第54話 職人の意地と、遠征への第一歩
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
格上パーティの副官、エドワード。
彼が持ち込んだ「相棒」を叩き直したリトル・リンクは、いよいよ恩人アリスターの待つ地へと向かいます。
「物を大切にする」という、当たり前だけど忘れがちな強さが、物語を動かしていきます。
カン、カン、と。
地下二層の工房に、心地よい金属音が響き渡る。
エドワードが持ち込んだ大剣は、今や炉の炎の中で真っ赤に熱せられていた。
「ガハハ! こいつはひどいねぇ。表面は立派に見えるが、中身の魔力回路がズタズタだ。……持ち主が無理な使い方をした証拠だよ」
ケットルが煤を拭いもせず、職人の眼で大剣を睨みつける。
傍らで見守るエドワードは、居心地悪そうに肩を窄めていた。
「……面目ない。シルヴィア様の期待に応えようと、強引に魔力を流し込みすぎた。俺には、それしか能がないと思っていたからな」
「……馬鹿だね。武器は道具じゃない、あんたの体の一部なんだよ。……ほら、クレア。こいつに例の『余り物』を混ぜな!」
ケットルの指示で、クレアが『切ない剣』を鍛えた際に出た、ミスリルの微細な破片を炉に投げ込む。
さらにセインが論理的な術式を編み込み、ミルが過剰な熱を抑制する。
リトル・リンク全員の力が、かつての「敵」の武器へと注がれていった。
数時間後。
水瓶から上がった大剣は、元の無骨さを残しつつも、刃先には流麗な銀の紋様が浮き出ていた。
「……信じられん。魔力が、指先から吸い込まれるように馴染む。……前の時より、ずっと軽い」
エドワードが震える手で剣を握る。
それはただの修理ではない。リトル・リンクという『繋がり』が吹き込んだ、新しい命だった。
「……代金は、レバー一ヶ月分。……忘れないで」
ミルが釘を刺すと、エドワードは力強く頷き、深く頭を下げて地上へと戻っていった。
恩義という名の『鎖』を、彼はリトル・リンクとの間に結んだのだ。
翌朝。
リフェルナの門の前には、旅支度を整えた五人の姿があった。
「よし! 忘れ物はないね? 洗浄砲の予備タンク、セインの薬草、ミルの保存食、カノンの……えっと、へそくり?」
「へそくりじゃないよ、非常用資金! ……さあ、行こうよ。アリスターさんたちが待ってる」
カノンに急かされ、五人は歩き出した。
目指すは北の街道。そこには、彼女たちの真価を試す、新しい戦場が待っている。
「……最強じゃなくても、うちらにしかできないことがある。……それを証明しに行こう!」
クレアの声に、四人が力強く応える。
朝日を背に受けて、小さなパーティの大きな一歩が始まった。
リトル・リンク、今日も(一歩ずつ確実に)ちょっとだけ成長中。
第54話をお読みいただき、ありがとうございました。
エドワードとの和解、そして旅立ち。
ようやく五人の新しい冒険が始まろうとしています。
【作者より】
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次回、第55話。
待ち合わせ場所で彼女たちを待っていたのは、懐かしい顔と、想像を超える「巨大な壁」でした。
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