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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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124/225

第124話 招かれざる晩餐、鏡合わせの「亡霊」

いつも応援ありがとうございます!

地下の深緑を抜けた先に現れた、あり得ないはずの豪華な洋館。

「主がお待ちしております」という執事の言葉に導かれ、リトル・リンクの五人はその重厚な扉を潜ります。

一歩足を踏み入れた瞬間に感じたのは、空間そのものが「作り替えられた」ような歪な感覚。

そこは、第一階層で倒したはずの「軍勢」の記憶が、悪意を持って再現された迷宮でした。

リトル・リンク、今日も(豪華な絨毯の感触に、裏切りを予感しながら)ちょっとだけ成長中!

「……ふぅ。……じゅうたん、……ふかふか。……でも、……足元、……沈んでる……気がする。……血の……匂いが、……壁の……裏から……してる」

 ミルが、ベルベットの深紅の絨毯を**『もう壊さない杖』**の先で突き、嫌悪感を露わにした。

 吸血鬼の嗅覚が捉えているのは、館を包む芳醇な香水の匂いの下に隠された、おびただしい数の「死の痕跡」だ。

 この美しさは、すべて塗り固められた虚飾に過ぎない。

「ガハハ! 冗談じゃないよ! 外はあんなにどろどろの森だってのに、中は埃一つ落ちちゃいない! アタシの洗浄砲の出番もありゃしないねぇ、気味の悪い!」

 ケットルが、**『巨大背負い袋』**の重みを調整しながら、パチンコの狙いを執事の背中に固定したまま歩いた。

 ドワーフの直感は、この建物の構造が物理的な法則を無視して拡張されていることを告げていた。

 振り返っても、先ほど入ってきたはずの扉は、すでに壁の一部と化して消えている。

「……論理的に見て、……ここは……固有結界……に近い……亜空間……です。……環境上書き……。……解析……妨害……! ……っ、……演算が……ループ……しています。……この……館の……主は……私たちの……過去を……読み取って……いる……可能性があります……」

 セインが、新調された眼鏡のブリッジを指で強く押さえ、歪む視界を必死に繋ぎ止めた。

 ハーフエルフの彼女が視る魔力の色は、壁の絵画、シャンデリア、果ては執事の歩調に至るまで、すべてが「特定の誰か」の意志によって統制されていることを示していた。

「……あはは、……一秒……どころか……一歩……進むごとに……景色が……変わっちゃうよぉ……。……クレア、……あたい……ここ……嫌だよ……」

 カノンが、銀靴の踵をそわそわと鳴らし、クレアの袖を掴んだ。

 回避タンクとして、周囲の「逃げ道」を常に把握している彼女にとって、空間が刻一刻と書き換えられるこの館は、逃げ場のない檻と同じだった。

「大丈夫だよ、カノン。……私の……剣が、……震えてる。……怖がってるんじゃなくて、……怒ってるんだ。……この……不自然な……魔力に」

 クレアが、鞘に納めたままの**『銀竜のドラゴニック・リンク』**の柄を優しく撫でた。

 地底竜の鱗粉が、館の壁から染み出す「偽りの魔力」を拒絶するように、鈍い銀光を放ち始めている。

 執事が立ち止まったのは、吹き抜けの大ホールの突き当たりにある、巨大な鏡の前だった。

『主からの最初のもてなしでございます。どうぞ、ご自身の「成果」をご確認ください』

 執事が恭しく一礼して消えると、鏡の表面が水面のように揺らぎ、中から一体の「騎士」がゆっくりと這い出してきた。

 黒金色の重厚な鎧。身の丈を超えるほどの大剣。

 それは、第一階層で彼女たちが死闘の末に討ち倒したはずの、**『オークジェネラル』**だった。

 だが、その鎧の隙間からは、腐敗した紫色の煙が絶え間なく溢れ出し、瞳の奥には理性のカケラもない「怨念」の炎が灯っている。

「……ん。……空っぽじゃ……ない。……死んだ……のに、……無理やり……動かされてる。……これ、……かわいそう」

 ミルが、悲しげに瞳を細めた。

「ガハハ! ふざけるんじゃないよ! アタシたちが命がけで倒した相手を、こんな悪趣味な人形で弄ぶなんてねぇ!」

「……構造解析……。……個体名……、……亡霊将軍ファントム・ジェネラル。……かつての……強さは……そのままに、……不死の……特性を……付与……されています……! ……環境上書き……! ……そこは……墓場では……ありません……!!」

 セインの叫びと共に、ホールの空間が激しく歪んだ。

 亡霊となった将軍が、大剣を振り上げ、無機質な咆哮を上げる。

「……みんな、下がって! ……一回……勝てたんだもん。……偽物に……負けるわけには……いかないよ!」

 クレアが、虹色の輝きを放つ『銀竜の絆』を抜き放った。

 新しく手に入れた「魔力纏い」の力を、今、再び解放する。

 リトル・リンク、今日も(過去の強敵を凌駕するために、新たな力を研ぎ澄ませながら)ちょっとだけ成長中。

第124話をお読みいただき、ありがとうございました。

 館の正体は、彼女たちの記憶から強敵を再現する「試練の迷宮」でした。

 最初に現れたのは、因縁のオークジェネラル。

 ですが、今のクレアには魔力を纏う新たな一撃があります。

 過去の自分たちを越えるための、リベンジマッチが始まります!

 「執事の慇懃無礼さが鼻につくw」「ミルの『かわいそう』に吸血鬼の深みを感じる……」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援いただけると励みになります!

 次回、第125話。

 亡霊将軍の「死なない」特性を打破する鍵は?

 そして館の二階から、それを見下ろす「主」の正体が明らかに……?

 お楽しみに!

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