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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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73/225

第73話 再建の槌音、遺された設計図

激闘の果てに、かつての拠点は跡形もなく消え去りました。

しかし、リトル・リンクの五人に立ち止まっている暇はありません。

マーガレットから手渡された師匠の「遺産」――それは、想像を絶する家の設計図でした。

自爆したことで剥き出しになった地下の魔力線。

失ったことで手に入れた、新しい可能性。

リフェルナの名誉保守官となった彼女たちの、真の「拠点づくり」が始まります。

リフェルナの運河沿い。かつて『魔道具師の家』があった場所には、今や黒い焦げ跡と、セインが凍りつかせた魔力の残滓ざんしだけが静かに横たわっていた。

 だが、そこには絶望の沈黙はない。

「ガハハ! 見なよ、この地盤! あたいの自爆スイッチが完璧だったおかげで、地下の魔力パイプは一本も傷ついてないぜ!」

 ケットルが、巨大な背負い袋から取り出した測量計を手に、ガレキの山を軽快に跳ね回っていた。ドワーフの瞳は、失った悲しみよりも、これから作り上げる「新しい城」への野心で爛々と輝いている。

「……論理的に見て、地盤の安定性は八十五パーセント。……ですが、以前の構造をそのまま再現するだけでは、……戦略的な柔軟性に欠けます。……地下の魔力貯蔵庫、……容量を三倍に拡張し、私の魔導ブースターとの直結を前提とした設計を提案します」

 セインが、パウロから譲り受けた新しい眼鏡を指で押し上げ、手元の羊皮紙に素早く図面を引き直していく。ハーフエルフの計算力は、今や一軒の家を越え、街の循環系との効率的な接続までを見据えていた。

「……セイン、……お風呂、……広くして。……あと、……トイレ、……最新型。……勝手に、……開く、……やつ」

 ミルがガレキの上に腰掛け、ミントを齧りながら呟いた。吸血鬼の彼女にとって、拠点の清潔さはそのまま魔力の回復速度に直結する。

「借金回避……じゃなくて、資産運用だね! 名誉保守官の手当があれば、防犯用の魔導センサーも特注品が買えるよ!」

 カノンが悪魔族の俊敏さで、周囲の立ち入り禁止区域を整理しながら笑う。彼女の『借金回避の双牙』は、今は戦うためではなく、新しい未来を切り拓くための「守りの牙」として腰に収まっていた。

「……みんな、ちょっと待って」

 クレアが、仲間たちを呼び止めた。

 その手には、先ほどマーガレットから手渡されたばかりの、古びた金属の筒が握られていた。

「マーガレットさんが言ってたの。……『師匠があの家を作った時、いつかお前たちがそれを壊す日が来ることを、半分だけ願っていたのかもしれない』って」

 クレアが筒の封を切り、中の羊皮紙を広げた。

 そこには、かつての師匠の無骨な筆致で、驚くべき「真実」が記されていた。

 それは単なる家の設計図ではない。

 『古代回路』を核として、家そのものを一つの「巨大な魔導武装」として機能させるための、禁忌の、けれどあまりに美しい拡張設計図だった。

「……な、なんだい、これは! ……あたいらの師匠、……とんでもない『大馬鹿』だったんだね!」

 図面を覗き込んだケットルが、驚愕のあまり声を裏返らせた。

「論理的に……、……ありえません。……家全体を、……巨大な魔力増幅器アンプにするというのですか? ……これがあれば、私の『環境上書き』は、リフェルナどころか……」

「……リトル・リンク。……成長の、……限界、……超える」

 ミルが、図面の一角に記された「もう壊さない杖」の真の連動術式を見て、小さな舌を出した。

「……うちらは、まだ最弱かもしれない。……家を失って、やっとスタートラインに立ったばかり。……でも、……この新しい『城』が完成した時、うちらは本当の『リトル・リンク』になれる気がするんだ」

 クレアが、焦げた大地の感触を足の裏に感じながら、青い空を見上げた。

 カン、コン、とケットルが鳴らした槌の音が、リフェルナの朝空に高く響き渡る。

 それは、失ったものへの鎮魂歌ではなく、新しく始まる黄金の日々へのファンファーレだった。

 リトル・リンク、今日も(最高の城の再建を目指して)ちょっとだけ成長中。

第73話をお読みいただき、ありがとうございます!

ついに新拠点の建築が始まりました!

師匠が遺した「家そのものを武装化する」という規格外の発想。

セインの知略、ケットルの技術、そして五人の絆が、どんな「城」を作り上げるのか……。

自動洗浄トイレのアップグレード(?)にも期待が高まります。

「リトル・リンクの新しい城が見たい!」「セインの設計、凝りすぎ(笑)」と思ってくださった方は、ぜひ下の**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして、応援いただけますと幸いです!

皆さまの星が、新拠点の建築資材(高級な魔晶石)に変わります!

次回、第74話。

建築資材の調達……のはずが、思わぬトラブル発生?

そして、カノンの過去を知る「もう一人の悪魔族」が現れます。

引き続き、応援よろしくお願いいたします!

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