第69話 全域上書き、水都の「大掃除」開始!
絶体絶命の塔の籠城戦。
ついにセインの『広域環境上書き』が発動し、リフェルナの街そのものがリトル・リンクの武器へと姿を変えます。
宿敵グレイの煙を無効化し、自警団の不正な魔導具を停止させる、前代未聞の「街規模の大掃除」。
拠点を失った彼女たちの、誇りを取り戻すための逆転劇がここから加速します!
石造りの扉が木端微塵に砕け散り、紫色の煙が濁流のように塔の最上階へとなだれ込んできた。
「……見つけたぞ、ドブネズミども。我が『紫煙の牙』から盗み出した回路、その命と共に返してもらおうか」
煙の向こう側から、冷酷な笑みを浮かべたグレイが姿を現す。その背後には、抜剣したバザルと自警団の精鋭たちが、獲物を囲い込むように展開した。
「……セイン、あと、……五秒」
ミルが影の触手を編み上げ、迫り来る煙の針を弾き飛ばす。彼女の白い肌には、魔力の過負荷による赤い紋様が浮き上がっていた。
「ガハハ! 来やがれ、この税金泥棒ども! あたいの『新型・高圧洗浄アンテナ』の錆びにしてやるよ!」
ケットルが、塔の中継器と強引に直結した洗浄砲を構え、火花を散らす。
「……一、……〇!」
セインの絶叫に近いカウントダウンが、塔内に響き渡った。
彼女の背負う魔導ブースターが、限界を超えた負荷に耐えかねて真っ白な閃光を放つ。ハーフエルフの魔力特性をフル稼働させた演算が、黄金の『古代回路』を通じてリフェルナの地下深奥へと接続された。
「……論理的に見て、リフェルナの全機能は……今、私の支配下にあります! ……『広域環境上書き(エリア・オーバーライト)』、……発動!!」
ドォォォォォォン……!!
塔の頂上から、目も眩むような青い衝撃波が円環状に広がっていった。
それは瞬く間にリフェルナの街全域へと伝播し、運河の底、石畳の隙間、そして街中の魔導街灯へと染み込んでいく。
「な、なんだ!? 私の煙が、……消えていく!?」
グレイが驚愕に目を見開いた。彼が操っていた魔力煙が、セインによって書き換えられた「空気の性質」に拒絶され、ただの無害な水蒸気へと変えられて霧散していく。
「ば、馬鹿な! 街中の魔導具が、……私の剣が動かん!」
バザルが叫ぶ。自警団の装備に組み込まれた補助魔導回路が、セインの強制介入によってことごとくシャットダウンされていた。
「……今だよ、みんな! リフェルナの街が、うちらの味方をしてくれてる!」
クレアが地を蹴った。
書き換えられた環境下では、リトル・リンクのメンバーだけがリフェルナの魔力供給をダイレクトに受け、その身体能力を飛躍的に向上させていた。
ヒュンッ、と風を切る音が響く。
「借金回避……じゃなくて、悪意回避! ……あんたたちの動き、止まって見えるよ!」
カノンが悪魔族の俊敏さを発揮し、双牙で自警団の武器を次々と叩き落としていく。
「……汚れ、……一掃。……リトル・ガーネット、……全方位射出」
ミルの杖から放たれた紅い光弾が、街中の運河から汲み上げられた「意志を持つ水流」と混ざり合い、塔を取り囲んでいた敵軍を文字通り「洗浄」して押し流していく。
「……ありえない……。たかが最弱パーティの一人が、街全体のシステムを掌握するなど……!」
膝をつくグレイに対し、セインは汗を拭いながら、不敵に眼鏡を光らせた。
「論理的な分析の結果です。……この街は、欲に溺れたあなたたちではなく、……平和を願う魔道具師たちの想いで作られていた。……私はただ、その正当な権利を『上書き』したに過ぎません」
リフェルナの街灯が、リトル・リンクの象徴である青い光で一斉に輝きを増した。
拠点を失い、すべてを奪われたはずの五人が、今、街そのものを背負って反撃の狼煙を上げたのだ。
リトル・リンク、今日も(街中の魔力を味方につけて)ちょっとだけ成長中。
第69話をお読みいただき、ありがとうございます!
セインの軍師としての才能が、街全体のシステムをハッキングするという規格外の形で花開きました。
カノンやミル、ケットルたちの連携も、街のバックアップを受けて最高潮に達しています。
このまま、リフェルナを牛耳る悪意を一掃できるのか……!
「セインの逆転劇がスカッとした!」「リトル・リンクの無双が見たい!」と思ってくださった方は、ぜひ下の**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして、応援いただけますと幸いです!
皆さまの星が、セインの演算精度をさらに高めます!
次回、第70話。
追い詰められたバザルとグレイが放つ、禁忌の魔導兵器。
そして、リトル・リンクに迫るさらなる試練。
引き続き、応援よろしくお願いいたします!




