第58話 巨像の沈黙、そして「プロ」の握手
いつも応援ありがとうございます。
ついにエルダー・ゴーレムを沈黙させたリトル・リンク。
「破壊」ではなく「停止」を選んだ彼女たちの知恵が、意外な形での「戦利品」をもたらします。
プロ同士が認め合う、温かい勝利の瞬間をお楽しみください!
ズゥゥゥン……。
地響きと共に、山のような巨躯を誇ったエルダー・ゴーレムが、その膝を折った。
あれほど激しく吹き荒れていた魔力の嵐が嘘のように、古城跡には静寂が戻る。
「……やった。……心臓、……止まった」
ミルの呟きと共に、ゴーレムの足首にあるハッチが内側から開いた。
中から這い出してきたのは、煤とオイルにまみれた、けれど満足げな表情の五人だった。
「おーい! アリスターさん、ガレスさん! こっちは終わったよー!」
クレアが大きく手を振ると、盾を置いて息を整えていたガレスが、驚愕の表情で立ち上がった。
「……マジかよ。あの化け物を、中から本当に止めちまいやがった。……おいアリスター、聞いたか? 俺たちが正面で突っつくだけで、本当に終わっちまったぜ!」
アリスターが、折れた自身の剣を鞘に収め、ゆっくりと歩み寄ってくる。
その青いマントは戦いの激しさを物語るようにボロボロだったが、その瞳には最高の称賛が宿っていた。
「見事だ、リトル・リンク! 我々だけでは、あと数時間は削り合いを続けなければならなかった。……君たちは、戦場の時間を半分に縮めてくれたんだ」
アリスターはクレアの前に立つと、右手を差し出した。
今度は「助けてあげた側」ではなく、「共に勝利を掴んだ相棒」としての握手だった。
「論理的に見て、アリスター様たちの足止めがなければ、私たちは潜入することすら叶いませんでした。……これは、私たちの勝利ではなく、合同パーティとしての成果です」
セインが眼鏡の汚れを拭いながら冷静に分析するが、エレナがその肩を優しく叩いた。
「謙遜しないで、セインさん。……あの複雑な回路を瞬時にデバッグするなんて、並の魔導師には一生かかっても無理よ。……あなたたちは、立派なプロフェッショナルだわ」
「……エレナ、……ありがと。……また、……一緒に、……やりたい」
ミルがエレナの手に自分の小さな手を重ねると、戦場に柔らかな空気が流れた。
だが、職人のケットルだけは、別の場所に目を輝かせていた。
「ガハハ! 感傷に浸るのは後だ! ほら、見てみなよ。ゴーレムが止まったおかげで、中身の『古代回路』が傷一つなく手に入ったぞ!」
ケットルの手には、鈍く光る金色の配線パーツが握られていた。
破壊ではなく「停止」させたからこそ手に入った、時価金貨数十枚はくだらない一級の戦利品。
「……これ、……売ったら、……最高級の、……レバー、……食べ放題?」
ミルの言葉に、全員が思わず吹き出した。
夕焼けに染まる古城跡。
かつては「最弱」と笑われた小さな五人が、Bランク上位のプロたちと肩を並べ、最高の戦果を分かち合っていた。
リトル・リンク、今日も(最高の報酬と仲間と共に)ちょっとだけ成長中。
第58話をお読みいただき、ありがとうございました。
アリスターとの握手、そしてケットルが見つけた貴重な戦利品。
彼女たちの「精密な仕事」が、ようやく実利としても実を結び始めました。
【作者より】
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次回、第59話。
リフェルナに戻った五人を待っていたのは、ギルドからの手のひら返しと、さらなる「大きな影」でした。
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