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学力テスト大騒動!!

さて、学生といえばこれだ!と言っても過言ではないテストの話です。小学生を主人公とした作品だと大概主人公が落ちこぼれでテストで0点…と言った見せ方が多いですが、実際、私がいた小学校ではテストは漢字テストとかでもない限り0点取ることはあまり無いし、何ならその結果をあまり追求されることもない、日常の一部って感じでした。なので今回は見方によっては大イベントになり得る『学力調査』もとい『学力テスト』をメインイベントにしました。翼はタイムリープしてきた未来人ですが、翼から見るとやはりこのテスト、大イベントみたいです。というか、これを境に翼の未来人としての意識?欲望?が芽生えて本当の物語がやっと始まる…かもしれない。そんな話です。翼ははたして100点取れるのか…?

私の名前は雲井翼。ひょんなことからタイムリープして小学生になってしまった女子高校生。タイムリープしてしまい現在小学3年生の一学期末ということで、学力テストを控えている。ちなみに学力テストというのは、一学期に一度くらいの頻度で行われる地区での小学生の学力を知るためのテストである。未来人としては実力の見せ所と言っても良いかもしれない。

…勉強したところの記憶があれば、だが。

ま、とはいえ私立受験でも控えていない限り小学3年生にとって学力テストなんてものは気にすることもない。なんなら気にしてなかった。むしろその後のすごく長い学校生活アンケートやいじめアンケートの方が気になる。

「不快な事を言われたら書いたほうがいいのか。それで人が気を悪くしないかな…?」

下校中、ふと呟いてしまった。

まぁ、どちらかと言うとてすとよりそれの方が悩んだ気がする。……が。少なくとも私の中身は高校生だ。故に…そういうテストの点数もバチクソ気になる!

そんな私は通学路で一旦立ち止まって考えた。丁度そのタイミングで信号が赤になった為、考え事する時間ができたとでも言おうか。

「もし仮にテストの点数が良ければそれが親に伝わるな。そしてその後親がママ友会で自慢するだろう。結果私の評判にもつながるわけだ。そうすれば、もしうまくいけば、私の後悔を全て無かったことにできるかもしれない…?盲点だったな。我ながらいいこと思いついたんじゃないか?」

「あの、何ブツブツ言ってるの?あともう青になってるよ?」

「あ。ごめん気づかなかった。」

赤の他人(同じ学校)に注意されてしまった。

実を言うと私には後悔してるあることがあるのだ。それは平たく言えばタイムリープ前の小、中学生の頃、感情の制御がうまくできず、まあ要するにめんどくさいやつだったということである。揶揄われたらすぐ反応し、何か言われたら言い返し、しまいには自分のクソみたいな正義感によって結果的に友達をバカにした人に怪我を負わせたこともあった。その結果、得たものは努力が全て消えた結果と、どうしようもない絶望だった。

「結局、私が悪かったんだよなぁ…」

通学路でぽつりと零してしまった。

ホントにバカすぎる、当時の私。そんな中、自分が小学生に戻った時は驚きながらも心の何処かで少しの期待があった。『もしかしたら過去を変えることができるかもしれない。…』と。だからこそ過去を変えるための第1歩…いやよく考えたらお楽しみ会の時とか多分結構評判上がったかもしれんから2歩?いずれにせよ理想の未来に近づくことが重要なのだ。

とまあせっかくのテスト前なので家に帰って一人で細々と勉強をしていれば親から「あら珍しい」と言われいやテメエのママ友会での自慢のためなんだけど?という言葉を飲み込みながらも集中しようとするが……

………分からない。というか…思い出せない。そもそも高校生にもなって小学生で学んだ分野を基礎以外で覚えてる人間なんぞどれ程居ようか。そんなこんなで「あー」だの「うー」だの唸りながら悩んでいた所でチャットアプリにメッセージが来た。

美音『先輩今日秘密基地来てませんけどどうしたんですか?』

私は『ごめん実はもうすぐ学力テストだからテスト勉強しなきゃな…って思って。確かに小学生の時点で気にすることではないにしても気にしておいて損するわけでもないじゃない?』

