

1時間後…

「終わった!」

「私まだです…。先輩は次何を?」

「読書感想文片付けよっかな。」

「そういや先輩どんな本で読書感想文書こうと思ってます?」

「『情報』と紛争」

「意外と難しそうな本読むんですね」

一度アニメ化されてるんだけどな。太陽くんが知らないってことはまださほど有名じゃないのか…?

「そうだろうそうだろう。てかこれ一回は名前を聞いたんじゃないか?」

「先輩、1ついいですか?」

「何でも聞いてくれたまえ美音ちゃん」

「もしかして、本読まずにアニメだけ履修してその内容だけで書くk」

「さぁ早く書き始めないとな!早くしないと夏休みがおわっちゃうからな!えぇと…書き出しはっと…『メディアが常に監視され、不適切とみなされた創作物は検閲される。そんな法律ができたことにより表現の自由がなくなった世界を貴方達は想像できるだろうか。この小説の世界観は今現在から見て、起こり得る世界だと私は思う。』て感じでどうかなァ!」

「あの、先輩、誤魔化してますよね」

「ワタシ、ゴマカシテル、チガウ。」

「なぜ急にカタコトに?」

「てかそういう美音ちゃんは何で書く気なの。」

「私は幽霊マンションの華麗なる毎日で。」

「あんたもアニメ化された本選んでるじゃん。ちなみにどのキャラが好きなの??」

「そりゃもちろん竜さんですよ。かっこいいじゃないですか。」

「私はね〜鳥が好き。」

「鳥かい。」

「オハヨウ」

「似せないでください笑えるんで」

「ソウダネピヨ」

「だから似せないでください。」

「そういや、太陽くんは何で書くの?」

「ビリーペーターシリーズのうちのどれかにします。」

「お、いいねぇ。てかあの本分厚くない?」

「一回読んだことあるんで。」

「その年でそれは流石だよ。で、何の話で書くの?」

「尊者の宝石で。」

「あーあのラスボスが頭の後ろにも顔がついてるやつね」

「どんな覚え方ですか」

「フライデー・ナイトファンタジーでやってたの見たもん」

「んで、頭の後ろにも顔がついてるのが面白かったと。」

「うん。あと変な味のキャンディーがあるんだよな」

「バラエティビーンズですね。草味とかゲロ味とか絶対食べたくない…」

「あれの変な味ないバージョンみたいなお菓子見かけたことある。」

「マジですか」

「うん、ショートケーキ味とかアップルパイ味とか美味しそうな味はあれどそんな不味そうな味はなかったな。…ちなみに優李ちゃんは、何で書くの?」

「箪笥の国の物語ですかね」

「あ~あれね!あれに出てきたお菓子…ギモーヴだっけ?食べてみたいやね。」

「わかります!もちもちしてておいしそう…」

「てか戦う子供ってかっこいいよね。」

「ですよね!冒険憧れます。」

「無茶はほどほどに。」

「はーい…」

こうして4人は読書感想文を書き始めたが…

「あ゛〜それにしても平和だな。今日も。」

「ですね。」

「平和すぎるのもあれだしなんか刺激が欲しくないか?」

「それこそ冒険がしたいですよね。」

「そう!それ!でもどうやって?」

「隣町とか目標決めて行ってみますか。」

「いや、もういっそのこと行けるところまで行こう。」

「うーん…でも親から許可が出ますかね…?」

「それもそうか…」

「とりあえず今やってる宿題が終わったら親に許可取りますか。」

閑話休題。4人は自由研究と日記を除いたすべての宿題を終わらせたのだった。

こうしてそれぞれ許可を取りに行くこととなった。

「許可出ました」「同じく」

「最初ダメって言われたんですが宿題終わらせたっていうのと中身中学生だからっていうのと周りには夜まで塾行ってる子もいるという理由でなんとか許可貰えました。」

「頑張ったね」

「先輩はどうですか?」

「家に門限は存在しない」

「マジですか?」

「寧ろ行ってこいって言われる」

「うわぁ…」

「親父がよくこういう冒険してたみたいだからね。」

「へぇ~」

「緩いんですね。」

「いいなぁ〜!」

「で、冒険にはいつ行く?待ち合わせどうする?」

「明日から空いてます」

「私も」

「俺もです」

「オッケー明日ね。」

「待ち合わせは11時に秘密基地でどうでしょうか?」

「いいね。」

「じゃあそれで。」

「お昼ご飯どうします?」

「お弁当持ち寄るかコンビニで買いましょう」

「お小遣い的に大丈夫かなぁ…」

「大丈夫大丈夫。この時代のコンビニ弁当はさほど高くないはずだから」

「最悪ショップ100かエオナ探せばいいですからね。」

「だね。あそこ何でも100円だからね。」

「てか秘密基地の近くにあったよね」

「いっその事今日買っちゃいます?」

「それもそうだね。」

「ところでおやつどうします?」

「おやつは300円まで。お小遣いは1500円を限度額としよう。」

「「「はーい」」」

財政事情的にそれはアリなのか、という疑問もあると思うが、夏休みと言えば親戚からのお小遣いであり、そもそも彼らは未来人であり、お小遣いもまぁ少し多めの量ではある。あと小学生の特権によりお手伝いをするとたまにお小遣いが貰えるのでそれを貯金している。そして普段からある程度節約して使っている為余ってはいるらしい。ちなみに、お年玉もまだそこそこ残しているとのこと(翼は即使い切ったらしい。)小学生、最高だな。

