第213話 老執事の「告白」、深淵の汚れと鳳凰の全自動洗濯機
三杯目の紅茶を飲み干し、鳳凰の羽毛クッションに骨抜きにされたセバスが、ようやく重い口を開いた。
かつてミルを厳しくも温かく導いた老執事の瞳には、一族の誇りと、それを上書きするほどの「切実な悩み」が宿っている。
「……ふぅ。……じいや、……お胸の……おく、……真っ黒な……魔力……一秒前。……ミル、……事件の……におい……視る……一秒前。……あ、……それ……。……一族の……聖域……。……カビ……生えた……三秒前。……ううん……、……もっと……しつこい……闇の……汚れ」
ミルの実況。彼女が**『もう壊さない杖』**を振ると、セバスが取り出した「漆黒の儀式服」に、鳳凰の鑑定光が照射された。
吸血鬼の彼女には、一族の長老が代々受け継いできたその国宝級の礼装が、正体不明の「粘着質な闇の煤」に汚染され、家宝としての輝きを失っているのが視えていた。
「ガハハ! 冗談じゃないよ! 吸血鬼の聖域が結露とカビでドロドロなんて、末代までの恥だよ! ――セイン、じいやが持ってきたそのボロ布、アタシの特製『次元振動・全自動洗濯機』に叩き込みな!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**から「超音波・魔力剥離ノズル」を取り出した。
ドワーフの職人にとって、落ちない汚れは宣戦布告と同じ。彼女は、セバスが「これは一族の魂……人の手では決して……」と絶望するその服を、鳳凰の熱源で温めた聖水が渦巻くドラムの中へと無造作に放り込んだ。
「……論理的に見て、……その……汚れは……数世紀……蓄積……した……怨念の……残留……物です。……構造解析……。……っ、……繊維の……奥まで……呪いが……固着……! ……環境上書き……! ……洗濯機内の……時間を……一〇〇倍へと……固定……し、……鳳凰の……慈悲で……汚れを……分子……レベルまで……分解しなさい……!!」
セインの眼鏡が黄金色に輝き、洗濯機が黄金の光を放って高速回転を始めた。
ハーフエルフの理知的な瞳が、呪いの「根っこ」を正確に排除。彼女の演算により、数百年放置された闇の煤は、鳳凰の洗浄液によってただの「色付きの水」へと書き換えられ、排水溝の彼方へと消え去っていった。
「……あはは、……やっぱり……あっちの……おじいさまが……洗い上がりの……真っ白な……(黒いけど)……輝きに……腰を……抜かす……ほうに……銀貨……三枚……!! ……ねえ、……クレア……、……あたいが……一族の……城ごと……洗浄……する……見積書……渡すか……賭ける……!?」
カノンが、銀靴を鳴らして乾燥し終えたばかりの儀式服をふんわりと受け止めた。
回避タンクとしての気配り。彼女は、セバスが「おおお……先祖代々の……呪いが……これほど……あっさりと……」と震えながら服を抱きしめるのを、四層特製の「香草柔軟剤」の香りと共に優しく見守った。
私は、虹色の筋が走る**『銀竜の絆』**を一度撫で、呆然とするセバスに微笑みかけた。
「……セバス様。……一族の……悩み……、……まずは……お洗濯……から……解決……ですね。……次は……、……その……カビ臭い……お城の……『空気清浄』……、……私たちが……請け負い……ましょうか?」
リトル・リンク、今日も(古の吸血鬼の一族の呪いを『頑固な汚れ』として鳳凰の力で洗い流しながら)ちょっとだけ成長中。
第213話をお読みいただき、ありがとうございました。
吸血鬼の一族からの依頼は、なんと「家宝の洗濯」!
数世紀分の呪いがこびりついた儀式服も、リトル・リンクの「全自動洗浄システム」の前では、ただの汚れた洗濯物に過ぎませんでした。
セインの分子分解と鳳凰の洗浄により、一族の魂はかつてない輝き(とフローラルな香り)を取り戻しました。
次回、一行はミルの故郷、闇の古城の「大掃除」へと乗り出すことに!?
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