冒険譚の後日談
前の話の続きです。前は夏月達が翼に自分の地元を案内したので次は翼達が地元を案内するという話です。この辺で結構すごい情報が出てくるかも…!?
あの冒険から1週間、時刻は午前11時私達は待ち合わせ場所の公園にいた。
「美音ちゃん、あの2人、来てくれるかな。」
「来るといいですね。」
しばらくすると後ろから目を塞がれた。
「だーれだ?」
「その声…蒼くん来たんだ。」
振り返るとそこには空野くん…に隠れた蒼くんがいた
「びっくりした?」
「いや…声がしたから蒼くんは居るとは思ったけどさ…結局私の目を塞いでたの誰?」
「僕だけど」
夏月くんだったらしい。
「なるほどね。」
確かに身長的にもそれができるのは夏月くんしかいないだろう。
「それじゃあ、翼ちゃん達4人の秘密基地にしゅっぱーつ」
「あ、実はなんだけど、私達ちゃんとチーム名的なの着けてるんだよね」
「え?どんなどんな?」
「サンシャインスウィング、略して…その名もSSS!」
「へぇ~なんでそんな名前にしたの?」
「えっとね、実は「太陽からサンシャイン、翼からウィングでも取ったんでしょ」夏月くん、近いんだけど正式には違う」
「正式には発音はサンシャインでもスペルはサウンドシャインってなってるの。つまりこれが美音と太陽を表してて、スウィングに関しては英語で優しいって意味のスラング『sweet』、これは優李をあらわしてるのね。それと翼を表す『wing』が合体してスウィングになったってわけ。」
「四人の名前から取ったんだね。」
「そーそー。」
「じゃあその中に僕らが入ったら…」
「サンシャインブルームーンスイング?」
「…一気に長くなりましたね。」
「これじゃダサいね。」
「とりあえず名前英語にしてみる?」
「WING、SummerMoon、Blue、SweetVillage、BeautySound、Sunshine…」
「ING、SummeMoon、Blu、SwetVillage、BeutySound、Sunsine…」
Hear we…
「HearWeとかどう?ほら…私達の音を聴け的なニュアンスで」
「そういえば俺達元吹部でしたね」
「まぁ、太陽以外あまり目立つことはなかったんですけどね」
「優李サックスだったから結構目立ってたじゃん。私と翼先輩チューバだったからね。」
「そーだそーだ…メロンソーダ飲みたいなー!」
「先輩、メロンソーダはまた後で!」
「え〜」
と、まあいつもどうりの茶番を終えたところで…
「そういえば夏月さん達ってどんな趣味なのか聞いてないですよ」
「あ、そうだったね。なんかよく知らん内輪ネタ見せちゃってごめんね。2人とも前なんかやってた事とか今現在進行系でやってることとかある?」
「僕バレーボールやってたよ」
「バレーかぁ…サーブが成功したときはかなり嬉しかったなぁ。失敗すると悲惨だったけど。」
「そんな思い出があるんだね。」
「まぁ、成功失敗は運頼りだったけどね!ちなみに夏月くんは?」
「吹奏楽」
「水槽を学ぶのか…」
「君たちと同じように吹部って言ったほうが良かった?」
「息を吸う部活か」
「へぇ~君も未来でそんな部活やってたんだね。頭おかしいね。」
「いやだって!信じたくないじゃん!こんな現実主義と同じ日にコンクール当日会ってたかもしれないなんて」
「ちなみに…なんの楽器担当ですか?」
「トロンボーン、その後いろいろあってチューバに担当が変わった。」
「すっごく芸術的な転落劇ですな。」
「地獄にようこそ!キラッキラな世界からドン底に転落した気分はいかがだったかな空野君?」
「…当時としては仕方のない必然的なことだとは思ったよ。まぁ、そりゃ集まらなかっただろうね。時代柄。」
「…?時代柄?」
「あぁ…こっちのことだから気にしないで。」
なんだこいつ。
「それよりも、早く行こうよ!」
「はいはい。」
蒼くんが興味津々なので早々に行くことにした。さぁ、ここからだ!
