第122話 守護の円陣、残像が描く「回避タンク」の真髄
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魔力纏いの新奥義で道を切り拓いたクレアでしたが、その代償として深い疲労に襲われます。
動けないリーダーを守るため、残された四人が円陣を組み、闇から迫る巨大な羽音へと立ち向かいます。
「あたいが全部引き受けるから、みんな、準備して!」
カノンの銀靴が火花を散らし、影鎌の王の凶刃をすべて「無」へと帰します。
リトル・リンク、今日も(仲間の背中を信じて、限界を超えながら)ちょっとだけ成長中!
「……はぁ、……はぁ。……ごめん、……みんな。……からだが、……動かない……。……剣が、……急に……重く……なっちゃって……」
クレアが、虹色の筋が走る**『銀竜の絆』**を杖代わりにし、荒い息をつきながら地面に膝を突いた。
魔力を根こそぎ持っていかれた喪失感。指先ひとつ動かすのにも、泥の中を這うような労力が必要だった。
「ガハハ! 謝るんじゃないよ、クレア! あんたが道を作ってくれたんだ、後はアタシたちに任せな! ……カノン! 前は任せたよ!」
「……わかってるよぉ! ……一秒……どころか……コンマ一秒……あれば、……あたい……誰にも……捕まらないもんね……!」
カノンが、竜の鱗で補強された銀靴の踵を激しく打ち鳴らした。
斥候にして回避のスペシャリスト。彼女は動けないクレアの前に立ち、あえてその存在感を誇示するように、背中の小さな羽を激しく羽ばたかせた。
「……論理的に見て、……クレアの……魔力回復……には……最低でも……三百秒……必要です。……環境上書き……。……魔力……集束……補助……! ……っ、……来ます……! ……影鎌の……王……!!」
セインが、新しい眼鏡のブリッジを強く押し上げ、空中に展開した術式を黄金色に輝かせた。
ハーフエルフの索敵網を食い破るようにして現れたのは、身の丈を優に超える巨大な四本の鎌を持ち、夜の闇そのものを纏ったような漆黒のマンティスだった。
ギギギギィィィィッ!!
影鎌の王が、四本の鎌を交差させ、音速に近い滑空で突っ込んでくる。
狙いは、無防備なクレア。だが、その白刃の間に、銀色の残像が割り込んだ。
「……こっちだよ、……のろまさん……!」
カノンが、銀靴の魔導回路を全開にする。
王の放つ「十文字の斬撃」が、カノンの体を確かに捉えたかに見えた。
だが、その刃が触れたのは、カノンの実体ではなく、彼女が高速移動の果てに置き去りにした「熱の残像」に過ぎなかった。
「……え、……うそ……! ……あんなの……避けるなんて……!」
膝をつくクレアの目の前で、カノンは独楽のように回りながら、王の放つ無数の突き、薙ぎ、払いを、すべて数ミリの差でかわし続けていた。
回避タンクとしての真骨頂。彼女が敵の注意を惹きつけている間に、後方の三人が牙を研ぐ。
「ガハハ! カノン、そのまま踏ん張りな! 本命を叩き込むよ! ケットル特製、対空散弾・『雷鳥の羽』……発射ぁ!!」
ケットルが巨大背負い袋のレバーを引き抜いた。
放たれた数十個の魔導球が、カノンの頭上を越えて、王の薄い羽を電撃で焼き焦がす。
「……ん。……カノン、……上手。……ミル、……トドメ……刺す。……これ、……重たい……けど……ごめんね」
ミルが**『もう壊さない杖』**を掲げ、カノンが回避に徹して作った「絶好の隙」に、凝縮された紅い爆裂魔法を叩き込んだ。
ズドォォォォォン!!
重力操作で動きを封じられた王の眉間に、最後はカノンが空中から急降下し、竜の鱗の踵を叩き込んだ。
粉砕音が森に響き渡り、地下の狩人はついに沈黙した。
リトル・リンク、今日も(カノンの軽やかなステップに命を預けながら)ちょっとだけ成長中。
第122話をお読みいただき、ありがとうございました。
カノン、本領発揮です!
ただ逃げるだけではなく、敵の強烈な攻撃をすべて回避しつつ注意を惹きつける「回避タンク」としての立ち回りが、絶体絶命のクレアを救いました。
銀靴のアップデートが、彼女の機動力をさらに異次元へと押し上げていますね。
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次回、第123話。
激闘の跡、静まり返った森の奥でセインが見つけたのは……。
そして、一行の前に現れる「地下にはあるはずのない別荘」?
お楽しみに!




