第81話 泥の咆哮、浄化の奔流と小さな凱旋
魔力泥の怪物との激闘、ついに決着!
カノンが命懸けで作った「一秒間」の隙を、リトル・リンクの仲間たちが逃すはずはありません。
ミルの影、セインの知略、クレアの剣、そしてケットルの洗浄砲。
五人の連携が、水都を汚染する闇を文字通り「洗浄」します。
戦いを終えた彼女たちが手に入れたのは、勝利の味と、少しだけ頼もしくなった自分たちの姿でした。
カノンが「一秒間の虚空静止」で弾幕をやり過ごしたその直後、戦場には一瞬の空白が生まれた。
泥の怪物は、自慢の網状攻撃を完全に無効化されたことに困惑するように、どろりとした触手を震わせている。
「……チャンス、……今。……逃がさない。……影の鎖、……最大出力」
ミルの細い指先から、今までで最も濃い漆黒の影が噴き出した。
それは運河の石畳を蛇のように這い回り、泥の怪物の足元から全身を絡め取る。
魔力を吸い取るはずの泥ですら、ミルの「壊さない杖」から放たれる純度の高い吸血鬼の魔力には、逆に侵食されるように動きを止めた。
「論理的に見て、……核の露出を確認! ……座標、左胸部から三セク下! ……クレア、ケットル、……一気に畳み掛けます!」
セインの指示が飛ぶ。
彼女の眼鏡の奥では、泥の怪物の流動的な防御パターンが完全に読み切られ、脆弱な「点」として強調されていた。
「……了解! ……切ない剣、……届いて!」
クレアが地を蹴った。
修復され、以前よりも鋭利な輝きを放つ刀身が、ミルの影に拘束された泥の塊を、バターのように滑らかに切り裂いていく。
手応えあり。核を保護していた外殻が、音を立てて崩れ落ちた。
「ガハハ! トドメはあたいの『高圧浄化弾』だ! ……リフェルナの汚れは、……リフェルナの水で洗いきってやるよ!!」
ケットルが、新拠点の屋上に設置された大型アンテナから誘導された魔力を、洗浄砲の銃口に集束させる。
その威力は、以前の比ではない。
ドォォォォォォォン!!
放たれた白銀の激流が、泥の怪物の核を正面から粉砕した。
どす黒い「泥」は、浄化の魔力に触れた瞬間にただの清らかな水へと還元され、雨のようにリフェルナの運河へと降り注いでいく。
「……ふぅ。……論理的に、……完全消滅……ですね」
セインが魔導ブースターの出力を落とし、深く息を吐いた。
空中から着地したカノンは、まだ少し震える自分の足を見つめ、それから背中の小さな羽をそっと撫でた。
「……やったね、カノン。……あの一秒、……すごかったよ」
クレアが剣を納め、カノンの肩を優しく叩く。
「……あはは、……必死だっただけだよ。……でも、……なんか、……ようやくこの羽と仲良くなれた気がするな」
カノンが照れくさそうに笑うと、背中の羽が、名残惜しそうに一度だけ小さく羽ばたいた。
「……汚れ、……消えた。……お腹、……空いた。……新しい、……トースター、……使いたい」
ミルの言葉に、張り詰めていた空気が一気に緩む。
名誉保守官としての初任務。
泥に汚れ、ボロボロになった五人は、けれど朝日を浴びて輝くリフェルナの街並みを背に、誇らしげに新拠点へと歩き出した。
リトル・リンク、今日も(泥を洗い流し、一歩ずつ確実に)ちょっとだけ成長中。
第82話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
「魔力泥」事件、一件落着です。
カノンの「空中静止」が決定打となり、パーティの連携がより強固なものになりました。
「飛べない羽」を使いこなすカノンの姿に、リーダーのクレアも刺激を受けたようです。
新拠点に戻って、美味しい朝ごはんを食べる彼女たちを想像すると、こちらも温かい気持ちになります。
「五人の連携が最高!」「カノン、本当にかっこよかった!」と思ってくださった方は、ぜひ下の**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして、評価をいただけますと幸いです!
皆さまの「星」が、リトル・リンクの新しい家具(トースターなど!)の充実と、彼女たちの絆を深める物語のエネルギーになります。
引き続き、応援よろしくお願いいたします!
次回、第83話。
平穏な日常……のはずが、新拠点の「自動洗浄トイレ」に異変!?
お楽しみに!