バス通りは後々行くので無視し、まずは昼食といこうか。ちなみに昼食に関しては各自お弁当やコンビニで買ったおにぎりなどを持ち寄っている。バス通りを渡り、コンビニの横の道をしばらく走る。すると駐車場が見えてきた。
「着いた着いた。ここだ。」
駐車場の前には自動販売機があり、そこには様々なラインナップの飲み物が少し安めの値段で売っている。そしてその中に「?」とだけ書かれたペットボトルもディスプレイされていた。
「このハテナのやつは何?」
「私も知りません。」
蒼や夏月にとってのメインフィールドに一番近いのはどちらかというと私の家の為必然的にこの辺に来たことのない秘密基地メンバーは知らない場所もあるのである。ちなみにこのスポットは最近見つけて紹介したいなぁと思って温めていた。
「よくぞ聞いてくれた!このハテナのやつはね、何が出るのかわからないんだよ…それで、これをみんなで買って何が出るかなーってやろうと思ってさ。もちろんジュースしか出てこないから安心だよ。仲間内なら交換もOKとする!まぁ、ウェルカムドリンクってやつ?」
「なるほど。」
「1個何が出るのかわからないやつを作るっていうのは確かに話題性も上がりそうだし在庫処分にもなりそうだしいいアイデアかもね。」
「うん、実際これ売り切れてること多いんだよ」
そんな会話を尻目にまず蒼くんが自販機に100円を入れ、ボタンを押した。
「おー!カルペスが出た。」
「たまに自販機にないやつも出てくるんだよね。それはよく出てくる。」
「じゃあ次は俺が」
次は太陽が挑戦するようだ。
「りんごサイダーだ。」
「あ、これは自販機にあるやつだね。あんまり出てこないからいい方だよ」
「じゃあ次は私が」
次は優李が挑戦するようだ。
「あ、ぶどうサイダーだ。」
「それは比較的よく出てくるやつかも。でも値段的には当たり枠だね。」
「そういうのあるんですか?」
「人によってだね。ちなみに私にとってはDr.paperとジンジャーエールと炭酸水はハズレ枠。」
「それ、先輩が苦手なだけでは?」
「まあそうだね。」
「じゃ次私やります」
次に美音が挑戦すると、デカビタミンCが出てきた
「デカミンが出ました。」
「あーそれ一番よく出てくるやつ。」
「知りたくなかった!」
「次は僕か。」
最後に夏月が挑戦すると…
「コーラか。」
「あ、それめったに出てこないやつだよ。私も1回しか出したことない。」
「そうなんだ。」
「凄いな〜。なんか今日いいことありそうだね。」
そう言いながら私が回すと…
「Dr.paper…」
「どんまいです」
近くの公園でお昼を食べ終えてバス通りにたどり着く。
「この辺は主に私の家の近くなんだけどね…バス通りから道路を渡って別の大通りに出て…あ、やってるやってる。…ここのたい焼き、めっちゃ美味しいんだよね〜。今は売ってないけど」
季節柄、夏はたい焼きはやってない。
「かき氷もやってるっぽいね。」
メロンやイチゴ等と書かれた板とかき氷の見本が店にある為、恐らくかき氷は季節柄やっているのだろう。まぁ、このお店、氷室なのだが。なぜかたい焼きも売っているのだ。
「じゃあ俺レモンください」
太陽はレモンにしたらしい。
「はいよ。100円ね。」
「私メロンで」
そして私はかき氷は必ずメロン味
「僕はみぞれで。」
夏月はみぞれか…渋いな。
「私はイチゴで」
優李はイチゴ…定番だな。
「あ、じゃあ私コーラで」
美音はコーラか!人気高いよな!
「僕はブルーハワイで」
蒼はブルーハワイにしたらしい。
こうしてみんな作ってもらい、付近の公園で食べたのであった。
「やっぱり夏のかき氷は格別だなぁ〜!」
「ですね。」
「ねね、舌出してみてよ」
「へ?ほう?(え?こう?)」
「緑色だ〜!翼ちゃんモンスターになっちゃった」
「お前こそ舌が青いぞ何の病気だ?」
「私はさほど変わりませんがね。」
「俺舌が黄色に…」
「これ意味あるの?」
「もうこの際どうでもいいよ」
「舌が茶色…」
美音ちゃんが食べてるコーラ味…魅力的だな…う~ん私もコーラにすりゃよかった!!…ちょっとだけならいいよね…?一口もらっちゃおう。
「コーラ一口もーらいっ」
「あ、じゃあメロンも一口ください!」
「俺もコーラ欲しい」「私も」「僕も」
これいよいよ際限なくなってきたぞ?
