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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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第121話 光の残響、樹冠から降り注ぐ「影の鎌」

いつも応援ありがとうございます!

新調された剣に魔力を纏わせ、難敵ジャイアント・スライムを核ごと粉砕したクレア。

物理攻撃の通じない相手への決定打を手に入れたリトル・リンクでしたが、その代償は小さくありませんでした。

暗闇に慣れきった地下の生態系にとって、クレアの放つ白銀の輝きは、最高級の「獲物」を知らせる狼煙となってしまったのです。

リトル・リンク、今日も(新たな力の燃費の悪さに、膝を震わせながら)ちょっとだけ成長中!

「……ふぅ。……クレア、……ぴかぴか。……でも、……まぶしい。……目が、……ちかちか……する。……それ、……ずっと……できる……?」

 ミルが、目を細めながら**『銀竜のドラゴニック・リンク』**から溢れ出す銀色の奔流を見つめた。

 吸血鬼の彼女にとって、地下の闇は心地よい寝床のようなもの。そこに突如として現れた「擬似的な太陽」のような光は、頼もしくもあり、同時に少しだけ刺激が強すぎたらしい。

「……っ、……はぁ、……はぁ。……うん、……なんとか。……でも、……これ……すっごく……魔力……使うよ。……気を……抜くと……すぐに……消えちゃいそう……」

 クレアが、光り輝く刀身を構えたまま、額に薄っすらと汗を浮かべて答えた。

 魔力を「纏わせる」という行為は、単に放出するのとは訳が違う。地底竜の鱗粉がミスリルと共鳴し、高められたエネルギーを一定の「刃」の形に留めておくには、精密な魔力操作と、肺が焼けるような精神力が必要だった。

「ガハハ! 無理しなさんなよ、クレア! あんたがガス欠で倒れたら、アタシたちの前衛がいなくなっちまう! ほら、アタシのパチンコで牽制するから、一旦光を抑えな!」

 ケットルが、強化されたフレームのパチンコを構え、周囲の闇へと狙いを定めた。

 ドワーフの彼女は、クレアの光によって照らし出された「森の異常」にいち早く気づいていた。

 

 先ほどまで静まり返っていた、頭上の巨大な樹冠。

 そこから、カサカサと乾いた、けれど重苦しい音が無数に降り注ぎ始めている。

「……論理的に見て、……状況は……悪化……しました。……環境上書き……。……解析……範囲……拡大……! ……クレアの……魔力光を……感知して、……上層に……潜伏して……いた……個体たちが……一斉に……降下……してきます……!」

 セインが、新しい眼鏡の奥で瞳を激しく動かし、迫りくる「熱源」の数を計算した。

 ハーフエルフの索敵が捉えたのは、巨大な樹木の枝を足場にして、音もなく滑空してくる影――**『ジャイアント・マンティス(地下森仕様)』**の群れだった。

「……あはは、……やっぱり……光って……目立つんだねぇ。……一秒……どころか、……瞬き……する間に……囲まれちゃうよ……!」

 カノンが、銀靴の踵を鳴らして低く構えた。

 背中の小さな羽が、上空から振り下ろされる「鎌」の風圧を敏感に察知して、激しく警告を発している。

 キィィィィィン!!

 闇を裂いて、漆黒の鎌がクレアの脳端を狙った。

 クレアは反射的に『銀竜の絆』を振り上げ、纏わせた魔力の刃でそれを受け止める。

 金属同士の衝突音ではなく、純粋なエネルギーが物理的な甲殻を焼き切る「ジジッ」という音が地下の静寂を打ち破った。

「……くっ、……速い……! ……セイン、……この子たち、……スライムより……ずっと……動きが……!」

「……個体識別……、……影鎌シャドウ・サイズ。……地下の……闇に……特化した……進化を……遂げています。……光を……極端に……嫌い、……ゆえに……光の……根源である……クレアを……最優先で……排除……しようと……していますね」

 セインが、空中に幾重もの幾何学模様を描き、カノンの周囲に加速の術式を付与した。

 

「……ミル、……左から……三体! ……ケットル、……右の……枝を……狙い撃ち……してください!」

「……ん。……わかった。……まぶしいの、……嫌いなら。……もっと、……まぶしく……して……あげる。……爆ぜて」

 ミルが杖を振り上げると、紅い魔力の弾丸がマンティスたちの足場となる枝を次々と粉砕していく。

 落下してくる巨大な鎌の持ち主たち。

 その混乱を突いて、カノンが銀色の残像となってマンティスの懐へ飛び込んだ。

「……一秒だけ、……貸してあげるよ! ……新装開店・カノンキック!!」

 竜の鱗で強化された銀靴の踵が、マンティスの硬い外殻を「面」で捉えて粉砕する。

 衝撃が深部まで伝わり、巨大な昆虫が絶命の叫びを上げて沈んでいった。

「……よし! ……今なら……いける! ……はぁぁぁっ!!」

 クレアが、限界まで魔力を込めた剣を横一文字に薙いだ。

 刀身を包む銀の光が、扇状に広がる衝撃波となって放たれ、襲いかかるマンティスの群れを森の闇ごと切り裂いていく。

 だが、一撃を放った直後、クレアの剣の光がプツリと途絶えた。

「……あ、……れ……。……魔力……、……切れ……ちゃった……」

 膝をつくクレア。

 森の奥からは、さらに大きな、地響きのような羽音が近づいてくる。

 リトル・リンク、今日も(新しい力の「燃費」の悪さに、肩を落としながら)ちょっとだけ成長中。

第121話をお読みいただき、ありがとうございました。

クレアの「魔力纏い」の威力は絶大でしたが、周囲の敵を呼び寄せる「囮」になってしまうこと、そして凄まじい勢いで魔力を消費するという弱点も浮き彫りになりました。

まさに「切り札」としての運用が求められる新技。

そして、森の奥から近づいてくる巨大な羽音……。

第二階層の主が、いよいよ姿を現すのでしょうか。

「ミルの容赦ない追い打ち魔法が素敵w」「カノンの新技、威力が跳ね上がってる!」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援いただけると励みになります!

次回、第122話。

魔力切れのクレアを守る、四人の奮闘!

ケットルの「巨大背負い袋」から飛び出す、対空用新兵器とは!?

お楽しみに!

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