第202話 王家のお泊まり会、禁断の「夜食」と四層キノコの誘惑
黄金の「聖域」から生還し、憑き物が落ちたような顔のエドワード陛下。
王妃イザベラ様とレオナルド殿下、そして国王。王国の頂点に立つ一家が、我が家のリビングで鳳凰の羽毛ソファに深く沈み込み、もはや帰る気配を微塵も見せていない。
「……ふぅ。……おなかの……おと、……大合唱……三秒前。……ミル、……魔力……視る……一秒前。……あ、……陛下……、……王冠……の……重さ……より……、……空腹の……ほうが……重い。……お夜食……、……作って……一秒前」
ミルの警告。彼女が**『もう壊さない杖』を掲げ、キッチンへと視線を送った。
吸血鬼の彼女には、王家一家の胃袋が「快適すぎる環境」によって活性化し、猛烈な飢餓状態に陥っているのが視えている。私は、虹色の筋が走る『銀竜の絆(ドラゴニック_リンク)』**を一度磨き、エプロンを締め直した。
「ガハハ! 冗談じゃないよ! 国王一家が揃って深夜にラーメンを啜るなんて、歴史書がひっくり返るよ! ――セイン、四層で採ってきた『翠緑の舞茸』をスライスしな! アタシの特製『鳳凰の出汁』をぶっかけるんだよ!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**から取り出した「超速・沸騰釜」に鳳凰の熱源を直結させた。
ドワーフの職人にとって、最上級の「味」で権威を黙らせるのは最高の娯楽。彼女は、四層の主が守っていた希少なキノコを、鳳凰の旨味成分を凝縮したスープへと惜しみなく投入していく。
「……論理的に見て、……深夜の……炭水化物……摂取は……背徳的……快楽……です。……構造解析……。……っ、……麺の……腰……、……弾力指数……一二〇%……! ……環境上書き……! ……ダイニングの……照明を……暖色系の……食欲増進……モードへと……固定……し、……王家の……理性を……完膚なきまで……破壊しなさい……!!」
セインの眼鏡が黄金色に輝き、食卓に立ち上る湯気が黄金色の「誘惑のオーラ」を放った。
ハーフエルフの理知的な瞳が、一家の味覚野をピンポイントで刺激する。彼女の演算により、四層キノコの芳醇な香りは陛下の鼻腔をダイレクトに直撃し、王としての自制心を「一ミリ」も残さず消し去ってしまった。
「……あはは、……やっぱり……あっちの……陛下が……一口……食べた瞬間に……『うむ、……これこそ……国の……宝……!』って……叫ぶ……ほうに……銀貨……三枚……!! ……ねえ、……クレア……、……あたいが……王妃様に……替え玉……勧めるか……賭ける……!?」
カノンが、銀靴を鳴らして王妃様の空になった器をひらりと回収した。
回避タンクとしての気配り。彼女は王妃が「お、おほほ……これはいけませんわ、カロリーが……」と躊躇うのを、「四層の野菜は実質ゼロ魔力だよ!」と根拠のない理屈で丸め込み、ついでに殿下の分まで大盛りをよそった。
数分後。
王国の頂点に立つ一家が、無言で、しかし必死の形相で「翠緑の夜食」を啜り、最後の一滴まで完食した。
「……クレア。……私は……決めた。……この家を……離宮に……するのではない。……王宮を……この家に……近づけるのだ。……まずは……、……あの……『自動で尻を洗う魔法』を……全国民に……普及させるべく……国家予算を……組み直そう」
エドワード陛下の真剣すぎる眼差し。私は微笑み、虹色の剣をそっと撫でた。
「……ふふ、……それが……いいかもしれませんね、陛下。……でも……、……明日の……朝食は……もっと……凄いですよ?」
リトル・リンク、今日も(王国の最高指導者たちを、四層の味覚と深夜の誘惑で完全に骨抜きにしながら)ちょっとだけ成長中。
第202話をお読みいただき、ありがとうございました。
王家一家、深夜の「特製キノコラーメン」に完全敗北!
鳳凰の出汁と四層のキノコの暴力的な旨味の前に、王の威厳もダイエットの誓いも全て消え去りました。
陛下がついに「全土のトイレ革命」を国家プロジェクトに掲げる決意を固めたようで、リトル・リンクの影響力はもはや一冒険者の枠を超え始めています。
次回、一家で「鳳凰の湯」に家族入浴!? 王宮への帰還がどんどん遠ざかっていきます。
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