と送った

美音『先輩にしちゃ珍しい…』

翼『ま、全然進んでないけどね。小学生の範囲とかマジ全部忘れた』

美音『それなら翼先輩秘密基地に来ます?』

翼『へ?』

美音『今テスト勉強会してるんです』

やはり未来人は皆考えることは同じなのかもしれない。

翼『早く言ってくれ今すぐ行くわ』

そう送ると私はテスト勉強の道具を一通り持って自転車に飛び乗った。

数分後…

「お待たせ!」

当たり前だが秘密基地にはもうすでに人が集まっており、何ならラムネ等の手が汚れない駄菓子も買ってある。これ私が飴買ってくる必要あったかな。

「ホントに来た…」

太陽が驚いている

「何だ?来ないとでも思ったか?」

「いや、あの人のことだからゲームクリアしたら…とか言って来ないんじゃないかって言ってて…」

「ちっちっち…私も伊達に未来人やってるわけじゃないのだよ優李君。人ってのはね、成長するものなのさ…。」

「と言っても絶対先輩下心ありますよね。」

太陽君、痛い所つくなぁ…

「ま、理由はどうだっていいじゃん!勉強やろ!」

そう言ってドリルを開き勉強に着手するが…

「わっかんねえええ」

「どうしました?」

優李がラムネを口に含みながらも心配してくれた。

「いや、わかんない、てか忘れた。」

「何忘れたんですか?」

優李が不思議そうにしている。

「なんで時間を計算するのに式が必要なんだ」

「あー…」

三人が反応する。

「お前らさ、時間計算する時、どうするよ?」

「まぁ…そりゃあれですね。えーと…10分…20分…って数えますね」

美音が指を出しながら数える。

「数えるよな?でも…

式を書きなさいってなってるんだよ。」

「先輩、ノートどうなってます?」

侍グミを片手に太陽が指摘した。

「あ、ノート。とりあえず見るか…えーと…時計書いて…矢印書いてあるな…歪んでて見づらい…てか文字が暗号だな。そもそも教科書全部写してるだけ…あ、先生が板書でそれしか書かないのか…でもほんとにこれ式って言えるの?答えには答えしか書いてないし…」

心なしかドリルの隅に書いてあるブルドッグのキャラが泣いている気がする。

「…教科書見ました?」

太陽にまたしても呆れられた。

「まだ見てないな…見るか…。あ。書いてあった。」

そこには計算方法が書いてあった。

「これで何とかなる…えっと他には…1万以上の単位…あ、これに関しては覚えてるしできるな。式も見とくだけで問題なさそうだ。」

「割り算は覚えてる。筆算も覚えてる。うん。ただ…」

「小学生のテストって直前の勉強時間が無いんだよなぁ…。」

「まあ、小学生ですからね。」

太陽が納得させるように言った。

「よし、この調子でほかの科目もじゃんじゃんやるぞ。」

「おー!」

そんなこんなで数分後…

「詰んだ。ノート必要事項しか書いてない。」

「そういえば先輩物理苦手でしたね。」

美音…覚えててくれたんだね…嬉しいよ…

「うん。すごい嫌い。あれが好きな人間は人間じゃない。」

突っ伏したまま言った。

「じゃあ私人間じゃない」

そういえば美音は物理好きだって言ってたね。

「じゃあフェアリーになればいいんだよ」

「わーーい…って私にフェアリーなんて務まりませんよ!」

「ともかく、これも教科書丸暗記作戦しかないね。」

「とはいえ、直前に見直す時間ないですね。どうします?」

優李がチェリー餅を刺した楊枝をクルクルと回しながら尋ねた。

「決めた。私…人生初のあれやっちゃうわ。」

「…何ですか?」

「決まってんだろ?徹夜だよ。オールナイトってやつだ」

「危ないですよ!この状態でやったら身体こわしますよ!」

「理想の未来と引き換えならば…そんな事は些細なことよ!私は数日頭が痛かろうが、目眩が止まらなかろうが、脳貧血で倒れようが絶対にやり遂げてやるんだから…待ってろ未来の私…絶対にあんたを幸せにしてやる…!!」

