第125話 断ち切る未練、銀竜が穿つ「不浄の核」
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洋館の「主」が用意した最初のもてなしは、かつて打ち倒したはずの強敵、オークジェネラルの亡霊でした。
死を否定し、怨念の魔力で強化されたその巨躯は、生前よりも遥かに厄介な「不死」の特性を纏っています。
ですが、リトル・リンクもあの頃のままではありません。
進化した装備と、絆が生んだ新奥義。
過去の自分たちを乗り越えるための、真の決着が今、幕を開けます。
リトル・リンク、今日も(過去の強敵を、今度は一瞬で超えながら)ちょっとだけ成長中!
「……ふぅ。……お墓、……掘り起こされた。……死んだ……のに、……ゆっくり……眠らせて……もらえない。……かわいそう、……だけど。……ミル、……これ以上……あそばれるの……見てられない」
ミルが、紅く激しく拍動する**『もう壊さない杖』**を両手で握りしめた。
吸血鬼の彼女には、眼前の将軍がすでに魂を失い、ただの「術式の残骸」として操られているのが痛いほどわかっていた。
それは、死者を冒涜する最悪の魔法。ミルの瞳が、怒りで深い真紅へと染まっていく。
「ガハハ! 冗談じゃないよ! アタシたちが命がけで打ち込んだあの傷跡が、紫の霧で塞がってやがる! 生きてる時よりしぶといなんて、職人泣かせにも程があるねぇ!」
ケットルが、強化されたパチンコに特製の「浄化塩入り爆裂弾」を装填した。
ドワーフの直感は、物理的な破壊だけではこの亡霊を止められないと告げている。
亡霊将軍が大剣を振り上げると、周囲の空気が重く澱み、逃げ場のない圧力がホールを支配した。
「……論理的に見て、……再生……速度が……異常……です。……構造解析……。……っ、……この……ホールの……鏡……! ……あそこから……絶えず……魔力が……供給……されています! ……環境上書き……! ……供給……回路を……遮断……しなさい……!!」
セインが、新調された眼鏡の奥で解析術式を幾重にも展開した。
ハーフエルフの緻密な術式が、亡霊将軍と鏡を繋ぐ「見えない糸」を焼き切ろうとする。
だが、将軍はそれを阻むように、地響きを立てて突進してきた。
「……あはは、……一秒……どころか……コンマ……一秒……! ……あたい……全部……引き受けるよぉ!! ……みんな、……準備して……!!」
カノンが、銀靴の踵を火花が散るほど激しく打ち鳴らした。
回避タンクとしての真骨頂。彼女は亡霊将軍の鼻先を掠めるようにして跳び、その注意を自身に固定させる。
漆黒の大剣が絨毯を切り裂き、大理石の床を粉砕するが、カノンはまるで風に舞う羽のように、そのすべてを無傷でかわし続けた。
「……みんな、……今だよ!! ……私に、……少しだけ……時間を……貸して!!」
クレアが、虹色の筋が走る**『銀竜の絆』**を正眼に構えた。
彼女の内に眠る魔力が、地底竜の鱗粉と共鳴し、刀身を白銀の奔流へと変えていく。
以前、森で使った時よりも、その光はより密度を増し、鋭く、研ぎ澄まされていた。
「……ん。……カノン、……よけて。……ミル、……お掃除……する。……爆ぜて、……不浄の……霧……!!」
ミルの杖から放たれた極大の魔弾が、将軍の足を直撃した。
同時に、ケットルの放った浄化弾が周囲の紫の煙を霧散させる。
「……環境上書き……! ……因果……逆転……! ……その……不死の……檻を……壊しなさい……!!」
セインの絶叫に近い術式付与。
クレアは、一気に間合いを詰めた。
白銀に輝く剣が、亡霊将軍の胸部、かつて自分が貫いた「あの一点」を再び見据える。
「……ごめんね、……将軍。……今度こそ、……ゆっくり……眠らせて……あげる……!!」
クレアが放ったのは、魔力を極限まで纏わせた、渾身の突き。
**『銀竜の絆』**の先端から放たれた光の矢が、将軍の鎧を、そしてその背後にある巨大な鏡をも、真っ向から貫いた。
ガギィィィィン……ッ!!
耳を劈くような硬質な音と共に、鏡が粉々に砕け散る。
供給源を絶たれた亡霊将軍の巨躯は、光の中に溶け込むようにして、静かに霧散していった。
あとに残ったのは、静まり返った豪華なホールと、二階へと続く新たな階段だけだった。
「……はぁ、……はぁ。……勝てた、……のかな……。……でも、……さっきより……魔力の……減りが……少ない……?」
クレアが自分の手を見つめる。
ただ闇雲に放出するのではなく、必要な瞬間に必要なだけ纏わせる。
彼女は実戦の中で、確実に新たな力を自分のものにしつつあった。
リトル・リンク、今日も(過去の亡霊を乗り越え、確かな手応えを噛み締めながら)ちょっとだけ成長中。
第125話をお読みいただき、ありがとうございました。
かつての強敵との再戦。
一度は死闘を繰り広げた相手を、進化した連携と研ぎ澄まされた魔力纏いで打ち破りました。
特にクレアの魔力操作が実戦の中で洗練され、無駄な消費を抑えつつ最大火力を叩き出せるようになってきたのは、パーティにとっても大きな前進です。
しかし、洋館の主は依然として姿を見せません。
砕け散った鏡の奥、二階へと続く階段の先には、果たして何が待ち受けているのでしょうか。
「カノンの回避が今回も冴え渡ってる!」「ミルの不浄を嫌う仕草に、高潔な吸血鬼のプライドを感じるw」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援いただけると励みになります!
次回、第126話。
二階の回廊で彼女たちを待ち受けるのは、より巧妙な心理的罠……?
お楽しみに!




