第116話 終止符の火花、黒金の残響に消える「過去」
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ミルの秘めたる魔力と、セインの精密な熱演算。カノンの撹乱とケットルの執念。
すべてを繋ぎ止めたバトンが、今、リーダーであるクレアの剣に託されました。
かつては「最弱」と呼ばれ、買収提案に怯えていた彼女たちが、今や一つの「軍」の象徴を打ち倒そうとしています。
前の家の真下に眠る深淵、第一階層の決着。
リトル・リンク、今日も(折れそうな腕に、仲間の想いを込めて)ちょっとだけ成長中!
「……ふぅ。……かたい。……おし返される。……でも、……ひかない。……みんなの、……声が……するから」
クレアが、**『折れたら切ない・ミスリル配合のすんごい斬れ味(予定) of 剣』**の柄を両手で握り直し、全体重を預けて押し込んだ。
ジェネラルの胸部装甲、その微かな亀裂から、高圧の魔力蒸気が吹き荒れる。
それはまるで、死にゆく巨獣の最後の抵抗のように、クレアの細い腕を激しく弾き飛ばそうとしていた。
「ガハハ! 踏ん張りな、クレア! アタシの……予備の……ブースター、……使っちまいな!!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**の底から焦げ付いた魔導部品を放り投げた。
それは先ほどの衝撃で壊れかけていたが、セインが空中で指を弾くと、瞬時に術式が組み替えられ、クレアの背後で猛烈な推進力を生み出した。
「……論理的に見て、……これが……最後の……一撃です! ……環境上書き……! ……慣性……増幅……! ……クレア、……その先へ……!!」
セインの叫びと共に、クレアの体が一気に加速した。
白銀の剣身が、黒金の装甲を「断つ」のではなく、魔力の奔流ごと「貫く」。
ガギィィィィィン……ッ!!
耳を劈くような硬質な音のあと、地下回廊を埋め尽くしていた圧迫感が、不自然なほどの静寂へと変わった。
ジェネラルの大剣が手から滑り落ち、岩盤を打つ。
黒金の鎧の隙間から、青白い魔力の光が蛍のように溢れ出し、ゆっくりと闇の中に溶けて消えていった。
「……ん。……おわった。……魔力、……なくなった。……ただの、……空っぽの……鉄の……箱」
ミルが、ふらつく足取りで杖を突き、膝をついたクレアの側に歩み寄った。
吸血鬼の瞳の紅い輝きは静まり、いつもの眠たげな表情に戻っているが、その肩は激しく上下していた。
「……あはは、……勝っちゃった……。……一秒……どころか、……一生……忘れられない……一秒……だったよ……」
カノンが銀靴の踵をそっと地面につけ、ようやく深く息を吐き出した。
背中の小さな羽は、疲れ果てたように垂れ下がっている。
「……みんな、……ありがとう。……私一人の……力じゃ、……絶対に……無理だった」
クレアが、ボロボロになった剣を鞘に納め、空っぽになったジェネラルの鎧を見上げた。
将軍を倒した。だが、勝利の歓喜よりも先に込み上げてきたのは、この深淵がどこまで続いているのかという、果てしない予感だった。
「……構造解析……再開。……ジェネラルの……背後に、……さらなる……下層へと……続く……重力……の歪みを……感知……しました。……第一階層、……クリア……と言って……良いでしょう」
セインが割れた眼鏡をポケットに入れ、暗闇の奥に現れた「本物の螺旋階段」を指差した。
そこからは、先ほどまでのオークの臭いとは違う、もっと冷たく、乾燥した「古い死」の臭いが漂ってきた。
「ガハハ! よし、今日はここまでだ! さすがに腹が減って、洗浄砲も動きゃしないよ!」
ケットルが無理やり明るい声を上げ、全員を促す。
リトル・リンク、今日も(死闘のあとの心地よい疲労と、空腹を感じながら)ちょっとだけ成長中。
第116話をお読みいただき、ありがとうございました。
オークジェネラルとの激闘、ついに決着です。
五人の力を一点に集中させ、ついに「黒金の壁」を突破しました。
しかし、ダンジョンはまだ始まったばかり。
下層から漂う「古い死」の気配……次なる階層では、どのような魔物が彼女たちを待ち受けているのでしょうか。
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次回、第117話。
一度地上へ戻り、新しい家での「勝利の宴」。
そこでセインが、ジェネラルの鎧から見つけた「奇妙な紋章」とは?
お楽しみに!