「バナナはおやつに入りますか?」

太陽、それは定番すぎる質問である。

「バナナは入らない。というか市販してるお菓子以外はおやつに入らん!」

まあ、抜け穴は万全に設けておこう。

「いえーい!!」

「それじゃ今日は明日に備えて、解散!」

こうして各自お菓子やご飯を買って帰った。

翌日…真っ青な空に照りつける太陽。それは夏の冒険への旅立ちのその時にぴったりだと言えるほどの晴天である。やっぱり天気は晴れでなくちゃね。

「はい、みんな集まったね。美音」

「いまーす」

「優李」

「います」

「太陽」

「います。」

全員いることが確認できた。

「お小遣い持ったね。」

「とりあえず1000円くらい持ってきました。」

「同じく。」

「僕は900円位ですかね。」

「使いすぎないようにね。」

「先輩じゃないので大丈夫ですよ。」

「おいこら」

「よし、じゃあ…」

「「「「出発!!」」」」

それと同時に自転車を走らせる。これから始まる冒険譚に小学生四人は胸を弾ませていたのだった…。

「とりあえずバス通りに沿って行ってみるか。」

「了解〜」

普段はよく乗るバスだが、自分の家の近く以降はあまり行ったことがなかった。故にその先が気になったのである。しばらくすると公園を通り過ぎ、その先でバス通り沿いにずっと行く…が、バスの終点で旅を終えてしまうのはいささか心苦しい。

「あ、どうせならここ左に曲がろうよ!」

しかしながら近くに薄暗く少しオトナのお店っぽい看板が増えてきたので私たちはそれを避けて曲がった。

小学生が大人の街に入るところなんて大人に見られようもんなら問答無用でお巡りさんのお世話になることまちがいなしである。

すると…

「うわぁビル街が見えてきた…」

「私たちちょっとかっこいいかも。」

「これがRPGで二番目の街に来たときの勇者の気分かぁ」

「なんですかそれ」

「RPGではだいたい二番目の街はすごいでかい港町なんだよ」

「へー」

興味無いなこいつ

そして気がつけば私たちはでかい駅の前に来ていて、目の前にはでかいビルがある。

「なんかすごいでかいビルが目の前にある…」

「よし!入ってみよう!」

「自転車どこに止めるんですか」

「その辺に駐輪場か何かあるでしょ。」

「あった。」

「んじゃそこで。」

自転車を留めた私達はビルの中に入っていった。

「すげえ…大人のビルだ…」

「…とはいえ、お小遣いあんまり持ってないですよ。どこ行きます?」

「このビルゲーセンあるかなぁ…あったあった。」

「先輩、流石にそれはまずいですよ。」

未来人だから行っても良いのでは…と思う人間もいそうだが、忘れてはならない。コイツラ外見は小学生である。なので未来人を許してしまうと「俺未来人です。証明書忘れました」と言い張る小学生や「保護者ついてます!」と言って未来人を連れてくる小学生(たまに他の小学生の証明書を借りる悪質なパターンも)

が出てくるため未来人であろうとカラオケやゲーセンのルールは小学生と同じなのである。尚、エオナのドーリーファンタジアはそもそも子供向けのため話は別である。

「冒険とはそれはマズイを多少犯すことに意味がある」

「暴論だ…(2回目)」

「でも、子供だけでゲーセンとかワクワクしますね。」

唯一肯定してくれたのは美音ちゃんである。

「よし、行くぞ…。」

エレベーターに乗り目的地を目指す。

「5階です」

エレベーターの扉が開き、ゲーセンに着いた。

「私達は今…盛大な冒険を成し遂げようとしている…」

「そうですね…」

「ここから一歩歩けばそこは…」

「普通なら補導員という名の敵がうじゃうじゃいる魔王城みたいなもの…」

「そのはずが…今は…」

「そんなの一切いない!よっしゃ遊ぶぞー!!」

「私あのフィギュア取れるクレーンゲームします」

「じゃあ俺は飴すくうやつで」

「私も〜」

「誰か太鼓祭り一緒にやろー」

「あ、フィギュア取れなかったんで私やります」

みおんが ぱーてぃーに くわわった。

優李ちゃんと太陽くんは飴すくうやつ、そして美音ちゃんと私は太鼓祭りを一緒にやったのだった。

数分後…

「噂の二人だってさ!」

「ここまで行けたの初めてかもです。」

総合成績発表では噂の2人という評価が出た。このゲームを極めたマツラーではない私達にしてはよくやったほうだと思う。

「普段やんないもんね」

「ですね。」

「あ、じゃあ次は飴すくうやつやろ!」

「いいですね〜…あ!あれってパケモンのブラックィですよね…うわぁ取りたい…」

「…取ってあげよっか?」

「いいんですか!?」

「うん。私これ得意なんだよね…ちょっと待って…まずこの宝石共が多そうなところ狙って…機械が後ろに行ったところでそれ!」

「あ!ブラックィが動いた」

「よし、もう1回で行けそう」

「同じように…あぁ今回2個か…大して動かなそうだな…」

実際、大して動かなかった

「よし…もう一回!」

みおんは ぶらっくぃを てにいれた!

「…よっしゃ!取れた!」

「おぉ…!ありがとうございます!」

「さて次は…あ、あのコスメのやつかわいい。よーし…あのコンパクト狙ってみるか…」

そう言って私は百円玉を入れた。しかしやはり手ごわい。数百円使ったがなかなか取れない。後副産物で色付きリップが取れた。そしてしばらくすると…

「色つきリップかチークを狙ってすくって…お、行けそうだ。あ!やった!落ちた!わーい!よっしゃ!うわー可愛いこのコンパクト!」

つばさは、でんせつのこんぱくとを、てにいれた!

