第53話 予期せぬ来客と、職人の矜持
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『蒼穹の剣』からの遠征依頼に沸くリトル・リンク。
そんな彼女たちの「城」に現れたのは、まさかの人物でした。
敵か味方か、あるいは……。
リトル・リンクらしい、ちょっと変わった「繋がり」の物語をお楽しみください。
アリスターからの遠征要請を受け、地下工房はかつてない活気に包まれていた。
ケットルが火花を散らし、セインが計算盤を叩き、カノンが消耗品の在庫を確認する。
そんな中、地上階の玄関から控えめな、けれど確かなノックの音が響いた。
「……また、あの婆さんかな。……それとも、……借金取り?」
ミルが眠そうに目を擦りながらドアを開けると、そこには意外すぎる人物が立っていた。
銀色の鎧を脱ぎ、地味な旅装に身を包んだ大柄な男。
昨日、シルヴィアの傍らでリトル・リンクを威圧していた『轟雷の牙』の副官、エドワードだった。
「……お前たちか。……少し、話をさせてもらえないだろうか」
昨日の傲慢な態度は影を潜め、その声には困惑と、どこか切実な響きが混じっていた。
「論理的に見て、リベンジに来たわけではなさそうですね。……入りなさい。ただし、暴れるなら地下の魔力バイパスを直結して吹き飛ばしますよ?」
セインの物騒な歓迎を受け、エドワードは恐縮しながらリビングの椅子に腰を下ろした。
「……単刀直入に言おう。シルヴィア様には内緒だ。……昨日の、あの『洗浄砲』。あれを見て、確信した。……俺の、この使い古された大剣を、直せるのはお前たちしかいない」
彼が差し出したのは、刃のあちこちが欠け、魔力伝導が死に体となった無骨な大剣だった。
エリートパーティの副官が、わざわざ格下の『最弱』に修理を頼みに来たのだ。
「ガハハ! 面白いことを言うねぇ! 敵の武器を直してやれってのかい?」
地下から上がってきたケットルが、煤けた顔で笑う。
しかし、エドワードの目は真剣だった。
「……シルヴィア様は、壊れたら買い換えればいいと仰る。だが、こいつは俺が新人の頃から共に歩んできた相棒なんだ。……頼む。お前たちの、あの『物を大切にする強さ』を、俺にも分けてくれ」
クレアはその言葉を聞き、自分の『切ない剣』をそっと見た。
道具をただの消耗品と思わない心。それは、リトル・リンクが最も大切にしてきたものだった。
「……いいよ、ケットル。うちらの『城』に助けを求めてきた人を、追い返したりしないよね?」
「……フン。仕方ないねぇ。……ただし、代金は高いよ? 市場で一番いいレバーを、一ヶ月分だ!」
ケットルの言葉に、エドワードは驚いたように目を見開き、それから深く、深く頭を下げた。
「……感謝する。恩に着るぞ、リトル・リンク」
昨日の敵が、今日は不器用な依頼人。
新しい繋がりは、戦場以外の場所でも、少しずつ、けれど確かに結ばれ始めていた。
リトル・リンク、今日も(意外な縁を繋いで)ちょっとだけ成長中。
第53話をお読みいただき、ありがとうございました!
まさかのエドワード登場。シルヴィアのような「効率重視」の考え方になじめず、物を大切にするリトル・リンクに助けを求めた彼の姿に、少しだけ親近感が湧きました。
【作者より】
まだ書き始めたばかりの物語ですが、ここまでお付き合いいただき本当に感謝しています。
もし「この後の展開が気になる!」「エドワード、実はいい奴かも」と少しでも思っていただけましたら、下の**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして応援いただけると、執筆の大きな、大きな励みになります。
ブックマーク一つ、評価一つが、リトル・リンクを「最弱」から一歩ずつ進ませる原動力になります。
次回、第54話。エドワードの剣を叩き直すケットルの職人魂が炸裂します。
どうぞ、引き続きお付き合いください!