「…とりあえずそれぞれ回していってそれぞれ全員から一口ずつ貰うのはどうかな」
「そうしますか。」
こうして、かき氷の食べ合いっこが始まった。
「みぞれ意外と美味しいね。」
「太陽のレモンも意外と甘い…」
「翼のやつメロンソーダの原液をちょっと薄めた味だね。」
「だろうね。」
「どんな味ですかそれ」
その後も他愛もない会話をしながらかき氷を楽しんだ。
……………
かき氷を食べ終えバス通りからそれてしばらく進むと公園のある通りに出た。ここはどこ行くか決めるときも満場一致で紹介しようよってなった。
「ここは夕日屋。酒屋さんなんだけど駄菓子が売ってるからこの辺の子供は大体ここで何か買ってる。」
「じゃあここで駄菓子買おうか。」
たまごボーロ、ねじれたゼリー、ブタメン、飴玉等それぞれ思い思いの駄菓子を買い、夕日屋をあとにした。そして近くの公園でいくことに。駄菓子はまた後で食べる。
ちなみにここも満場一致で行くことになった場所である。
「この公園、ここだと結構大きい方でね、お祭りなんかはだいたいここで開催されるんだよ。」
「知ってるよ。」
蒼は知っているようだ。
「へぇ。よく知ってるじゃん。」
「そりゃまあ、今日のために調べたっていうか?」
「流石だね。」
「えっへん。」
蒼が胸を張った
「まぁ…この公園、そう言う割に大して面白いところはないんだけど…あ、そうだ。あれがあった。みんなついてきて。」
「いきなりなんですか?」
太陽、驚いたみたい。まぁ驚くのも無理ないか。
「早く早くー」
しばらく公園の奥へ行くとクローバーが群生している場所があった。確かここで前たくさん四つ葉を見つけたんだよね。
「ここのクローバーよく見てみ?」
「何の変哲もないクローバー…って…えっ!?ほぼ全部四つ葉…?しかも赤いクローバーまである…」
美音、びっくりしてる様子。
「そう。ちょっと前、気まぐれに四つ葉探してみたら結構たくさん見つかって…」
「…でもこれ勝手に取っていいんでしょうか?」
優里の懸念ももっともなものだと思うけど…
「うーん…管理人っぽいおじさんに四つ葉あるからちょっと見にきなって言われて見つけられたからなぁ…」
「そうやってすぐ人をホイホイ信じるのも君の悪い癖だと思うけど。」
夏月が口を挟んできた。なんだよ。
「まだ数回しか会ってないやつに言う?それ。」
「でも僕らもう既に友達みたいなものじゃん。」
なんだろう…そういうことを平然と言える蒼って友達作り上手そうだな。
「ま、そうか。」
「丁度普通のやつと赤いやつ合わせて6本あるし記念に持って帰ろっか。」
「まぁ、蒼がそう言うならそうしようかな。」
こうして6人揃ってクローバーを持って帰ることに。
さてと、次の目的地はおもちゃ屋だ。
「着いたよ。」
しばらく走って着いたのは明らかに子供向けのおもちゃが多いおもちゃ屋だったが…
「ここ、ベイブレイブで遊べるスペースがあるんだよね。もめ事を避けるために一組一時間までだけど」
ベイブレイブは要するに現代的なベーゴマのような遊びである。ちなみに未来ではアニメ化されていた。意外と奥が深く、プロなんかも存在するらしい。ちなみにここは太陽の意見で来ることとなった場所である。
「ラッキーだな。中学生居ない。」
「どういうこと?」
「この辺、向かいにゲーセンがある影響で普段は怖ーい中学生がたくさんいるんだよ。」
「そーそー。絡まれると面倒なんですよね。」
まあ、私達ここに来る前は怖ーい中学生或いは高校生だったんだけどね。
「へー」
「やっぱりそういう中学生ここにもいるんだね。」
「あんたのところよりは平和だけどね。精々事件と言ってもしょーもないことくらいしか起こらんかったな…」
「男子が友達の顔面に制汗スプレーを噴射したとか?」
「なんで知ってるの」
「似たような事件が僕がいた学校でもあったからだよ。」
「へー。」
「…せっかくだから皆でベイブレイブやらない?」
「お、いいね。」
ちなみに私や美音ちゃんと優李ちゃんはベイブレイブはルールを知ってる程度の初心者である。二人も知っているようなのでこの6人で何回戦かすることにした。丁度3人用のスタジアムと2人用のスタジアムがあったので、3人用で2回、2人用で1回対決すれば一番は決まるというわけだ。