と、その時、後ろから肩を叩かれた。

「何だよもう!それよりも今、コンパクトが取れて最っ高のきぶ…え?太陽じゃない?」

そこには太陽はいなかった。

「おかしいなぁ。確か小学生は未来人であってもゲーセンに子供だけで入っちゃいけないルールだったはずだけど。」

「そうそう。まさか君が誘ったの?いや~翼ちゃんはそんなことするはずないよ〜」

「でもここにいるのは事実だよね。」

「そうだねぇ…」

ふたりの しかくが あらわれた!!

「…お前は…夏月くん…と、誰だっけ?」

「林田蒼だよ。忘れちゃったの?」

じんぶつずかんに はやしだあおいがとうろくされた!!

どっかで聞いたような…?あ、思い出した!あの時病院で会ったあの子!そっか林田って苗字だったのか…フルネームで聞くと同級生に同じ名前の人居た…気がする。

「あ、あぁ…そんな人いたな…って!そうじゃなくて!私はただ迷ってたどり着いただけだから!!無実!」

「さっきまでコンパクトを取ろうと夢中になってたじゃないか。」

「あ、あれは…その…えっと……美音!太陽!優李!…刺客に見つかった。逃げるよ。」

つばさたちは にげだした!という感じで私達は刺客から逃げることになった。

「あ、待ってください!」

「置いてかないでください!」

「あ、色々すみません!それでは!」

「待て〜〜!」

「逃さないよ。」

「チッ…こうなったら4手に分かれて走ってうまく撒くよ!」

「え、でも」

「後でこのビルの前で落ち合おう」

「…わかりました!」

私達は4手に分かれて走った。…しかし私は失念していた。ここから一歩何処かに迷い込めば大人の街だということを。

治安の悪い通りに出てしまった翼をガラの悪い男達が見ながら話していた。

「なぁ…あれって小学生だよな。」

「なんでこんな場所を…?」

「…ちょうどいいや。俺ちょうどそういう気分だったんだよな。」

「俺だって金欠だしな。小学生相手なら簡単に奪えそうだ。」

どうやら男達は私が知らない間に私に何かしようとしていたらしい。雲井翼、ピンチである。

「お嬢ちゃんどこから来たの?」

数人の男のグループのうちの一人からいきなり話しかけられた。

「え?あ、ええと…」

「ここら辺くるの初めてでしょ。オニーサンが案内してあげるよ。」

そう言うと男のうちの一人が手首を掴んでくる

「あの、待ち合わせしてるんでホント大丈夫です。」

しかし手を離す様子がない

「いいからいいから」

「いや…えっと…あの…」

断れないでいると男は声を荒げた。

「いいから来るんだよ!」

「いッ!!」

さっきの男に無理やり引っ張られようとしたその瞬間ドゴォッ!と音がして私を連れてこうとしてたバカ男が後ろに倒れ込んだ…衝撃で自分も後ろに吹っ飛んだ。ケツ痛え。てか痛いッ!って言おうとしてたところで吹っ飛んだから私「いっ」としか言ってなくね?

「あ、あの…」

いきなり手をつかまれ(本日二回目)その場から走り去る羽目になった。自分の手を掴んでる奴をよく見ると…

「嘘…もうここまで…?」

そいつは撒いたハズの夏月くんだった。雲井翼、本日2回目のピンチである。

しばらく手を引かれながら走ると、先ほどのビルの前に後輩達と林田蒼が待っているのが見えた。

「みんなごめんね待たせて。」

「ほんとですよ!!」

太陽、ごめん。

「どこ行ってたんですか?」

迷子になってたの。ごめん優李ちゃん。

「まさか襲われてたとか…?」

美音ちゃん、図星をつくのはやめてくれ。

「詳しくは後で話すよ。」

どうやらさっきのロリコンの風上にも置けない男たちが追っかけてくる心配はないらしく、先程のビルの前で安堵した。

聞くところによると、蒼くんと夏月くんが目撃者としてその辺の大人や警察に事情を伝え、現在そいつらは事情聴取を受けてるらしい。この2人には先生から危ないことはするなという諸注意+お褒めの言葉があるんだろうな…

「知らない人のフリするの大変だったんだからね。」

その後2人の案内で広々とした公園にやってきてお昼タイムにしている。

「その節はどうも。この恩は多分返しきれないかと。」

「じゃあ持ってきてるおやつお礼としてちょっとだけちょうだい」

おやつ…そうきたか。まあそれで済むならそれでいいけど。

「うん。どれがいい?」

「じゃあこれで!」

そう言うと蒼くんはロールキャベツ太郎を持っていき、

「僕はこれで。」

夏月くんはミニドーナツを取っていった。それいいよね。私も好き。

「それで、君達は何故学区外にわざわざお金を持って遊びに来たのかな?」

そして私は夏月くんに説教されていた。

「…夏の冒険ってやつだよ。こういうことって小学生のうちしかできないからさ。」

「ふーん。それで君は自分や仲間が襲われたり誘拐されたりしてもいいんだね。」

「そんなワケないじゃん!」

「でも結果的に君はどっちもされかけたよね。」

「いや…でも私逃げられたから!」

「逃げる度胸もなかったくせに?実際君は何もできていない。」

「そ、それは…」

「冒険だなんてバカみたいなことしてる暇があったらもう少し有意義なことしたら?」

「思い出にはなるでしょ!」

「悪い思い出になったら無駄だと思うけど。というか君はそういったリスクも考えずに思いつきだけでこの杜撰な計画を立てたわけだ。はっきり言って君のやってる事で得した人いないと思うけど。」