「先輩、何をそんなにヤケになってるんですか?そもそも、今回もいきなりテスト勉強しようとして…どういう風の吹き回しで?」

「…よくぞ聞いてくれたよ太陽君、私、すごいことに気づいたんだ。」

「何ですか?」

「もし仮に今回のテストで高得点を取れたとする。それは私の肩書になるとともに…」

「ともに?」

「評判にもつながるんだ。タイムリープ前は多分…私の評判が悪かったってのもあってあんな事になった。正直、もっと人いたらインフルで冬のコンテストを辞退するなんて事にならなかったよ。」

「それは考えすぎでは…?」

美音は相変わらず優しい。

「だからさ、私今回タイムリープした事、ある意味チャンスでもあるんじゃないかって思ってて。」

私は顔を上げ、拳を固めて言った。

「リベンジしたいなって思う。」

「…先輩がそう言うなら止められませんよ」

太陽も納得したようだ。

「そのかわり、無理はしないでくださいね。」

優李も優しい。

「あの、どうせなら私も付き合い…」

「いい。」

美音の提案を食い気味に断った。

「美音、ありがとう。でも、これは私の問題だからさ。」

「…無理はしないでくださいね。」

優李が言った。

「テスト中寝たら元も子もないですよ。」

太陽も言った。

「ふたりも、ありがとう。」

そして翼は家に帰った。

「よし…」

家に帰った翼はとりあえず深夜に備えて少し休んでから夕食、入浴を終え、勉強に取り掛かった。しかし、小学生の感覚では徹夜どころか3時間の夜更かしさえできなかった。

時刻は23時50分。散漫になる集中力、そして強くなっていく眠気、簡単だったはずなのに思考回路が動かないことにより解けない問題。翼は思わずスマホを取って「もう無理」とチャットを送ってしまった。

