第120話 白銀の共鳴、刃に宿る「竜の魔力」
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第二階層、地下の森で遭遇したジャイアント・スライム。
あらゆる武器を溶かす強酸の体を持つ難敵に対し、リトル・リンクは防戦を強いられます。
「直接触れてはいけない」という極限の制約の中、クレアが手にした新相棒が、彼女の「仲間を守りたい」という強い意志に呼応します。
物理的な斬撃を超えた、魔力の刃。
最弱パーティ、今日も(新たな力の重みに驚きながら)ちょっとだけ成長中!
「……ふぅ。……よけた。……でも、……お洋服、……端っこ……溶けた。……ショック。……ミル、……この……ドロドロ……本当に……嫌い」
ミルが、触手のように伸びるスライムの粘液を紙一重で回避し、**『もう壊さない杖』**から牽制の魔弾を放った。
しかし、スライムの半透明な体は魔弾の衝撃を吸収し、何事もなかったかのように再びその巨体をうねらせ、リトル・リンクを包囲しようとする。
「ガハハ! 冗談じゃないよ! アタシのパチンコ玉が、当たるそばからシュウシュウ音を立てて溶けてやがる! これじゃあ攻撃してるのか、あいつに栄養をあげてるのか分からないねぇ!」
ケットルが、強化されたパチンコを構えながら、じりじりと後退した。
ドワーフの自慢の弾丸も、この異常な強酸の前では無力に等しい。
スライムは、核を守るように粘液の密度を上げ、さらに巨大な触手を生成して頭上から振り下ろしてきた。
「……論理的に見て、……詰み……です。……物理攻撃は……無効、……魔法も……核に……届く前に……拡散……されます。……環境上書き……。……解析……中断……。……っ、……クレア! ……下がって! ……剣が……溶けます……!」
セインが眼鏡を押し上げ、悲鳴に近い指示を飛ばした。
目の前では、スライムの巨大な粘液の塊が、波のようにクレアへ押し寄せていた。
「……あはは、……一秒……あれば……逃げられるけど、……クレアを……置いて……いけないよぉ……! ……あたい……どうすれば……!」
カノンが銀靴の踵を鳴らし、クレアの腕を掴もうと飛び出す。
だが、クレアは一歩も引かなかった。
彼女の手の中で、**『銀竜の絆』**が、主の鼓動に合わせるように激しく共鳴を始めていたからだ。
「……大丈夫だよ、……みんな。……この剣が、……言ってるんだ。……『もっと……魔力を……流して』……って」
クレアが目を閉じ、自身の内側に眠る魔力を、一点に集中させた。
これまで彼女にとって魔力とは、身体能力を高めたり、剣を補強したりするための「補助」に過ぎなかった。
しかし、ミスリルと地底竜の鱗粉が融和したこの刃は、彼女の魔力を「燃料」として、全く別の形態へと変換しようとしていた。
(……みんなを、……守る。……この……ドロドロを、……吹き飛ばす……力を……!)
ドクン、と心臓が跳ねた。
瞬間、クレアの体から溢れ出した白銀の魔力が、竜の鱗粉に吸い込まれるようにして刀身へと集束していく。
キィィィィィィィン!!
地下の森を切り裂くような高周波の音が響き、クレアの剣から、身の丈を超えるほどの「銀色の光の刃」が噴き出した。
それは物理的な刀身を包み込む、純粋な魔力のエネルギー体。
「……魔力……結合……!? ……ミスリルが……彼女の……魔力を……増幅し、……地底竜の……特性が……それを……物理的な……質量として……固定……しています……! ……非論理的ですが、……これなら……酸を……蒸発させながら……核を……打てる……!!」
セインが驚愕に目を見開く中、クレアは光り輝く大剣を振りかぶった。
「……いっけぇぇぇぇ!!」
クレアが放ったのは、ただの素振りではなかった。
魔力を纏った刃が空気を引き裂き、銀色の閃光となってスライムへと叩きつけられる。
触れるものすべてを溶かすはずの粘液が、クレアの魔力光に触れた瞬間に「蒸発」し、真っ白な霧へと変わった。
ズドォォォォォン!!
衝撃がスライムの深部にある「核」を直撃し、一瞬で粉砕する。
巨体は形を保てなくなり、ただの水溜まりとなって苔の地面へと崩れ落ちた。
「……ん。……すご。……クレア、……ぴかぴか。……ちょっと……かっこいい。……でも、……まぶしい」
ミルが、目を細めながら、光を纏ったままのクレアをまじまじと見つめた。
「……はぁ、……はぁ。……できた、……のかな……。……でも、……これ……すっごく……疲れるよ……」
クレアの剣から光が消え、彼女はその場に膝をついた。
新たな相棒が示した、魔力を纏うという力。
それは強力だが、今のクレアにとっては、全魔力を一気に削り取られる諸刃の剣でもあった。
「ガハハ! やったじゃないか、クレア! あんた、ついに『魔法剣士』の仲間入りだねぇ!」
リトル・リンク、今日も(新たな力の代償に息を切らしながら)ちょっとだけ成長中。
第120話をお読みいただき、ありがとうございました。
ついにクレアが覚醒しました!
新調された『銀竜の絆』に、自身の魔力を纏わせて巨大な光の刃を形成する新奥義。
物理攻撃の効かないスライムを、魔力の質量で粉砕するという荒業をやってのけました。
ですが、セインの言う通り「燃費」の問題は深刻なようで、使いこなすにはまだまだ課題が多そうです。
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次回、第121話。
スライムを倒した光が、森の最奥に眠る「別の何か」を呼び覚ましてしまい……?
お楽しみに!