「そんなことないもん」

「じゃあ結果は得られた?計画思いついたとき皆いいと思うって言ってた?少なくとも僕ならそんな事は考えないし考えたとしても打開策まで考えるけど。君が向こう見ずに突っ走った結果大事になったらどうするつもりだったの?それもちゃんと考えた?」

「…」

「話にならないね。もう冒険なんてやめて帰りなよ。」

「そんなことって…」

「正直言って君がこれ以上無意味なこと続けたって無意味なままだし、さっきの事だって君が冒険なんていいながら馬鹿なことするから起こったようなものだよね?違う?」

「いや…だってそんなこと起きると思わないじゃん」

「そもそも、君たちがやってることって冒険じゃなくてただ単に学校から出た夏休みの過ごし方のルール破ってイキってるだけだよね?青春漫画みたいなのに憧れてやったと思うけど実際そんなことしたって青春でもなんでもないと思うけど。現実と妄想の区別ついてる?」

流石にそこまで言葉責めにしなくたっていいだろ…傷つくぞ…ていうかあんた、私の何なのさ。

しばらく埒のあかない言い合いをしていると美音ちゃんたちが口を開いた。

「あの…」

「確かに言ってることはわかりますが…」

優李ちゃんまで…

「もう少しオブラートに包んで言ったほうがいいと思います。」

太陽くんも…

「おくすり飲めたねは大事ですよ。」

美音ちゃん…言ってもらって申し訳ないが…その例えってわかりやすいのか…?

「皆…」

私はいい友達を持ったなぁ…

「あぁごめんね。こいつちょっとおかしいところあるから」

そして蒼くんはもう少し友情を重んじてくれ。さすがにそれは向こうも傷つくと思う。まぁ変人の私から見てだいぶおかしいとは思うけど…

「ちょっとおかしいって…」

「こいつが初恋の人事故で亡くしてるっていうのは知ってるかな?」

「知ってますけど」

「その事故で亡くした初恋の人が君みたいな性格なんだよ。」

あ、そうなの…なんかごめん…すっごい空気重い。

「彼女が死んだとき結局こいつ何もできなくて、それ以来君みたいな性格の子を見ると彼女と重ねちゃって…どれだけ傷つけたとしても今度こそ守れるようにって必死になってるんだよ。」

守りたいからこそ傷つけてしまう…ってそんな大きな矛盾を抱えた憎めない哀しき悪役(しかもビジュアルがいい上に一途なのでので女子から人気が出る上、死んだ恋人とのエピソードの後はネットのサイトに死んだ恋人とのカップリング小説が大量発生する)みてえなやつがこんなギャグコメディの世界にいてたまるか。

「しかも君…目元や顔つきも初恋の人によく似てる。よほどほっとけなかったんだろうね。」

そんなアニメみたいな感動裏設定がこんなギャグコメ小説にあってたまるかよ。私まで泣けてくるじゃねえかよ。ちくしょう。

「…なんか…その…ごめんね。」

「…言っとくけど、僕は悪かったって思ってないから。そもそも全部正論だし。」

…しんみり。

「あ、そうだ!どうせならさ、この辺君達が案内してよ!」

「へ?」

「だって、知らない地域のことはそこをよく知ってる人間に聞くのが一番でしょ?それに…」

「そんなに言うならいざって時はあんたが守ってくれれば良くない?」

「うっわ…」

「先輩…」

「ん、どうかした?」

「翼先輩の事今日から無自覚告白魔先輩と呼ぼう」

「じゃあ私もそう呼びます」

「おいこら。」

バカにしてんのか、後輩達よ。

「それで、案内してくれるの?してくれないの?どっち?」

「そりゃもちろn」

蒼くんが答えてる途中で食い気味に夏月くんが答えた。

「するに決まってるでしょ。あとそういう一言、他人の前であまり言わないほうがいい。」

「何だよ皆して。」

なんやかんやで皆してこの辺を見て回ることにした。

なかまがふえた!つばさはレベルがあがった!つばさは『ころしもんく』をおぼえた!

「…あれで自覚ないとか…君ほんと馬鹿だね。」

その後、自転車で走りながら彼らと会話をする。

「うっさいわ。バカって言うとカバと結婚することになるんだぞ。」

諸説あり。

「少なくとも君はカバじゃない。」

…聞かなかったことにしよう。

「んー?なんて言ったの?誰がカバだって?」

「別に。」

「よし今度から俺も翼先輩のことを鈍感ヒロイン先輩と呼ぼう」

蒸し返すな。さて、しばらく進むと

「ここをずっと行くと公園あるから。」

「どんな?」

「なんかよくわからない遊具ばっかりある」

「あー…大人がよく使うやつね」

「そうそれw」

「当たった。」

「あと、すごい広い公園も近くにある。」

「どれくらい?」

「東京ドーム10個分くらい」

「嘘つけw」

「ばれたか。」

公園に着いた私達は自転車を留めた。

「公園の向かいに駄菓子屋あるからついでに一緒に行こうよ。」

「行くわ」

こうして駄菓子屋に行くことになったが…

「待って、車来る。」

「おっと…ありがとう。」

気まずい!すっごい気まずい!自分から言っておいて難だがかなり気まずい。だってさっき大喧嘩(というより一方的に理詰めにされただけだが)した直後にこれよ??気まず過ぎて私死ぬよ?