…アカウント名を見ずに。

そしてそのまま翼は意識を飛ばしそうになった…ところで着信音が鳴る。

「誰…?へ?夏…月…?」

まさか間違えて夏月くんに送ってしまったのだろうか。

「も…もしもし」

「もしもし?翼、何があった?」

「ごめん、多分間違えてライン送っちゃったと思う。」

「そう。ところで、もう寝る時間だとされてるはずだけど、なんでこんな時間に起きてるの?」

「いや、ちょっとテスト勉強をね。私お利口さんだから。」

ため息が聞こえた。

「ほどほどにね。」

「いや、一夜漬けくらいしないと。」

「身体壊すよ。」

実際、彼の声を聞きながらも、私は意識を飛ばしかけていた。

「良いんだよ。」

「は?」

「身体壊しても良い。ちゃんとやらなきゃ…あの時の事…無かったことに…出来るなら…」

「おい…」

「そうじゃないと…また…」

「翼…?」

「もう…嫌だよ…」

そして私は完全に意識を飛ばした。

ついでに言うと、夏月が最後に聞いた翼の声は震えていたらしい。

………

「…切るよ。あと、寝ろ。」

まさかあそこまで無理をするとは。彼女のことは知っていたつもりだった。けれど一体何が彼女をそうさせているのか。最後に聞いた彼女の声は明らかに泣いていたと思う。

「…一応、慰めの言葉でも送っておくか。」

少しでも翼の心の負担を減らせるように。そう考えた夏月は、チャットにメッセージを残した。

…………

翌日…

「…今何時…?」

時計を見ると、7時半を指していた

「やっべええええ!?!?」

「とりあえず朝ごはん?いや、教科書?ランドセル???あああもう時間ないよおおお!!!」

「翼どうしたの?」

叫び声を聞きつけたのかお母さんが呑気そうに部屋に来た。

「丁度良かった!神様仏様お母様!後でお礼するから準備手伝ってえええ!!!朝ごはん食べてる間にこれ全部ランドセル入れといて!お願いします!」

「分かったけど…ほんとに大丈夫なの?」

訝しげに私を見ている。

「手伝ってさえくれれば大丈夫!」

幸いなのは準備にさほど時間かからないことである。

それにチャットアプリにはなぜか夏月のアカウントに通知が溜まっている。

「ごめん寝落ちした!昨日何かあった?」

とりあえずチャットアプリに返信した後朝ごはんを食べた。

チャットアプリにはこう書かれていた。

夏月『色々思い詰めてたみたいだけど』

夏月『正直、あまり思い詰め無くていいと思う』

夏月『思い通りにならないのは当たり前のことだし。』

夏月『君のせいじゃないよ。』

おそらく夏月なりの気遣いなのだろう。私は『ありがと』と軽く送り、いい結果を祈って家を出たのだ。

『色々思い詰めてたみたいだけど、正直、あまり思い詰めなくていいと思う。思い通りにならないのは当たり前のことだし、君のせいじゃないよ。』

その言葉に、少しだけ救われた…そんな気がした。

さて、そんなこんなで迎えた本番。まずは国語、教科書に載ってない物語が読めたりするので割と好きな科目だ。漢字を除けば。だが、昨日漢字を練習したし、直前にガン見したのできっと大丈夫だろう。

記述問題はまぁ…望まれてること書けば大丈夫だろう。うん。自分を信じよう。

次は数学、これが一番問題だが、唯一幸いなのは選択式のマークシートであることだ。未来人である分、暗算もある程度はできるためマークシートなら勝てる。

次は理科、本来苦手だが、未来人である分知識や雑学もある為これはもはやサービス問題だ。未来人向けの難しい問題が存在しないのは、どこからタイムリープしてきたのかが人によってマチマチだからだろう。

最後に社会。これは得意寄りだったが、油断は禁物。とりあえずよく問題文を読もう。

こうしてテストの時間が過ぎた。

最後のアンケートを終えれば今日はもう帰ってもいいらしい。全部終わって本当に良かった。あとは結果を待つだけだ。何度も言うが、思い通りにならない事は当たり前であり、自分のせいではないのだ。

そう思いながら私はその日も家に帰った後に自転車で秘密基地まで行ったのだった。あ、せっかくだし途中でジュース買ってこう。

「あ、先輩ちょうどよかった。今お疲れパーティーやってるんですよ。」

「お、いいね〜テスト終わったから?」

「そうです。私クッキー焼いてきました!」

「優李ちゃんありがと〜!」

早速チョコチップクッキーを口に放り込む。

「翼先輩、結局徹夜の成果はどうだったんですか?」

気になっていたのか太陽が尋ねてきた。

「それがね…」

私は昨晩のことを話した。

「えっ!?まさかの寝落ち!?それも11時で!?」

「そうなんだよ。いやまさか、私がここまで起きてられないとは思わなんだ。」

美音ちゃんはありえないといった感じの反応をしている。小学1年生でその時間に寝るのは…これからが心配だぞ?

