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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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123/225

第123話 遺された刻印、深淵に建つ「白亜の館」

いつも応援ありがとうございます!

カノンの驚異的な回避能力と、仲間たちの完璧な連携で「影鎌の王」を退けたリトル・リンク。

ピンチを乗り越えた彼女たちでしたが、倒した魔物の甲殻には、またしてもあの不穏な紋章が刻まれていました。

オーク、そして地下のマンティス。

異なる種族を繋ぐ「共通の支配者」の影。

森の最奥、光なき闇の先に現れたのは、地下にあるはずのない、優雅で残酷な「別荘」でした。

リトル・リンク、今日も(拭いきれない違和感を抱きながら)ちょっとだけ成長中!

「……ふぅ。……かたづいた。……むし、……ばらばら。……これ、……食べられない……から……嫌い。……ミルの……お腹、……ぐーって……鳴ってる」

 ミルが、粘液で汚れた**『もう壊さない杖』**を軽く振り、影鎌の王の残骸を見つめた。

 吸血鬼の彼女は、魔物の生命力が霧散していくのを感じ取っていたが、その消え方にどこか「不自然なノイズ」が混じっていることに、眉をひそめていた。

「ガハハ! 食い気より先に、まずはこいつを見ておくれよ! アタシのサンダー・バードで焦げた甲殻の裏……。……これ、また例のやつじゃないかい?」

 ケットルが、**『巨大背負い袋』**から取り出した精密ドライバーで、王の頭部の装甲を器用に剥がした。

 そこには、第一階層のオークジェネラルの鎧に刻まれていたものと同じ、あの「古き帝国の軍章」が、肉に直接焼き付けられるようにして刻印されていた。

「……論理的に見て、……もはや……偶然……ではありません。……構造解析……。……この……刻印は……魔物の……神経系に……直接……干渉し、……闘争……本能を……増幅させる……ための……魔導回路……として……機能……しています……」

 セインが、新調された眼鏡の奥で冷徹に事実を告げた。

 ハーフエルフの彼女が読み取ったのは、この森の主さえもが、何者かによって「調整」された兵器に過ぎないという残酷な真実だった。

「……あはは、……あたい……一秒……どころか……百年……経っても……こんな……趣味の悪い……こと……したくないよぉ……。……誰が、……何のために……こんな……」

 カノンが銀靴の踵をそわそわと鳴らし、周囲の闇を警戒した。

 回避タンクとして影鎌の王と対峙した彼女は、その動きが野生のそれではなく、まるで「プログラムされた機械」のような正確さを持っていたことを思い出して、背筋に寒いものを感じていた。

「……大丈夫だよ、カノン。……何が……待っていても、……次は……私が……みんなの……前に……立つから。……ほら、……魔力も……少しずつ……戻ってきたよ」

 クレアが、**『銀竜のドラゴニック・リンク』**の柄を握り、ゆっくりと歩き出した。

 地底竜の鱗粉が、彼女の周囲の微かな魔力を吸収し、刀身に静かな輝きを取り戻させていく。

 五人は、影鎌の王が守っていたであろう、森の最奥へと続く細い道を進んだ。

 蔦が絡まり、巨大なキノコが胞子を振りまく幻想的な森を抜けた瞬間、彼女たちの視界に飛び込んできたのは、あまりにも「場違い」な光景だった。

 そこには、地下の闇に白く浮かび上がる、壮麗な石造りの「洋館」が建っていた。

 

 手入れの行き届いた(ように見える)庭園。

 磨き上げられた窓ガラスからは、温かなオレンジ色の明かりが漏れている。

 天井からは豪華なシャンデリアが吊るされ、地下の冷たい風を遮るように重厚な扉が閉じられていた。

「……ん。……おうち。……でも、……ミルの……おうち……より……怖い。……ここ、……生きてる……人の……匂い……しない」

「ガハハ! 冗談じゃないよ! こんな地下深くの森のど真ん中に、誰がこんな立派な館を建てたんだい? 自動洗浄トイレどころか、お化けが出そうな雰囲気じゃないか!」

 ケットルがパチンコを構え直し、呆れたように叫んだ。

「……構造解析……不能。……この……館……、……建物自体が……巨大な……術式……として……成立……しています。……環境上書き……。……拒絶……反応……! ……近づけ……ません……!」

 セインが手をかざすと、館の周囲に不可視の壁が展開され、激しい火花が散った。

 

 その時、館の重厚な正面扉が、ギィ……と音を立ててゆっくりと開いた。

 中から現れたのは、整った身なりをした一人の「執事」のような男だった。

『――ようこそ、リトル・リンクの皆様。主がお待ちしております』

 リフェルナの街の社交界で聞くような、完璧に洗練された礼法。

 だが、その男の瞳には、一切の生気が宿っていなかった。

 リトル・リンク、今日も(あまりにも異様な「招待」に、足を止めながら)ちょっとだけ成長中。

第123話をお読みいただき、ありがとうございました。

 地下の森を抜けた先に現れた、白亜の洋館。

 そして一行の名を知る、不気味な執事。

 第一階層から続く「帝国の刻印」の謎が、この館でついに明かされるのでしょうか。

 クレアの新しい剣『銀竜の絆』が、館に漂う濃厚な魔力に共鳴を始めています。

 「地下に洋館って、ホラー展開すぎるw」「ミルの『生きてる人の匂いがしない』が怖すぎる!」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援いただけると励みになります!

 次回、第124話。

 招かれた館の中は、歪んだ時空の迷宮。

 そこで出会う、第一階層の主「オークジェネラル」の正体とは……?

 お楽しみに!

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