「!おい、後ろ!」

「ん…?あ、車…」

違う意味で死ぬところだった。それにしても今日車多いな。いや私が気まずすぎてボーっとしてるからかもだけど。なんて考えていると…

「…ん。」

不意に夏月くんがいきなり手を差し出してきた。

「へ?」

「危なっかしいから。」

どうやら繋いでおけということらしい。お前はカンタか。

「ん。ありがと。」

「あれー?お二人さんお似合いな感じ?」

「こいつよっぽど私が危なっかしいみたい。ついに幼児扱いされちゃったよ。」

「いやたぶんそんなことないよ。」

「幼児は君ほど生意気じゃない。」「最近の幼児って下手すると私より生意気なんだよ知らないの?」

「そうなの?」

蒼くんが食いついてきた。

「うん。あいつら幼稚園生だってのに彼氏の話し始めるんだよ。エグくね?」

「最近の幼児ってませてるね。」

「まあねぇ…」

和やかに手を繋いで話しながら進んでいく翼達を後輩達は微笑ましいような焦れったいような面持ちで見ていた。

「先輩鈍感にも程があるよね。」

「わかる」

「手を繋ぎたいなんて言ったらもう完全に『この子は僕が守ってあげなきゃ』か『好きだから手繋ぎたい』かのどちらかなんだよなぁ…」

「んで、先輩は完全に前者だと思ってるし、幼児扱いされてると思ってると。」

「実際前者半分後者半分くらいなんだけどね。」

「え、そうなん?」

「ここに鈍感第二号いますね。」

「いますね。」

しばらくして駄菓子屋に着いた。周りを見ると見るといかにも子供向けかのような良い感じにレトロなほのぼのとした雰囲気。そして店の前にはあまり見かけないゲームが置いてある。

「これやってみよ。」

「私駄菓子買おー」

「あ、じゃあ私もー」

「俺もー」

「僕も駄菓子買おうかな。」

やってはみたが、どうしても小銭が思うように動かずうまくいかない。

「貸して。こうやるんだよ。」

夏月くんがやると驚くほどうまくいった。うーんさすが地元っ子。

「あ…」大当たりだ。見事に。

「今回ちょっと調子が良かったたけだから。」

「それにしたってすごくね?」

「別に…。はい、これ。」

「へ?くれるの?」

「別に何回も当たってるし。」

「あぁ…うん。ありがとう。」

開けてみると中から「アイス」と書かれた紙が出てきた

「それ、レジに持っていって。」

「わかった。すみませーん。あの、これゲームで」

すると店員さん、券を見て

「はい。アイス券ね。そこから好きなアイス持ってきて。」と言った。

「どれにしようかな…あ、これにしよ。」

その日は丁度暑かった為、棒付きの大きいアイスにした。

「毎度あり。」

先程のアイス券はタダでアイスを貰える券だったようだ。

「いただきまーす」

暑い日にはやはりアイスバーに限る。

「うーん、うまい!冷たい!」

「そう。それはよかったね。」

「…一口食べる?」

「いや大丈夫だって」

「いやだってこれもともと夏月くんが当ててくれたから食えてるわけじゃん」

「じゃあ一口。」

そう言うと夏月くんは私のアイスを一口食べた。

「うん。うまい。」

でしょうね。

しばらく食べ進めていくと棒に何やら字が書いてあるのがみえる。

「一…本?」

これはあれなのか!?あれなのか!?

「当…?た…り…?」

一本当たり…

「当たった…当たった…!わーいやったー!!アイスが当たったー!!」

「そんなことで嬉しいの?」

「嬉しいに決まってるっしょ!?」

そう言うと私は駄菓子屋のおじさんのところへ駆けて行き

「すみません。アイス、当たりました。」

「おぉ、おめでとう。じゃあ好きなのあそこから取ってって。」

そう言って冷凍庫を指差したので適当なアイスバーを取る。

そして取ったところでふと思いついた。これ、夏月くんにお礼としてあげたほうがいいよな…

そして元の場所に戻ると、夏月くんが待っていてくれた。

「これ。夏月くんのおかげで手に入ったアイスが当たったから。あげる。」

そう言って私は夏月くんにアイスを渡す。

「…ありがとう。」

夏月くんは一瞬驚いた顔をした後礼を言った

「そういえばさー、夏月くんの初恋の人ってどんな人だったわけよ?」

「…君みたいな人だよ。」

「やっぱそうなの?」

「うん。君みたいに子供っぽくて馬鹿な人だった。」

「あんた、馬鹿な人間がタイプなの?変わってるね。」

「誰もそうとは言っていないよ。でも…その人は馬鹿で、目立ちたがり屋で、いい加減ではあったけど、明るくて、なんやかんや仲間思いで慕われていた。それに…みんながみんな放って置かなかったし、放っておけなかった。言動が庇護欲をくすぐるんだろうね。」

妙に具体的やな。それに、そんな女身近にいたらムカついてムカついてしょうがないと思う。

「男にはモテそうだけど女から目の敵にされそう。」

「その子女子からも世話焼かれてたよ。可愛いとかよく言われてた」

「女子は何にだって可愛いって言うんだよ…」

事実、翼はゲームに出てくる筋骨隆々の男にさえ可愛いと言ってしまったことがあるのだ。

「じゃあ君は嫌いな相手に世話焼きたいと思う?」

「見ててイライラするんじゃない?ほら、あの、よくあるゲームの広告とか?見てるとイライラしない?それ、明らかに間違ってるよ!私のほうがうまくできるのに的な感じで。」

