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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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第77話 鈍色のメンテナンス、虚空を穿つ「回避」の靴

激闘を終え、ようやく手に入れた穏やかな時間。

しかし、リトル・リンクの五人は、来るべき次の戦いに向けて、自らの装備に「磨き」をかけます。

ボロボロになったクレアの剣の修理、そしてカノンの機動力を極限まで高める驚愕の新装備。

虚空を足場に変えるその一歩は、悪魔族である彼女の「回避」を、異次元の領域へと押し上げます。

整えられた武器と、新調された決意。

名誉保守官としての、彼女たちの本当の「仕事」が、今ここから始まります!

新拠点の地下、魔力貯蔵庫と直結した広大な工房。

 そこには、新築の香りをかき消すような、熱い鉄の匂いと火花が充満していた。

 拠点を守り抜き、街を救った代償は、彼女たちの身に纏う「戦友」たちにも深く刻まれていた。

「……よし、……これで最後。……クレア、……動かしてみて」

 ケットルが、額の汗を煤汚れた腕で拭いながら、研ぎ澄まされたばかりの『切ない剣』を差し出した。

 度重なる激戦、そして拠点自爆の衝撃で刃こぼれし、鈍色に曇っていた刀身。それが今、工房の魔導灯を反射して、かつてないほど冷たく、鋭い輝きを取り戻していた。

「……ありがとう、ケットル。……重さが、……手に吸い付くみたい。……これなら、またどんな硬い敵でも斬れる気がする」

 クレアが剣を鞘に収め、その感触を確かめるように強く握りしめる。

 剣士にとって、武器の修復は心の修復と同義だった。

「ガハハ! リーダーが喜んでくれりゃ、あたいも本望だよ。……さて、次は本命だ。……カノン! ちょっとこっちに来な!」

 ケットルが作業台から取り出したのは、無骨なドワーフの技術と、洗練されたエルフの魔導理論が融合した、一足のしなやかな銀色のブーツだった。

「……えっ、あたいに? これ、新しい装備?」

 カノンが、悪魔族特有の尖った耳をピクリと動かして近寄る。

「そうだよ。あんたの身のこなしなら、もっと『上』を狙えると思ってね。……セイン、最終調整を頼むよ!」

「論理的に見て、……カノンさんの反射神経にのみ同期する、……質量無視の術式です。……魔導ブースターの余剰魔力を、……その靴の底に一瞬だけ固定します」

 セインが、新調したばかりの眼鏡を輝かせ、魔導ブースターから伸びるケーブルをブーツへと接続した。

 ハーフエルフの精密な魔力制御が、銀色の装甲に刻まれた「回避」の術式へと流し込まれていく。

「……よし、調整完了だよ。カノン、履いてみて!」

 カノンは作業台に腰掛け、新しいブーツに足を通した。

 悪魔族の細い足首にしなやかにフィットし、紐を締め上げると、吸い付くような一体感が生まれる。

 立ち上がり、一歩、二歩。床を踏むたびに、羽が生えたような軽やかさが全身を駆け抜けた。

「……わあ、……すごい。……地面を、……踏んでる感覚が、……ないみたい」

「ガハハ! 真価はそこからだ。……飛んでみな!」

 ケットルの言葉に、カノンが工房の床を軽く蹴った。

 悪魔族特有のバネのような跳躍。その頂点に達し、本来なら重力に従って落ち始めるはずの瞬間――カノンは虚空に向かって、さらにもう一歩を振り下ろした。

 パァンッ!!

 何もない空間に、青白い魔力の波紋が広がる。

 カノンは空中でもう一段、高く、そして鋭く横へと身体を投げ出した。

「……えっ!? 今、……あたい、……空を蹴った!? ……あはは! これすごい! これなら、どんな攻撃だって空中でかわせるよ!」

 着地したカノンの瞳が、歓喜で爛々と輝く。

 「空歩の銀靴」。一歩だけ物理法則を無視して虚空を蹴るその靴は、カノンの「借金回避」を、文字通りの「絶対回避」へと昇華させようとしていた。

「……重力、……回避。……カノン、……ずるい。……私も、……乗りたい」

 ミルが、ミントを齧りながら、空中を自在に動くカノンを羨ましそうに見つめた。

「……あはは、ミルも乗せてあげられるくらい、もっと使いこなせるようになるよ! ……ありがとう、ケットル、セイン!」

 クレアの剣は輝きを取り戻し、カノンは新たな回避の翼を手に入れた。

 セインの演算能力は新拠点の設備によって底上げされ、ミルの魔力も安定している。

「……名誉保守官としての初仕事、……そろそろ、……来るみたいだよ」

 セインが、リビングのメインモニターに表示された異常魔力反応を指差した。

 装備を整え、新しい靴を履いた五人が、新拠点の玄関を力強く踏み出す。

 リトル・リンク、今日も(新しい靴音を、リフェルナの石畳に響かせて)ちょっとだけ成長中。

話をお読みいただき、ありがとうございます!

大変失礼いたしました、カノン用の「空歩の銀靴」を無事に納品(描写)いたしました!

「借金回避」の身軽なカノンが空中でもう一歩動けるようになることで、パーティ全体の戦術が大きく広がります。

クレアの剣もピカピカになり、五人のコンディションは最高潮です。

「カノンの空中回避、戦闘で見るのが楽しみ!」「セインのサポートが完璧」と思ってくださった方は、ぜひ下の**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして、評価いただけますと幸いです!

皆さまの星が、カノンの靴の「加速用魔石」のエネルギーになります!

次回、第78話。

リフェルナの夜を騒がせる、謎の「浮遊泥棒」。

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