第56話 巨大な壁の隙間、潜入の「針」
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
『蒼穹の剣』が正面で巨像を抑え、リトル・リンクが内部を穿つ。
プロとプロが信頼で繋がる、熱い共同戦線が始まります。
狭い通路、迫る罠。彼女たちの「精密さ」が、ついに真価を発揮します!
「行くぞ! ガレス、エレナ、合わせろ!」
アリスターの鋭い号令と共に、戦場が爆発した。
Bランク上位の『蒼穹の剣』が、その練度を見せつける。
大男ガレスが巨大な盾を構えて突進し、ゴーレムの鉄槌を正面から受け止める。凄まじい衝撃波が広場を揺らしたが、ガレスの一歩は微塵も揺るがない。
「へっ、この程度かよ! 嬢ちゃんたち、道は作る。さっさと行け!」
頭上からはエレナの精霊魔法が降り注ぎ、ゴーレムの視覚素子を眩い光で焼き払う。
巨大な守護像が、苛立ちを隠せないように巨体を揺らした。
「……今です。カノン、先行を。論理的に見て、次の攻撃までの隙は三・二秒」
セインの冷静なカウントに合わせ、カノンが風のように駆け出した。
彼女の足元、ゴーレムの巨大な足首の装甲には、わずか数十センチの「メンテナンス用」の隙間が開いている。
「……了解! みんな、離れず付いてきてよ!」
カノンを先頭に、リトル・リンクの五人が猛然とダッシュする。
巨像の足元を潜り抜け、鉄の匂いと古びた魔力が充満する内部空間へ。
背後でアリスターたちがゴーレムの注意を引きつけてくれるおかげで、五人は無傷で潜入に成功した。
内部は、人一人がようやく通れるほどの狭い通路が、血管のように張り巡らされていた。
「……暗い。……でも、……魔力の流れ、……見える。……あっち、……心臓」
ミルが杖の先を淡く光らせ、複雑に絡み合った魔導回路の「急所」を指し示す。
だが、通路の奥からは、侵入者を排除するための防衛機構――小型の自律型ドローンが次々と現れた。
「ガハハ! 狭いところの喧嘩なら、あたいたちの独壇場だよ!」
ケットルが『超高圧魔導洗浄砲』のノズルを構える。
狭い通路では、広範囲を薙ぎ払う高圧水流は最強の武器だった。
迫りくるドローンが、水の圧力で一瞬にしてスクラップへと変わり、通路の壁ごと「清掃」されていく。
「……ふふ。これ、本当に掃除してるみたいだね」
クレアが『切ない剣』を抜き放ち、水流を逃れたドローンを正確に切り裂く。
かつては逃げることしかできなかった強大な敵。
けれど今は、プロが背中を預けてくれ、仲間が道を切り開き、自分の剣がそれを助ける。
「……よし! このまま最深部まで、一気に駆け抜けるよ!」
小さな五人の「針」が、巨大な守護像の内部を確実に蝕んでいく。
リトル・リンク、今日も(巨大な敵の心臓を目指して)ちょっとだけ成長中。
第56話をお読みいただき、ありがとうございました。
ガレスたちの頼もしい盾と、リトル・リンクの鮮やかな潜入。
「自分たちにしかできない役割」を全うする彼女たちの姿は、書いていてもワクワクします。
【作者より】
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