「イライラした様子はなかったね。それに君はそれで広告に対してかわいいって言ったことある?」

「ない。はよ動画見せんか!なら言った」

「それは誰でも言うでしょ。」

「それで、結局その子ってよっぽど変人だったんだね。」

「…まあね。」

……………

…これは僕の数年前の記憶だ。

「先輩、やっぱり空野先輩のこと好きなんでしょ」

やっぱりか…。楽器の音が聞こえないと思って来てみればやはりというか…個人練習の時間だと言うのにガールズトークの真っ最中である。

「好きとかじゃないって!!ホントに!!」

「じゃあ何ですか?」

「どうってそりゃ特に関わりのないクラスメートだよ。」

あれだけ世話をかけておきながら関わりのないクラスメートだとは心外だ。

「へぇ~その割にはいつも見てますよね。」

確かに視線は感じる。

「そんなことないよ!」

「先輩にやけてますよ」

「ニヤけてない!」

明らかに口角が上がっているのが前の棚のガラス張りの扉に反射して見えている。

「耳赤いですね。」

「うわーー!!てか、そういう果穂ちゃんこそ好きな子いないの?」

耳をふさいでも赤いのは変わらない気がする。

「わたしはいませんよ。」

「嘘だぁあんた絶対ムカイダの事好きでしょ」

そういうことにしたいだけだろう。

「あれはただムカイダがずっと話しかけてくるだけです。」

「じゃあ果穂ちゃん、逆にムカイダって男としてどう?」

「完全に変人ですけど音楽に対する情熱だけは認めてますね。なんていうか芯は真面目なタイプっていうか。」

「少なくとも悪い気はしないのね。」

「はい!」

「告りな?絶対脈アリだよ。」

「でも恋人って感じじゃないんですよね〜」

「んー…2人お似合いだと思うんだけど。」

特に雲井翼に関しては言っても聞かないのだが流石にここまでサボっているのは部長として見過ごせない。仕方がない。一応注意はするか。

「君達、練習サボって何してるの?」

「やばっ部長だ。休憩してちょっと雑談してるところだったってだけだけど。」

「ずいぶんと長い休憩だね。」

「てかなんで来たのさ」

「練習音が聞こえないからね。心配してわざわざ来たんだけど。」

「いいじゃん恋バナだって青春時代にしかできないよ。それにさっきまで練習してた。」

「はいはい。言い訳は後で聞くから」

……………

文化祭のステージ前。僕達は自分の出番を待っていた。

「先輩。」

どうやら彼女の後輩の1年生は緊張しているようだ。恐らく不安から話しかけたのだろう。

「どうしたの?美音ちゃん。」

「初めての文化祭なので緊張しちゃって…人、案外多いんですね。」

「まぁね。」

「先輩は緊張しないんですか?」

「するわけないじゃん。」

自慢か?傲慢にもほどがある。

「だって、私達コンクールにだって出たことあるんだよ。箱は小さいかもしれないけどコンクールは吹奏楽界のプロや偉い人も聴きに来るようなステージ。全国に行く学校だってある。それに比べて今ステージの前で待っているのは私達の友達や知り合い。吹奏楽に関しては完全に素人。そう考えるとどっちがより緊張するかは明白でしょ?それに…」

一理ある。

「ミスをするとか気にせず演奏楽しめばいいじゃん。私達、何部だっけ?」

吹奏楽、確かに吹いて奏でて楽しむと書くが…楽しめればいいというものじゃないことを彼女も理解しているのだろうか。

「吹奏楽…あ。」

「てなわけで、今しかないこのステージを楽しんでいこう!」

「…それもそうですね!」

後輩の元気を出させるのにはこの言葉が良いと気づいていたから出たのだろうか。だとすれば彼女の先輩としての成長ぶりは大したものだが…

「でも先輩、つい最近まで『もうヤダ文化祭私出ない』とか言ってたじゃないですか」

前言撤回。彼女はやはりただの気分屋だ。

「あん時はホントにごめんね。でも、メッセージありがと。おかげで元気出たよ。」

ナレーションが流れる。そろそろ僕達の出番だ。

「皆さん、用意をしてください。」

その後演奏に向かった体育館のステージは歓声で一杯だった。

そして彼女は有言実行だ、とでも言うように堂々とソロを奏でたのであった。そして全ての曲目を終え、ありがとうございましたというアナウンスの後僕らはステージを後にした。会場の熱気はまだ収まりそうになかった。

ステージを終えた後、僕は彼女に質問をしてみた。

「君、何であんな事が言えたの?」

「へ?」

「ほら、本番前、鈴池さんと話してたでしょ?」

「あぁ…あれ?」

「うん」

「的を得ていたと思うけど。」

「なんであんなに自信満々に言えるの?失敗したときのことすら考えてなかったの?」

「もともと私たちの楽器、失敗しても目立たないし。それに譜面も簡単だから失敗のしようがないっていうか。」

それだけで楽しもうとは言えないだろう普通。もし仮にそれを聞いていたのが目立つパートだったらどうするつもりなんだろうか。

するとそんなこちらの考えを見破ったのか彼女はしばらく考えてから語り始めた。

「私、ピアノ習ってることは言ってたよね。大体発表会なんかのステージの前って緊張してたんだよね。目立ちたがり屋のくせにね。」

恥ずかしそうに彼女は語った。

「でもね、本番になってしまえば、なんてことは無かった。曲に入り込んで、まるでその場に自分しかいないような気分になって、どうしよくもなく楽しかった。」

文字通り夢中になって彼女は語っていた。

「そして、気づいたら演奏終わってたんだ。練習始めたての頃は失敗ばかりで全然うまくいかなくて、曲も進まなかったのが嘘みたいにね。」

「多分、それがさっき言えた言葉の理由だと思う…」

少しだけ照れながらそう語る彼女に気づけば見惚れかけていた気がする。

「ま、頑張り次第ではあるんだけどね!」

……………

翼は恋バナ好きなところは変わっていなかったようで、僕に対して初恋の相手の特徴をすごく聞いてきた。ずいぶん変わった趣味だと言われ、女から目の敵にされそうだ等と言われたがおそらくこれは同族嫌悪の類だろう。何故ならば…その相手が翼、その人だからである。

