第94話 ギルドの火花、若き『隼』の急降下
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昨夜届いた不穏な挑戦状。
差出人の若手パーティ『銀翼の隼』は、リフェルナで急上昇中の注目株だそうです。
名誉保守官という「利権」を自分たちが引き継ぐべきだと主張する彼らに、クレアたちはどう立ち向かうのか。
平和な日常を守るため、最弱パーティがギルドの真ん中で火花を散らします!
翌朝、リフェルナの冒険者ギルドは、いつも以上の熱気に包まれていた。
その中心にいたのは、全身を真新しい白銀の軽鎧で固めた、三人の若者たちだ。
彼らこそが、昨夜不遜な手紙を送りつけてきた新鋭パーティ『銀翼の隼』。
リーダーらしき金髪の剣士が、ギルドの受付カウンターを叩き、大きな声で周囲の注目を集めている。
「……おい、聞いたか? 例の『名誉保守官』様が、自分からその座を降りたって話だ。結局、実力不足で逃げ出したってわけさ。リフェルナの盾を名乗るには、女子供の遊びじゃ務まらなかったんだろうな!」
その嘲笑が響き渡る中、ギルドの重い扉が開いた。
クレアを先頭に、リトル・リンクの五人が静かに入場する。
昨日までの「名誉保守官」としての礼装ではなく、使い込まれたいつもの戦装束だ。
「……おや、噂をすれば『元』英雄様のお出ましだ。昨日の手紙、読んでくれたかな?」
金髪のリーダーが、挑発的に口角を上げた。
カノンが銀靴を鳴らし、一歩前に出ようとするのを、クレアが手で制する。
「……手紙、読みました。……私たちは、自分たちの意志で辞めただけです。……実力がないから逃げたわけじゃありません」
「ハッ! 言葉だけなら何とでも言えるさ。……だが、領主様から贈られたあの立派な家は、街の役に立つ者が住むべきだと思わないか? 例えば……俺たちのような、な!」
周囲の冒険者たちからも、冷ややかな視線が飛ぶ。
多くの者はリトル・リンクの功績を知っているが、一方で、突如として地位を捨てた彼女たちに疑問を持つ者がいるのも事実だった。
「……論理的に見て、……その発言は……極めて身勝手な……論理の飛躍……と言わざるを得ません。……家の所有権は……法的に……私たちにあります。……あなたの願望は、……リフェルナの法典を……無視するものです」
セインが、眼鏡の奥で冷徹に計算を弾きながら言い放った。
「……うるせえな、眼鏡女! ……冒険者なら、腕で語れよ! ……次の緊急依頼、どちらが先に『水底の蛇』の残党を二十体狩れるか勝負だ。負けた方が、あの家から出ていく……ってのはどうだ?」
「えへへ、あたいは嫌だよ。あたいの工房を、そんな生意気な子たちに触らせるわけないもん!」
ケットルが、パチンコを弄りながら可愛い笑顔で、けれどきっぱりと拒絶した。
ドワーフの少女らしい芯の強さが、若手剣士の顔を真っ赤にさせる。
「……ん。……うるさい。……この人、……レバーの……匂いが……しない。……弱い人の……匂い、……する。……リトル・ガーネット、……出しちゃって、……いい?」
ミルが、虚空を見つめたまま『もう壊さない杖』をスッと持ち上げた。
先端に凝縮される魔力の密度に、若手剣士が思わず一歩後ずさる。
「……や、止めなさいミル。……ギルドでの私闘は禁止だよ。……でも、……受けて立ちます。……ただし、家を賭けるなんて賭けはしません。……私たちが勝ったら、……二度と私たちの家には近寄らないこと」
クレアの宣言に、ギルド内がわっと沸いた。
自由を愛する最弱パーティと、野心溢れる新鋭。
リトル・リンク、今日も(家を奪おうとする生意気な後輩に、大人の厳しさを教えようとしながら)ちょっとだけ成長中。
第94話をお読みいただき、ありがとうございました。
ついに始まった『銀翼の隼』との衝突。
若さゆえの傲慢さと、実力を過信した彼らの挑発に対し、リトル・リンクは「受けて立つ」決断をしました。
賭けるのは家ではなく、自分たちの「静かな生活」を守るための権利。
ミルの毒舌(?)と、セインの論理攻めが光る一幕でした。
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