第119話 地下の深緑、光なき森に潜む「粘液」
いつも応援ありがとうございます!
オークジェネラルとの死闘を経て、新たな力『銀竜の絆』を手に入れたクレア。
万全の準備を整えて踏み出した第二階層は、石造りの回廊だった上層とは一変し、見渡す限りの「地下の森」が広がっていました。
天井の見えない闇から垂れ下がる蔦、そしてどこからか聞こえる、湿った「這いずる音」。
リトル・リンク、今日も(迷宮の常識を覆す景色に、目を丸くしながら)ちょっとだけ成長中!
「……ふぅ。……ここ、……地下? ……お空、……ないのに……木が……いっぱい。……葉っぱの……匂い、……少し……苦い」
ミルが、新しく魔力を充填した**『もう壊さない杖』**を掲げ、周囲を警戒した。
吸血鬼の彼女の鼻が捉えているのは、植物の青臭さに混じった、腐敗と「強烈な粘液」の混じった不気味な気配だ。
「ガハハ! こいつはたまげたねぇ! 岩盤を突き破って、こんな巨木が育ってるなんて! アタシの洗浄砲の水じゃ、この森の喉を潤す役にも立ちゃしないよ!」
ケットルが、強化されたパチンコのグリップを握り直し、足元の柔らかな苔を蹴った。
ドワーフの彼女にとって、地下は「岩と鉄」の世界であるはず。それが、これほどまでに生命力に溢れた「緑」に埋め尽くされていることに、強い違和感を抱いていた。
「……論理的に見て、……異常……事態です。……太陽光の……届かない……この……深度で……これほどの……植生を……維持する……には、……莫大な……魔力が……地脈から……吸い上げられて……いる……はず……です。……環境上書き……。……解析……開始……」
セインが、新調された眼鏡のフレームを軽く叩いた。
ハーフエルフの緻密な術式が周囲の木々をスキャンするが、そのデータには「植物」としての波形だけでなく、何らかの「動物的」な鼓動が混じっていた。
「……あはは、……なんだか……木が……動いてる……気がするよぉ。……一秒……あれば……森を……抜け出したい……ところだけど、……道が……全然……わからないね……」
カノンが、竜の鱗で補強された銀靴の踵を慎重に下ろし、周囲を見渡した。
背中の小さな羽が、頭上の闇から滴り落ちてくる「透明な液体」に反応して、不快そうに震える。
「大丈夫だよ、カノン。……私たちが……新しく……なったように、……この……場所も……一筋縄じゃ……いかない……だけ。……ほら、……私の……剣も……やる気……満々だよ」
クレアが、虹色の輝きを放つ**『銀竜の絆』**を抜き放った。
白銀の刀身が、光の届かない森の中で自ら発光し、進むべき道を白日の下に晒していく。
グチャリ、と不快な音が響いた。
行く手を塞ぐ巨大な蔦の陰から、半透明の緑色をした巨大な塊――**『ジャイアント・スライム』**が、木々をなぎ倒しながら姿を現した。
その核の中には、先ほどまでのゴブリンやスケルトンの武器が、消化されずに無数に取り込まれている。
「……ん。……ゼリー。……でも、……美味しく……ない……やつ。……ミル、……べたべた……されるの……嫌い」
ミルが杖を突き出した瞬間、スライムの体の一部が触手のように伸び、猛烈な速度で彼女たちを強襲した。
「……構造解析……! ……その……粘液、……強酸性です! ……直接……触れては……いけません! ……クレア、……斬る……のではなく、……衝撃波で……押し返して!」
セインの鋭い指示が飛び、クレアの新しい剣が、空気を爆ぜさせるような銀の旋風を巻き起こした。
リトル・リンク、今日も(迷いの森の洗礼を、銀の閃光で切り裂きながら)ちょっとだけ成長中。
第119話をお読みいただき、ありがとうございました。
第二階層の舞台は、まさかの「地下の森」。
光のない場所で異常に発達した植物と、それらに擬態するかのように潜む強酸性のスライムたち。
新調された『銀竜の絆』の初陣は、物理攻撃が効きにくい難敵との遭遇となりました。
「ミルの『美味しくないゼリー』発言に笑ったw」「セインの新しい眼鏡、さらに高性能になってる!」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援いただけると励みになります!
次回、第120話。
スライムの核を狙う五人。
しかし、森の奥から聞こえてくるのは、さらなる「捕食者」の羽音……?
お楽しみに!