言っても君が信じない。だから意味など無い。でも僕がこの時代に来たからには君が死ぬ未来なんて許さないし、絶対に、君は死なせない。

……………

おやつを食べたあとは広い公園で遊ぶことにした。

「あ、これってもしかして…」

「先輩知ってるんですか!?この公園。」

その時私は、友人の話を思い出した。

「友だちが言ってた…ロープウェイ公園!?」

隣の地域のどこかにでかいロープウェイのある公園があると…

「なんですかその名前」

後輩の疑問はもっともである

「巨大なロープウェイ(別名、ターザンロープ)があるからロープウェイ公園って友達は呼んでた。いつか行こうねって言っていながら全然行けてなかったんだよ〜!」

大人になるまで行けずに終わるからね。

「それはどんまいというか…」

「よし、こうなったらまずは…」

やっぱりここはロープウェイを楽しむしかない

「ロープウェイを楽しむぞー!!」

そう言うと小さい子に紛れてロープウェイの列に並び始めた。

「先輩、結構高度があるので落ちないでくださいね…って聞いてないし。行っちゃった…」

「あれ、翼は?」

「ターザンロープ乗りに行きましたよ」

「大丈夫かな…あの子、重いものは持てても何かに掴まるとかそういう力はあまりないでしょ…」

「大丈夫だと思いますけどね。」

しばらくすると私の番が来たようだ。いよいよだ、ワクワクするなぁ

「私の生き様を見とけよ〜!」

一方、私はノリっノリで手を降ってから右足で地面を蹴った。

「いやっふうううううう!!!」

うーん、風を感じる、やっぱわたし冒険来てよかった!

横を見ると秘密基地のメンバーが見えたので手を振る。

「やっほー!!!」

ズルッ

「あ。」

格好をつけた矢先、端っこにぶつかって揺れた拍子に落ちてしまった。

ドスッ

「いてっ」

見事に尻もちをついた。尻もちですんだから良かったものの。

「…」

「…」

「…」

太陽は額を抑えており、優李は心配そうにこちらを見ている。美音は慌てており、蒼くんは苦笑いをしている。あれ、夏月くんは?

「…大丈夫?」

「おしり痛い」

「君が悪い」

とりあえず手を差し出してくれているので手を取って立ち上がった。

「ありがとう」

「うん」

なんか生暖かい目で見られている気がする。

そしてその後は鬼ごっこをしたものの見事に私は惨敗である。まあ勝ち負けとかないけどね!

……………

「さて、ここは十分堪能したことだし、次の場所行こっか。」

「へ?」

「だって君言ったじゃん。『あんた達が案内してよ』って。だから。流石にこの公園だけだと淋しいしさ。」

「確かに。よし、じゃあ行きますか!」

こうして私たちは自転車に乗って冒険を再開した。

「そういえば、君たちってかわいいもの好き?」

「え?まぁ…好きだけど。」

「好きですけど」

「まぁ、嫌いじゃないですね。」

「好きですね。」

「そっか。よかった。路地裏を入ったところにすごいかわいいお店があるんだよね。」

しばらく案内の通りにいくとそこには…

「うわぁ!かわいい〜!」

ぬいぐるみがたくさんあるお店があった。

「ここのぬいぐるみ、すごくかわいいって近所でも評判なんだよ。」

「うわぁ…このぬいぐるみ屋さん…親に教えて今年の誕プレこれにしてもらおうかなぁ…」

「君、どうせ部屋を散らかしてるでしょ。そんなの置くスペースあるの?」

「あるし!一緒に寝るし!」

「ふーん。4年生にもなってぬいぐるみと一緒にねぇ…」

悪いかよ

「夏月、女子はだいたいぬいぐるみと一緒に寝てるもんだよ。」

「私達はもうぬいぐるみ卒業しましたけどね。」

「同じく。」

「大人でもぬいぐるみ持ち歩いてる人みたことあるよ。ほら、ぬい活〜とか言って。あと、人はぬいぐるみを抱っこして寝ると精神的に安心するんだって。んで、無いと落ち着かないっていう人もいるらしいよ。」

「あーはいはいそうですね。」

「聞き流したでしょ」

「別に興味ないし。」

「なんだよ。」

「…それにしても、意外とアホみたいに高いってわけでもないんだな。」

「どういうこと?」

「ああいや、まぁ…その…私から見てぬいぐるみの相場はだいたい2千円〜3千円ってとこなんだよ。5千円のぬいぐるみを清水の舞台から飛び降りる覚悟で買ったときもあったっけ。」