1回戦目は、私、太陽、美音の3人で行う。独楽がセットされた専用の機械を構え、「3、2、1、Go…ブレイブ!」と一斉に掛け声を言い、紐を引く。これは回すときの決まり文句のようなものである。
3つの独楽が何度かぶつかり、結果私の独楽だけが最後まで残った。すごい偶然だな…。
その後、夏月、蒼、優里の3人が回すと、夏月の独楽が残った。
最終決戦は私と夏月になった。
「それにしても、まさかここまで来れちゃうとはねぇ…。私学童クラブで少しだけ遊んだだけなのに。」
「たまたま手にした独楽が良かっただけじゃない?」
「あーそれもあるかもね。んじゃ、回そっか。」
決まり文句を言って独楽を回すと、独楽は何度かぶつかった後、夏月の独楽が残った。優勝は夏月である。
「おめでと。」
「ありがと。」
「もう1回戦やる?」
「いや、向こうから来てるから…。」
蒼が提案したが、中学生が近づいていたので一応中身は年上である私たちは譲ってあげることにした。
「んじゃ、次の目的地へレッツゴー!」
私達は再び自転車に乗って駆け出した。時刻は12:30。そろそろお昼時だ。
「さてと、そろそろお昼時だし、あの場所を紹介しようかな!」
私達が自転車を進めたのは近くにある小さなパン屋だった。
「ここの、たまごドッグメチャうまなんだよね〜!」
「じゃあ僕それにしよっかな!」
「それじゃあ僕はあえてフィッシュバーガーにしてみようかな」
「私さっきのであまりお腹空いてないからこの野菜サンドで。」
「あ、じゃあ、私は卵サンドで。」
「俺はハンバーガーで」
「私は…そうだなぁ…。うん、ウィンナードーナツにしよ。」
それぞれ食べたいパンを買い、近くの公園のベンチに座って食べる。
「あ、おいしい。たまごドッグ意外とイケるね!」
「でしょ?卵とマヨネーズのソースとソーセージが意外と合うんだなぁ…」
「こっちのフィッシュバーガーも美味しい…。こういうパン屋って僕らの地元にはあまり無いから行く機会無いんだよね。」
「え、パン屋無いの?」
「うん、大体チェーン店になるからね。こういう個人でやってるパン屋はあまり無い。」
「でもさぁ、ホントに美味しいパンってこういうパン屋にありがちだよね。隠れた名品的な。」
「わかる」「わかります」
蒼に対して私と美音で同調した。
「まあ、俺達はこのパン屋にはちょくちょくお世話になってますが。」
「それな。おやつとかでもお世話になるよね。」
ちなみに私はチョココロネやドーナツをよく食べている。
「今回初めてウィンナードーナツ食べたけどめちゃくちゃジャンキーな味して美味い。揚げパンとソーセージって卑怯だろ…。」
「そしてそういうものほどカロリーが高い。」
蒼が口を挟んだ。
「だから彼女はお茶を飲むのだ…何故ならば…」
「「美味しいものは、脂肪と糖で出来ているから…」」
このCM最近よくやってるよなぁ…
「あのCMだw痩せるお茶のやつww」
蒼の言う通り、これは今話題のなんか…あの…脂肪の燃焼を助けるとかなんとかの…痩せるお茶のCMである
「ああいうのってほんとに痩せるのかなぁ…」
私がポツリと言うと
「いや痩せないでしょ」
夏月から即ツッコミが入った。
「まぁそうだろうね。」
「お?なんで言い切れるの?」
蒼が煽るように言う。
「えーと…それを説明するには前提として私達が未来人だって事を言う必要があるんだけど…言ったっけ?」
「言われてないね。」
「あ、うん。一応私と美音と優李と太陽は未来人なの。それで…」
「こっちに来る前にそういうサプリの広告をよく見かけたのよ…。」
「そういうサプリ?」
「なんていうか…ストーリー形式になってるんだけどこーれがまたストーリーが全部同じでさ…大概太った女の子がイケメンに振られてサプリで痩せて見返す話。」
「…察しがついた。」
「それで、こっからよ。実際痩せるのか検証する人がいたの。」
まぁ、結果は概ね皆が予想してる通りだけどね。と続けて言った。
「へぇ~。翼騙されなくてよかったね。」
「ホントだよw もー嘘とわかってても何回か騙されそうになったもん」
「君、そういうの弱そうだもんね。」
宴も酣、私達は再び自転車に乗り冒険を続けるのだった…。