「先輩…このままだと深夜アニメとか見れなさそうですね…意気地なしサドル面白いのに…」

あ、深夜アニメ見てるからか。ほなら仕方ないな。意気地なしサドル…私も見てみようかな。

「それはいかんな。その日はブラックコーヒーを決め込まないと!…ってかアニメつけとけば寝る心配無かったじゃん!私バカか。」

「でもまあ、大人になったらみんな朝早く起きざるを得ませんからね。早寝早起きに慣れるに越したことないですよ。」

「優李ちゃんは真面目だねぇ…」

ジュースを飲んでクッキーを食べながらも各々話に花を咲かせる。そしてテストの話になった。

「みんな自信ある?」

「そりゃもちろん」

「大アリですよ」

「私たち未来人ですし、1年生の範囲ですから。」

太陽、美音、優李の順に答える。

「だよね。」

「先輩はどうなんですか?」

「もちろん自信あるよ。3年生になってくるとちょっと難しくなるから百点とまではいかないだろうけど。」

「3年生の範囲難しいでしょうか?」

太陽が不思議そうにしている。

「うーん…それとは別に小学生でやった範囲なんてさっさと忘れない?逆にあなたたち、『さくらんぼ計算』とか小学生に戻るまで覚えてた?」

「確かに…」

「いやそういう問題じゃないだろ。でもまあ確かに、忘れてると難しいの絶妙なラインなんですよね。中学年って。」

美音に太陽がツッコむといういつもの構図である。

「そう、だから中学年。所によっては低学年扱いされるからつらい。でももう受験する人は受験のこと考え始めてるよ。この辺で差が出てくるんだよね…」

「差?」

「知識や待遇の差だよ。優等生はそれ相応の扱いを受けるようになる…そして一方バカは扱いが雑に…」

「んなことはないでしょ。」

「ま、実際性格とかに差が出てくる感じだけどね。」

「性格?」

「そ。態度とか、会話で『あーこいつ中学受験するな』って分かるようになる。」

「なるほど。」

「ま、私はバカとさほど変わらんけどね!皆は受験するの?」

「する必要あります?」

太陽がピシャリと言った。

「みんなは思わないんか。未来変えたいと。」

「変えてどうなるか分からないじゃないですか。」

「優李も反対派か…」

「私はいいと思いますよ!」

「ほんと!?」

「ええ。未来をひっくり返した英雄!って感じで素敵です!」

「ありがとう美音〜〜!私の味方はあんただけだよ…」

「えへへ」

そうこうしてる間に今日が過ぎていく。そして明日、明後日…翼の心が休まらぬうちに3週間程経ちテストが返される日となった。

「雲井翼さん」

「はい。」

答案を受け取り、翼は…

「やったあああ…」

人の迷惑になるのもアレなのでめちゃくちゃ静かに喜んだ。

無論、その日は秘密基地へと知らせに行くが…

「見て!皆!オール100点!!」

「私達もオール100点ですよっ!」

「ま、俺達1年の範囲だしな。」

「先輩も100点おめでとうございます。」

「ホントによかったよ…これで理想の未来への第一歩を踏み出したわけだ!」

「先輩流石にそれは壮大過ぎますって!」

美音が茶化す。

「ホントに…よかっ……た……」

バタッ

「あれ…?先輩!?おーい!翼先輩!!」

「これ完全に寝てる…いや気絶してる…?」

「とりあえず病院ですよ!私119番しときます!」

「これ親に連絡入れたほうがいいよな。誰か翼先輩の親の連絡先知らない?」

「あ、スマホ!私達未来人だからスマホ持たされてる筈です!」

「ロック番号知らないから緊急通報使って…あ、もしもし、すみません、娘さんが秘密基地で倒れちゃって…あ、場所は今無料開放されてる卯月小学校の校舎内の音楽室なんですけど…とりあえず救急車呼んだので…あ、病院に直接来ますか?わかりました。じゃあ搬送先の病院が判明次第連絡します。あ、いえ、俺達未来人ですし、翼先輩の友達なので。」