「それで君はどうなったの?」

「見事に金欠だ。がはは。」

「ふーん。」

「なんだよ」

「いや、君らしいなって。」

「なんだよ…ってかこの…なんだこれ、ヒョウ?それとも白っぽいヒョウ柄のクマ?のぬいぐるみなんかあんたに似てない?」

「どれどれ…あ、ホントだー!夏月にそっくりw」

「そうそう!特にちょっと目つきが悪いところがね〜」

「…バカにしてる?」

「別に〜?」

「あれ、このぬいぐるみだけ何故か安い」

「あ、それユキヒョウですね。セール中なんですよ。」

店員さんが出てきた。

「ふーん…これくらいなら私でも買えそう。すみません、これください。」

「ありがとうございました〜」

ぬいぐるみも買えたので次の場所へ。

「この公園ね、まず入り口入っていきなり豚がいるっていうね。」

「あ、この公園懐かしい。私たちが花見で来ようと思った場所じゃん」

「へ?知ってたの?」

「うんうん。思えば、夏月くんと初めて会ったのもこの近くの公園だったなぁ。」

「へぇ…そうなんだ。」

今思えばあの時からちょくちょくこいつには会ってる気がする。もしかしたらこいつとは今後も縁があるのかもしれない。

「先輩、かくれんぼしません?」

「いいね。じゃあ誰が鬼か決めようじゃないか。」

おーにーきーめーおーにーきーめーおーにーじゃーなーいーよー(以下略)

鬼は美音に決まった。

「じゃあ数えますねー。いーち、にーい、さーん」

「どこかくれよっかな…」

「ついてきて、こっちにいい場所がある。」

夏月に着いてやって来たのは大きな滑り台の中である。

「もーいいかい?」

「もーいいよ」

それにしても結構狭いな。こんな隙間小学生の頃しか入れんぞ…しかもそんなところに二人きり、何も起こらないはずもなく…

「…」「…」

って、何も起きないんかーい!!

「なぁなぁお前さ、(小声)」

「何?(小声)」

「好きな人ともこの滑り台の隙間入った?(小声)」

「入ったと言えないこともないけど(小声)」

「へぇ~んで、そんな密な空間で好きな人と二人きり、何も起きないはずもなく…?(小声)」

「言っとくけど何も起こってないよ(小声)」

「そこは起これよ(小声)」

「シッ、鬼が来る(小声)ここは一旦出るよ(小声)」

「うん(小声)」

一旦穴を出て、とりあえず上から鬼を見守ることにした。

「ここには居ないか…先輩方どこ行っちゃったんだろう。」

よし、穴から出てった。

「入るよ(小声)」

「ん。」

「やっぱり穴にいるかも」

入ろうとしたところでまた鬼が覗きに来たので穴に入る途中で2人で上に戻ることに。どうか気づかないでくれ。

「うわッ」

足を滑らせた。ピンチである

「チッ…掴まって。早く。」

「あれ、今先輩の声聞こえた…?」

「「!!」」鬼に気づかれた。

「早く降りよう」

滑り台を降り、穴の反対から鬼を観察した。

「上から聞こえた気がするな…。見てみよ。」

「…やっぱりいない。気のせいか。」

そう言うと、来た方向と反対から出ていった。

「よし…!バレずに穴に戻れた!」

「やったね」

2人で思わず手を取り合ってしまう。すると

「私が出ていったあとに入ってきたのかも…っていた!みーつけた!」

油断した。

「あれ?空野先輩?翼先輩?」

「美音、邪魔しちゃだめだよ。お邪魔しました。」

「じゃましてごめんなさいね。ごゆっくりー」

「「私(僕)はそんなんじゃないってば!!!」」

心の叫びはシカトされたのであった。まあ、しょうがない話やな。とそうこうしてる間に夕焼け小焼けのチャイムが流れた。

「あ、そろそろ帰らないと。塾が間に合わない。」

蒼くんが言ったのを皮切りに私たちも帰ろうかな位の気持ちになる。そういえばもう5時になるもんね。

「私たちも帰りますか。」

「そうですね。」

「でも…どうやって帰ろう…」

「あ、それなら私帰り道知ってる。ここからだと…あっちに行くとバス通りに出るから帰れる。」

「じゃあこの辺で。」

「翼!美音ちゃん!太陽!優李ちゃん!またね〜!」

「またね〜ってまた会うこと前提!?」

「うん。まぁね。」

「てか、自転車で行ける距離の場所に住んでるんだからまたどっかで会えるよな。」

「会える保証はないけどね。」

「あ、そうそう、なんなら次はあんた達がこっちに遊びに来てよ。向こうと違って歓楽街なんて存在しないしさ!」

「確か不審者も最近捕まりましたもんね。」

「秘密基地案内しますよ」

「俺、いろいろスポット知ってるので」

「じゃあ来週の日曜日にこの公園で待ち合わせで!」

「忘れないでよ(笑)」

「忘れるわけないじゃん」

「熱中症になるなよ。」

「それはお前もだろ夏月」

「去年公園でぶっ倒れたの忘れたの?」

「お前だって一昨年倒れたじゃないかー」

「てか蒼今年の冬にインフルにもかかってるよね。」

「お前だって風邪引いて休んだせいでギリギリだった人数が居なくなって学級閉鎖の原因になったじゃないか!」

「インフルで休んでた君に説得力無いけど」

「何だとこら!」

「っ!やったなお前。」

あーあ、こいつらケンカを始めちゃったよ。

「仲がいいのか悪いのかわからん」

「それなですね。」

「とりあえず、約束忘れないでくださいねー!」

その後私達4人は帰宅したはいいが、学区を越えたということが先生にバレてはいけないので結局この話は日記のネタになることはなかったのであった…。

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