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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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188/225

第188話 庭先の「掃除」、鳳凰の旋風と暗殺者の後悔

庭の慣性を三倍に書き換えたセインの術式により、光学迷彩を解いて姿を現した暗殺者たちは、まるで深海を歩くような鈍重な動きを強いられていた。

 私は、虹色の筋が走る**『銀竜のドラゴニック・リンク』**の切先を地に向断ち、震える足を踏ん張るレオナルド殿下の肩を軽く叩いた。

「……殿下、……呼吸……忘れてる。……次……、……その……木剣……、……私の……影を……追って。……これ……、……実戦……だけど……、……ただの……お掃除……と同じ……」

「……は、はい! ……やってみせます、クレア殿!」

 王子の叫び。その背後で、ドワーフの職人が高笑いと共に巨大な筒を肩に担ぎ上げた。

「ガハハ! 冗談じゃないよ! アタシが磨き上げた庭に泥靴で踏み込むたぁ、いい度胸だねぇ! ――セイン、連中の足元に『超潤滑油』をバラ撒きな! 鳳凰の熱で沸騰させてやるんだよ!」

 ケットルが、**『巨大背負い袋』**から取り出した洗浄砲を、今度は攻撃転用した「高圧蒸気砲」としてぶっ放した。

 ドワーフの彼女にとって、不法侵入者は家の資産価値を落とす害虫に過ぎない。噴射された熱水が、暗殺者たちの足元を瞬時に沸騰するスケートリンクへと変えた。

「……ふぅ。……あっちの……人、……転んだ。……ミル、……悲鳴……視える……一秒前。……そこ……、……右手の……ナイフ……、……落とした。……王子様……、……いま……! ……振り下ろして……! ……三……二……一……、……いって……!」

 ミルが、静かに**『もう壊さない杖』**を掲げ、王子の木剣に「必中」の重力魔力を付与した。

 吸血鬼の彼女には、転倒し、慣性の沼でもがく暗殺者の隙が丸見えだった。王子の振るった木剣は、ミルの誘導を受けて、暗殺者の手首を正確に強打し、毒の塗られた得物を弾き飛ばした。

「……論理的に見て、……敵の……陣形は……完全に……瓦解……しています。……構造解析……。……っ、……残存……五名……、……一斉……掃射……の……予兆……! ……環境上書き……! ……庭の……空間……屈折率を……万華鏡へと……固定……し、……標的を……迷走……させなさい……!!」

 セインの眼鏡が黄金色に輝き、庭の景色が何千もの鏡のように分裂した。

 ハーフエルフの理知的な瞳が、暗殺者たちの視神経をジャック。彼女の演算により、敵が放った無数の毒針は、虚像の空間を彷徨った末に、自分たちの仲間の背中へと吸い込まれていった。

「……あはは、……やっぱり……あっちの……リーダー格が……あたいの……銀靴に……翻弄されて……泡吹く……ほうに……銀貨……三枚……!! ……ねえ、……クレア……、……あたいが……あいつらを……生け捕りにして……トイレ掃除……させるか……賭ける……!?」

 カノンが、銀靴を鳴らして敵陣のど真ん中をひらりと舞った。

 回避タンクとしての遊び心。彼女は混乱する暗殺者たちの死角から、その関節を次々と蹴り折り、文字通り一網打尽にしていく。

 数分後。

 庭には、縛り上げられた暗殺者たちの山と、自分の意志で一人の敵を無力化したレオナルド殿下の雄姿があった。

「……やった。……やったぞ、クレア! ……私は、……自分の……この手で……!!」

 王子の瞳には、王宮の温室では決して得られなかった「勝利の熱」が宿っていた。

 私は剣を納め、少しだけ誇らしくなった王子の頭を、乱暴に撫でた。

「……合格……ですね、……殿下。……さて、……お掃除の……後は……、……また……あの……最高級……シャワーで……汗を……流し……ましょうか」

 リトル・リンク、今日も(王位継承権を狙う暗殺者を「資材」として活用し、少年の初陣を華々しく飾りながら)ちょっとだけ成長中。

第188話をお読みいただき、ありがとうございました。

暗殺者襲撃という絶好の「実戦教材」を得て、レオナルド殿下がついに初戦星を挙げました!

セインの空間歪曲とカノンの超速制圧、そしてリトル・リンク流の「教育」が実を結んだ瞬間です。

捕らえた暗殺者たちは、きっとこの後、ケットルの厳しい監督のもとで家の裏庭の草むしり(強制労働)に従事することになるでしょう。

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