「うわー翼先輩死なないでください!」

「死なないだろ」

焦る美音を太陽がなだめた。

しばらくすると救急車が来て、翼、そして一緒にいた美音、太陽、優李も病院まで行くことになった…。

病院にて…

美音、太陽、優李が親と会話をしていた。

「翼と仲良くしてくれてありがとうね」

「いえ。タイムリープする前からの知り合いなので。」

「そう言いつつ太陽結構心配してたよね」

美音が口を挟んだ。

「おい、親御さんの前だぞ。あ、すみません。」

「これ翼ちゃんの実力テストの結果です」

そう言って美音がテストを渡した。

「翼ちゃん、頑張ってたので今日のこと許してあげてください」

優李も言った。

「全部百点!?」

「ええ。」

「…頑張りすぎたのね。」

そう言って翼の親は納得したようだった…。

一方その頃

「暇だなー…あ、人入ってきた。

…寝てるなー。」

隣のベッドで寝ていた同い年くらいの少年が伸びをして、翼の方を見ていた。

「ん…もう朝…?」

そしてしばらく経って翼が目を覚ました。

「今は夕方の5時30分だよ」

少年が答えた。

「えっ!?待って私実力テストの紙どうした?」

「実力テストの紙…?あーさっきお友達…?が持ってたよ。今お友達別の部屋に居るから」

「あ、そうか…よかった…。…てか誰?」

「あれ、覚えてない?あそっか。まだ会ってなかったか。僕は林田蒼。ホコリ吸ったらたまたまひどい喘息が出ちゃって数日入院することになっちゃったんだよね。」

よろしくね〜と言いながら少年は軽く手を振った。

「ところでさ、あの…学力テストだっけ?この年でそんなに重要?」

少年は不思議そうに尋ねた。

「うん。」

「どっかの私立中学…?とか受験するの?」

「そんなことないよ。」

「じゃあなんで重要なの?」

そう聞かれ、焦る。いや流石に『未来を変えるためさ。』とか言うわけにはいかない。それに『後悔したくなかった』とかまじめに答える場所でもないし。

「それはほら…あれだよあれ…あれ…あれ…あれ…なんでだっけ?」

少年は笑って言った

「忘れてんじゃん」

「なんでなのかは重要じゃないのだよ。」

「ま、そういうことにしとくよ。」

少年はどこか冷めた様子でそう言った。何とかごまかせたようだ。

しばらくすると医者と付き添ってくれた秘密基地の面々が来た。

「先輩!起きたんですね…!」

美音は本気で安心したらしい。心配させちゃったなぁ…

「大丈夫ですか?」

優李も心配している。

「……思ったより元気そうですね」

太陽も安心してる様子だが…ま、相変わらずだな。

「まぁ…うん。気絶しただけだし」

「気絶って軽く言いますけど!私心配しましたからね?」

美音が詰め寄ってきた。

「私も心配しました!」

珍しく優李も興奮してるようだ。

「てか今もどこか悪いんじゃないですか?」

太陽も珍しく心配の言葉をかけている。

「いや、あれはね。ちょっと安心しただけ」

「安心?」

「うん。思ったより点数よかったからさ」

この一言で空気がちょっと変わった…気がする。

「まあ、それで倒れるのは意味わかりませんが」

太陽…相変わらず痛いツッコミ…

医者によると

「検査の結果ですが、特に大きな異常はありませんでした。ただ、疲労と軽い脱水、それと精神的な緊張が重なった可能性がありますね」

ということらしい。

それを聞いたお母さんから

「私も徹夜何度も(大学時代)したことあるからあまり言わないけど、体調崩すまで頑張らなくていいからね?」

と言われたので

「うん。医療費あまりかからないようにするね」

と言ったら

「そこで未来人出さなくてよろしい」

と返された。

とりあえず今日はもう帰れるとのことなので家に帰って療養することにした。明日の学校は行けそうだったら…ということになるらしい。

何れにせよ、これで私は理想の未来へとまた一歩近づけた。このままいけば、未来を変えることだって可能かもしれない。まだまだ先のこれからに、翼は胸を高鳴らせるのだった。

……………

ガラガラと病室の扉が開く。

「蒼、生きてる?」

入ってきたのは蒼の友人の一人の少年だった。

「生きてるって…ひどい言い方だな。」

「2日前喧嘩した結果置物落として、その結果ホコリ吸って呼吸困難起こしたくせにそんな事言うんだ。」

その少年は蒼を一瞥すると冷たく言った。

「元々喧嘩の原因お前の一言じゃん」

「だからこうしてお見舞いに来たんだけど。」

そう言うと乱雑に見舞品のゼリーを置き、ベッドの横の椅子に座り、スマホをいじり始めた。

「はいはいありがとうね。…あ。

「どうしたの?」

少年は一瞬スマホから目を離し、何かに気づいたらしい蒼を見て言った。

「ついさっき、この辺じゃ見かけない変わった子が病室に来てしばらく寝て帰ってったよ。」

「ふーん。」

少年は手元のスマホに目線を戻した。

「あれ、興味無い?」

「別に。興味を持つような事じゃないし。」

少年はスマホでゲームをしながら聞き流すように言った。

「その子、多分友達かな…が全員奥賀小の帽子被ってたから奥賀小の子で間違いないと思う。」

「そうなの。」

少年は手を止めた。

「学力テストの結果返ってきた後みたいでさ、目覚めた瞬間『学力テストの紙は!?』って。…小学生って普通、そういうの、あまり気にしないよね。変わった子でしょ?」

「…何が言いたい?」

少年は蒼を睨むように見た。

「僕らは、このままいくと転校して奥賀小に通う事になる。…そうだよね?そして、僕はその子の顔、見覚えがあったんだ。」

そして蒼は確信したように言った。

「あの子、多分翼で間違いない。そしてほぼ確実に未来人だよ。」

少年は目を見開いた。

「…まさか。」

「そのまさかだよ…

夏月。」

「…やっぱり、気にしてたのか。」

夏月と呼ばれた少年は窓の外を眺めて言った。

外はもう夕焼けで、空の彼方にはカラスが飛んでいた。


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