「次の目的地…と、その前に寄りたいところあるんだけど、いいかな?」
「良いですよ。」
「大丈夫です。」
「オッケーです」
「んじゃ、行くよ。」
次の目的地である秘密基地もそうだけど、私たちには寄っておきたい場所があったのだ。
「ここって…」
「そうだよ。」
命来中学、私達にとって忘れられない思い出の場所であり、それと同時に忘れたい黒歴史も詰まった場所。
そして、秘密基地が今存在してる理由でもある場所。
「…私達、未来人なんだけどね、タイムリープしてこの時代に来る数年前…通ってた場所なんだ。
私が先輩で、美音ちゃん達は後輩」
「へぇ~。懐かしい場所案内するじゃん。」
「え?」
「僕も…っていうか僕達も、未来人だよ。翼ったら、僕達のこと忘れたの?」
「…思い出した!あんた、あの、6年の時転校してきた…」
「そ。改めて久しぶりだね。翼。」
そうだわ思い出した。蒼君っていたわ。転校初日から隣の席だったわ。
「…ってことは、夏月くんは…ってかあの時連絡してきたのは…」
「…僕だけど。」
やっぱお前あの時の夏月だったんだ。
「うわぁ…こんな偶然あるんだね。まさかこんなところでプチ同窓会開催されるなんて…。」
「ほんとまさかですよ。未来人こんなに集まることあります?」
「今あるねぇ」
「そういう事じゃない。」
後輩達と蒼と夏月の会話をよそに、私は一人、離れたところにある段差に腰を下ろした。
なぜかは分からなかったけれど、不意に一人になりたくなったのだ。
俗に言う感傷に浸る…ってやつか。
「…あの時、もしもインフル流行ってなかったら、てかもっと人居たら違う未来があったのかなぁ…。」
よくわからない。けれども、もし仮に流行ってなかったとしたらあの後輩達とも会えていないのかも分からない。そう考えると、必然だったのだろうか…。だが、今は…
「今はもう出会っちゃったし、あんまカンケーないか。」
もし仮に、これから訪れる未来が変わったとしたら…所謂タイムリープしてしまった私は一体どうなるのだろうか。どこか遠い所に消えてしまうのだろうか。…まぁでも、その先が幸せなんだとしたら。
「私が消えるのも本望ってやつかなぁ」
「誰が消えるって?」
「うわああっ!?」
気づくと隣に夏月が座っていた。
…いろいろと言いたいことはあるが、とりあえずなぜここにいるんだろう。
「な…夏月くん、いつから居たの…?」
「君が『あの時…』とか言い始めたときから」
「そっから聞かれてたのかよ…」
「それで、誰が消えるのが本望だって?早く質問に答えて。」
「…分かった。言うよ。」
「…未来を変えたらどうなるのかなって思ったの。あ、もちろん仮の話ね。たださぁ、未来変えちゃったとしてじゃあタイムリープしてきた私はどうなるのよ?って話なわけで。」
「そりゃ消えちゃうんだとしたら悲しいよ?でもさ、行動しないと何も変わらないわけで。それならもう、消えたとしても…幸せなんだったらもう本望かなって。だから。」
「…」
夏月は黙っている。なんだよ、気の利いたことを言ったつもりなのに。
「勿論、消えるか消えないかはよくわからないし、現時点での情報、無さすぎて何とも言えないけど。」
「それでも…未来をさ、変えてやろうと思ったんだ。私のクソったれな未来を。」
「……ない…。」
「へ?」
「くだらないね…。すっごくくだらない…。」
「でも…協力したいとは思った。」
「…そっか。」
「君が消えるのは…正直に言って反対だけど。それでも、君の言う未来に興味がないわけじゃないし…それに…何より…」
「何より?」
「…何でもない。忘れて。」
そういいながら顔を背けた夏月の耳は夏のせいか若干赤くなっていた…気がする…。
ところでなんか騒がしくないか
「あ、バレた。」
「2人共焦れったいなぁ。」
「てかバレたの蒼先輩がちゅ~しろ〜とか小声で言うからですよ」
「えへへ。ごめんごめん」
「見てたなら声かけてくれたらよかったのに」
「いやいやこういうの邪魔とかできないじゃないですか」
「そうかぁ?」
「ええ。めっちゃ邪魔できない雰囲気でした。」
「なんかごめん。さ、とりあえず次はいよいよ秘密基地案内するね!」
自転車に乗り、いざ秘密基地へしゅっぱーつ!
