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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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第61話 自警団の来訪と、不協和音の朝

いつも応援ありがとうございます。

最高の夜から一転、理不尽な自警団の立ち入り調査に遭うリトル・リンク。

奪われた戦利品と、閉ざされた自由。

「最弱」と呼ばれた彼女たちが、この巨大な悪意にどう立ち向かうのか。

描写をより深く、緊密な空気感で描き出します。

昨夜の喧騒が嘘のように、リフェルナの朝は静まり返っていた。

 『魔道具師の家』の窓からは、運河に反射した柔らかな陽光が差し込み、リビングにはわずかに特上レバーを焼いた香ばしい名残が漂っている。

「……ふわぁ。……レバー、……夢でも、……食べてた。……幸せ」

 ミルが寝癖のついた銀髪を揺らしながら、パジャマ姿でリビングに現れる。

 いつもなら、ここからケットルの淹れた濃い茶を飲み、カノンと朝食のパンを奪い合う穏やかな時間が始まるはずだった。

 だが、その平穏は、玄関の扉を叩く重々しい鉄靴の音によって破られた。

「リトル・リンク! 街の自警団だ。……緊急の立ち入り調査を行う。開けろ!」

 鋭い声と共に、扉が乱暴に叩かれる。

 キッチンで朝食の仕度をしていたケットルが包丁を置き、セインが即座に眼鏡をかけ直して玄関へと向かった。

 扉を開けると、そこには銀色の甲冑に身を包んだ自警団の男たちが数名、険しい表情で立っていた。その中心にいるのは、筋骨隆々とした体躯に傷跡の残る顔――自警団副隊長のバザルだ。

「論理的に見て、この時間帯の立ち入り調査には正当な令状が必要なはずですが。……自警団が、平穏な冒険者の宿宿を騒がせる理由は?」

 セインが冷徹な声で問い詰めるが、バザルは鼻で笑い、一枚の羊皮紙を突きつけた。

「理由ならある。……『盗品の所持』および『不当な魔導具の横流し』の疑いだ。昨日のゴーレム遠征で、お前たちがギルドに報告していない希少な回路を隠し持っているという通報があった」

 その言葉に、後ろから様子を窺っていたクレアが息を呑んだ。

 古代回路。ケットルが見つけ、アリスターたちも「自分たちの分け前だ」と認めてくれた正当な戦利品だ。

「……通報? 誰がそんな嘘を……。うちらはちゃんと手順を踏んで……」

「黙れ。……おい、中を調べろ! 魔導回路一つ残らず押収だ!」

 バザルの号令と共に、自警団の男たちが土足でリビングへと踏み込んでくる。

 彼らは昨夜のパーティーの残骸が載ったテーブルを乱暴に退け、地下工房へと繋がる扉に手をかけた。

「ガハハ……笑わせるねぇ! 職人の工房に土足で入ろうってのかい!? どこのどいつがそんなガセネタを流したか知らねえが、あたいの工具に触れる奴は、この洗浄砲でケツの穴まで洗ってやるよ!」

 ケットルが愛用の魔導洗浄砲を構え、自警団を睨みつける。

 一触即発の空気。

 だが、セインがそっとケットルの腕を制した。

「待ちなさい、ケットル。……ここで抵抗すれば、それこそ奴らの思う壺です。……副隊長殿、通報者は『シルヴィア』という名の冒険者ではありませんか?」

 バザルの眉がピクリと動いた。

 その反応だけで十分だった。

「……誰が通報したかは関係ない。……俺たちは法に従って動いているだけだ。……ほう、これが噂の回路か」

 バザルが工房の棚から、まだケットルが調整中だった金色の古代回路を掴み上げた。

 それは本来、リフェルナの発展のために研究されるべき貴重な遺産であり、彼女たちの正当な報酬だ。

「……それ、……返して。……ケットルが、……大事に、……磨いてた。……泥棒」

 ミルが杖を握りしめ、紅い瞳に冷たい怒りを宿す。

 室内の魔力濃度が急激に上昇し、空気がパチパチと鳴り始めた。

 ミルの精密な制御が、怒りによって「破壊」へと傾こうとしている。

「ミル、ダメだよ! ここで手を出したら、うちらが犯罪者にされちゃう!」

 クレアが必死にミルを抱きしめ、その魔力を抑え込む。

 自警団の男たちは、押収した回路を乱暴に袋に詰め込むと、勝ち誇ったような顔で玄関へと戻っていった。

「……この回路は自警団で預かる。身の潔白が証明されるまで、お前たちはこの家からの外出を禁じる。……大人しくしていろ、『リトル・リンク』」

 バザルたちが去った後、静まり返ったリビングには、踏み荒らされた床の汚れと、半分に割れたミルの大切なお皿だけが残されていた。

「……論理的に見て、これは組織的な『包囲網』ですね。シルヴィア一人の嫌がらせにしては、自警団の動きが早すぎる。……背後に、もっと大きな力が働いています」

 セインが割れた皿を拾い上げながら、静かに、けれど燃えるような声で言った。

 昨夜の幸せな宴は、遠い過去のことのように感じられた。

「……ごめん。……あたいがもっと隠しておけば……」

 珍しく肩を落とすケットル。その頭を、クレアが優しく撫でた。

「ケットルのせいじゃないよ。……うちらが強くなり始めたから、怖がってる奴らがいるんだ。……だったら、見せてやろうよ。リトル・リンクは、これくらいじゃ折れないってところを」

 窓の外、昨夜の紫煙を吐き出した男が、遠くからその様子を眺めて冷笑している。

 奪われた誇りと、閉ざされた城。

 リトル・リンク、最大の試練が幕を開けた。

 リトル・リンク、今日も(怒りと悔しさを糧に)ちょっとだけ成長中。

まだ始まったばかりのこの新章、どうか最後まで見届けていただければ幸いです。

もし「自警団に負けるな!」「セインの反撃が楽しみ!」と思っていただけましたら、下の**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして応援いただけると、本当に飛び上がるほど嬉しいです。

ブックマークや評価が、私の最高のガソリンになります!

次回、第62話。

軟禁状態に置かれた五人のもとへ、密かに届けられた「一通のメモ」。

それは、意外な協力者からの救いの手でした。

引き続き、応援よろしくお願いいたします!

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