第154話 束の間の休息、自動洗浄トイレと「深夜の作戦会議」
レストラン「碧い月」での至高のフルコースを終え、はち切れんばかりの腹を抱えた五人は、夜風に吹かれながら我が家へと辿り着きました。
玄関の扉を開ければ、そこには使い慣れた家具と、戦いの汚れを癒やす「聖域」が待っていました。
「……ふぅ。……おなかいっぱい。……ミル、……もう……一歩も……動けない。……血液濃度、……理想的。……このまま……クッションに……溶けちゃう。……おやすみ……一秒前」
ミルが、玄関ホールで**『もう壊さない杖』**を抱えたまま、リビングのソファへと倒れ込みました。
吸血鬼の彼女にとって、極上の食事と魔力補給は最高の睡眠薬です。彼女の銀髪がソファに広がり、規則正しい寝息が静かな室内に響き始めました。
「ガハハ! 冗談じゃないよ! 腹が満たされたら、次は体の汚れを落とす番だい! ――見ておくれよ、この輝き! アタシたちの自慢の『自動洗浄トイレ』様が、今日もピカピカにアタシたちを待っててくれてるよ!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**を放り出し、一番乗りで脱衣所へと駆け込みました。
ドワーフの彼女にとって、泥と硝煙にまみれた体を洗い流し、最新技術の結晶である自動洗浄機能を堪能するこの瞬間こそ、文明生活への帰還を実感させる儀式でした。
「……論理的に見て、……現時点での……疲労回復……効率は……睡眠……導入……前の……入浴……に左右……されます。……構造解析……。……っ、……お湯の……温度……、……設定値より……一度……高い……です! ……環境上書き……! ……私たちの……筋肉の……凝りを……完全に……弛緩……させなさい……!!」
セインが、眼鏡の奥で黄金色の「リラクゼーション術式」を展開しました。
ハーフエルフの理知的な管理能力は、家事においても一切の妥協を許しません。彼女は浴室の蒸気密度を最適化し、仲間たちが明日、最高のコンディションで目覚めるための完璧な調整を終えていました。
「……あはは、……やっぱり……おうちは……最高……だねぇ!! ……ねえ、……クレア……、……あたいが……お風呂……から……上がる……までに……セインが……何回……『論理的』……って……言うか……賭ける……!?」
カノンが、銀靴を脱ぎ散らかして、軽快なステップで浴室へと向かいました。
ギャンブル好きの彼女にとって、日常の些細な出来事さえもが博打の対象。金貨袋が潤った今の彼女は、負けても笑っていられるほどの余裕に満ち溢れていました。彼女の瞳は、明日の買い出しで手に入れる新装備への期待でキラキラと輝いています。
「……ふふ、……カノン……、……賭けないよぉ。……でも、……本当におうちに帰ってこれて……良かったね。……明日からは、……また……あの空の……続き……だもんね」
クレアが、虹色の筋が走る**『銀竜の絆』**を丁寧に手入れし、壁の武器掛けに戻しました。
かつての彼女なら、休息の間に誰かに追い抜かれる恐怖を感じていたでしょう。でも今は、この温かい家と、頼もしい仲間たちが、次の一歩を踏み出すための「確かな力」を与えてくれていました。
リトル・リンク、今日も(自動洗浄トイレの音を子守唄に、温かい布団の中で明日の成長を夢見ながら)ちょっとだけ成長中。
第154話をお読みいただき、ありがとうございました。
激闘と美食の後の、リトル・リンクの日常回をお届けしました。
自動洗浄トイレのある我が家は、彼女たちにとって何物にも代えがたい安息の地。
ミルの満足げな寝顔や、セインの完璧な温度管理、そして相変わらずの機嫌で賭けを提案するカノン。
英気を養った彼女たちの次なる目的は、金貨150枚を軍資金にした「装備の大幅強化」です!
空中庭園のさらなる高みへ挑むため、どんな新兵器や魔法具が登場するのか。
「カノンの賭けが生活に馴染みすぎてるw」「セインのお風呂管理、至れり尽くせりで羨ましい……」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援いただけると励みになります!