しばらくの間自転車を走らせ、とうとう6人は秘密基地(という名の廃校の音楽室)に着いたのだった。
「ようこそ!私達の秘密基地へ!」
私達に続いて夏月と蒼がはいる。
「お邪魔しま~す!わ〜結構広いね〜」
「秘密基地ってこの廃校全体なの?」
夏月が質問をした。
「全体ってわけじゃないよ。この音楽室だけ…と言ってもこれだけでもこの人数だとかなり広いよね。」
実際教室を含む学校の部屋というのは少なくとも十数人で使う事を前提としている。そしてここは秘密基地なので実質的にここで生活するってわけではない。せいぜい家出場所に適してる程度である。
そして、蒼が続けて質問した。
「そういえば、秘密基地って言うとほら、田舎の小学生が裏山とか学校の近くの林とかに作るイメージあるけど…そうしなかったんだ。」
私はカッコをつけてポーズを決めてみせると、知的ぶってこう言った
「いい質問だね、それは。何故元々ある廃校を秘密基地として使っているのか…それにはある複雑な3つの理由があるからなのだよ…。」
「複雑な3つの理由、ねぇ…。」
蒼が反応する。
そして、その後私は人差し指をピンと立てて1のジェスチャーをして言った
「まず、1つ、制作の難度。秘密基地を作るとなるとまず材料を集めて、それを組み立てたりするって作業を子どもだけでやらないといけない。んで、私達がいくら未来人だろうと子供であることは間違いないよね。それで黙っていないのが…」
そこで夏月が反応する。
「PTA…。」
「そう。機密組織PTAの厄介な大人達な訳だ。てかそもそも材料が集まらない。」
「なるほど。」
私はさらに立てる指を増やし、人差し指に加え、中指まで立て、2のジェスチャーをした。
「そして、2つ目の理由…それは…人間以外の生き物の脅威…!
この地球には人間以外にもさまざまな生き物がいるのだが…もし仮に秘密基地を外に作れたとして、その秘密基地がそいつらにとってどのような環境となるか…まあ無条件に雨風を凌げる…そんな場所があったら奴らにとってもいいよね。そして、夏場に現れる一部の厄介な奴らからしたら…餌がそこに定期的に集まってくる…」
またも夏月が反応する。
「野良犬、野良猫、害虫ね。」
「そう。外に秘密基地なんかあったら1週間もしたら野良猫やネズミの住処になったり蚊とかGとか大量発生するぞって話よ。」
「なるほど。そりゃ作ろうって話にならないね。」
蒼が答えたのを聞いて、少し慌てた様子で翼は言った。
「あ、まだ外に秘密基地を作らない最大の理由言ってないよ。」
「お、マジか。それで、最大の理由って?」
蒼が興味深そうにしているのを見ると、私はまたカッコを付けてみせた。痛いけど。今の私すごい痛いけど!
「秘密基地を外に作らない最大の理由…それは…」
折角だからためて言おう。
「作れる場所がないから、でしょ?」
先に言われた。
「夏月先に答え言わないでよ」
私は改めて解説した。
「そう。この都会において秘密基地を作れそうな場所は大概私有地だ。たとえそこがどれだけボロ家であったとしても私有地。勝手に入ったらいけないし、勝手に建造物建てるのもいけない。なんなら裏山や林なんかがそもそも無い。」
「やっぱそうなんだね。」
「ま、全部テキトーなんだけどね。」
「てか、何気に一番新人なの翼先輩ですよね…?」
太陽くんのツッコミが痛い。
「この中では一番先輩だけどね」
ムキになると余計に惨めに見えるものである。
「でも秘密基地に入ってきた順番で言えば後輩…」
優李ちゃんも正論を言った。
「細かいことはいいんだよ。」
翼、いよいよヤケクソである。
「まぁ、それでも全部合ってますからね。秘密基地がこの場所にある理由」
美音ちゃん、ナイスフォロー!
「マジで!?」
「ええ。普通に考えてそうじゃないですか。」
太陽は本当のことを言っただけだけど結構嬉しい。
「マジかぁ…。結構嬉しい。」
嬉しさの余韻に浸ってるとそこに、見知らぬ男子2人が入ってきた。ざっと私達より年上と言ったところだろうか。
「ごめん居残りしてたら遅れた!」
「リュウの居残り待ってたら遅れた〜」
「おい!お前道中で合理したじゃん!」
「そうだっけ〜?」
こいつらは誰なんだ。そしてなぜ私達の秘密基地で喧嘩を始めているんだ、と私、いやそれ以外も思った。
「あの…」
優李が気まずそうに切り出した。
「「「「「「誰??」」」」」」
「へ?うわあああ!!入る教室間違えた!お邪魔しました!」
リュウと呼ばれたその男子は倒れるんじゃないかってほどの大袈裟なリアクションで驚くと、すごい勢いで教室に駆けていった。それを見た別の男子は面白そうに、けれどもどこか冷静にニヤニヤしている。
「リュウだっせぇ〜。あ、勝手に入っちゃってごめんね〜。一応隣の教室秘密基地として使ってるから。何かあったら言ってね〜」
そう言うとその男子は去っていき、秘密基地には微妙な沈黙が訪れていた…。
「何だったんだろう…。」
気まずい沈黙を破ったのは太陽である。
「隣の教室も別グループに秘密基地として使われてるんだったりして。」
私がそう言ったその時
「あ、ホントにいる。いやぁごめんね〜!うちの男子二人が入ってきちゃって。」
隣の教室に居たであろう女子が入って来て謝り始めた。
「いえいえ、気にしてないので。」
「それにしても君達この辺じゃあまり見かけないね。どこ小?名前なんて言うの?」
「雲井翼です!」
「鈴池美音です。」
「冬野優李です。」
「野方太陽です。」
「私とこの3人は奥賀小、で、あとの2人は別の地域から遊びに来てます。前この2人が住んでる方にお邪魔しちゃったので今度は私達の住んでる方案内して秘密基地見せてるっていう。」
「どーも。如月小から来た林田蒼です。」
「…空野夏月です。同じ如月小です。」
2人の自己紹介を聞くとアイは
「そうなんだ〜!如月小って確か結構近くにビルとかある都会の方だったよね!」
と、感心した後に
「あ、私真中アイって言うんだ!弥生小学校に通ってるよ!あと、さっき来たリュウも弥生小。」
と自己紹介をした。
「そうなんですね〜!弥生小って奥賀小ともよく合同イベント開催されてるし、もしかしたらどっかで会うかもしれないですね〜」
私がそう言うとアイさんも確かに!と言った。
「どっかで会えたらいいよね!よろしく!それじゃ私達戻るから!何かあったら言ってね!」
そう言うとアイさんは走って教室に戻っていった。
「…行っちゃいましたね。」
「とりあえず、何をするか決めませんか?」
優李と太陽が言う。
「だね。とはいえ今回スペシャルゲストもいることだしなんか特別なことしたいと思ってさ。」
「あ、わかります。」
私が言うと美音が同意してくれた。
「特別なこと…何するんですか?」
優李が尋ねる。
「いっそのことなんか盛大にやりたいなぁ…」
「盛大に?」
太陽も言った。
「うん。何をしようかなぁ…?」
しばらく私が何を考えていると、蒼が手をあげた。
「…あ、そうだ。新参者で意見を言うのもアレだけどさ、さっき来た隣の秘密基地の皆さん巻き込まない?」
「あー、どうですかね?応じてくれるかな…?」
優李は一瞬納得しかけたがやはり応じてもらえるかどうか不安なところではある。
「確かに、出会ったのさっきの今の話だし。」
「…それを言うなら昨日の今日じゃない?」
私の一言に対し夏月が口を挟んだ。さっきの今、いいじゃねえかよ。
「時系列的にはさっきの今だよ」
「そもそも意味から違うから。」
夏月のマジレスが痛い。
「あ、じゃあ私交渉しに行ってきます。」
「美音、助かる。」
「じゃあ言い出しっぺの僕も行くね〜。」
扉が空いていた為しばらくすると隣から「いいね〜!やろやろ!」という声が聞こえてきた。いくら音楽室と言えども扉を空けてしまえば筒抜けである。
「OKです!」
「うんわかってた」
隣からめっちゃ聞こえてきたからね。
「みんなお待たせ!早速やる…前に改めてメンバー紹介するね。
私が真中アイ、で、この子は浜田実穂ちゃん。私と同じ弥生小なんだ。」
そう言うと後ろにいた女の子が挨拶をした。
「浜田実穂です。みんなよろしくね。」
「あと、さっき来たと思うけどこの人は中野龍司。」
「中野龍司です…先ほどはお騒がせしました…」
龍司さんは少し気まずそうだ。
「そしてこの子は古賀海斗。私達とは違う小学校の子で、確か龍司とは知り合いなんじゃなかったっけ。」
「古賀海斗だよ〜。睦月小に通ってるよ〜」
海斗さんはフランクに挨拶をした。
「結構遠いですね。」
太陽が言った。
「ん〜?この秘密基地からはまあ遠くはない所に住んでるよ〜。」
「それって小学校からは遠いんじゃ…」
優李が言った。
「そうだよ〜」
「私もです。小学校遠い仲間ですね。」
実は私、雲井翼は奥賀小学校から少し遠い所に住んでいる。じゃあ何で奥賀小学校に通うことにしたかと言うと、近所の小学校の評判がよろしくなかったからである。
「仲間だ〜!」
「わ~い」
私達がワイワイしている横で太陽が質問をしていた。
「そういえば、みなさんは何年生なんですか?」
「私達は小4だよ!」
「そうなんですか。俺達…俺と美音と優李はまだ1年生です。そして意外かもしれませんがあそこで騒いでる翼先輩が3年生です。」
私の知らないところで私が雑な扱いをされている気がする。
「僕とこいつも3年生ですよ。」
蒼も夏月を指差して言った。
「そうなんだ〜!え、でもみんなかなり大人っぽくない?」
「まぁ…未来人ですからね。」
「え!?今ここの秘密基地にいる人みんな未来人なの!?」
「そうです。さっき紹介した俺と美音と優李は中2、そして翼先輩は確か高1だった気がします」
「じゃあ翼ちゃんはJKなのかー!」
「意外かもしれませんがね」
また雑な扱いをされた気がする。
「僕達も一応未来人で実質高校1年生だよね、夏月。」
「まぁそうだね。」
「2人ともだから大人っぽいのか〜!あ、そういえばさ、あそこにいる海斗と龍司、実は未来人なんだよね〜!特に龍司、意外過ぎない!?」
「傷つくこと言うなよぉ…」
雑な扱いを受けた龍司さんが言った。
「何となくそんな気はしてました。」
夏月は頷いて言った。
「そうなの。まぁ、それがきっかけであの2人会ったみたいなんだけどさ。先に覚醒した海斗が龍司に結構構ったみたいで。」
「なるほど。」
「そろそろ何するか決めない〜?」
海斗さんが言った。
「そうだなぁ…あ、」
そういえば前、「いつか学校でかくれんぼしたいな」とか思ったことを思い出した。
「…かくれんぼしません?」
私がおずおずと提案すると、アイさんは言った。
「いいねかくれんぼ!どうせならこの建物全部使ってやる?」
「いいですね!あ、じゃあ鬼役2人のほうが良いかも。」
「じゃあ鬼役決めよっか!やりたい人いる〜?」
アイさんが呼びかけると
「僕やりたいでーす」
「僕もやりたいです。」
海斗さんと夏月が手を挙げた。
「じゃあ決まりだね!私達はどこに隠れるか決めよっか!」
「どうせならそれより先にルールとか決めませんか。」
始めようとしたアイさんに太陽が提案した。確かに。何も決まってないもんね。
「まず制限時間と鬼が何分経ったら動き出すか決めましょうか。」
美音が言った。
「制限時間は今の時間的にも30分くらい、で、鬼は8分経ったら動き出すってことにしますか。」
「いいね〜。それなら2回くらいできるかも。」
私の提案に海斗さんは賛成なようだ。
「僕も夏月もこのあとは特に塾とかもないからね。」
「じゃあそれで!早く始めようよ!」
こうしてアイさんの言葉と同時にかくれんぼが始まり、各々好きな場所に隠れた。一体みんなどこに隠れたのか。少し様子を覗いてみよう。
かくれんぼ、開幕である。
そして後半に続く。




