第115話 砕けぬ意志、紅き瞳に宿る「真の渇き」
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オークジェネラルの圧倒的な暴力の前に、防戦一方のリトル・リンク。
セインの障壁は砕かれ、クレアの剣も限界に近い負荷を叫んでいます。
ですが、絶体絶命の窮地こそ、彼女たちがこれまで積み上げてきた「ちょっとした成長」が試される時。
土煙の向こう側、静かに立ち上がる紅い影。
リトル・リンク、今日も(折れそうな心を、仲間との絆で繋ぎ止めながら)ちょっとだけ成長中!
「……ふぅ。……いたい。……からだが、……あつい。……レバー……焦がした……時の……苦い……味が……口の中に……する」
ミルが、額から流れる一筋の血を拭いもせず、土煙の中からゆっくりと立ち上がった。
吸血鬼の彼女が握りしめる**『もう壊さない杖』**が、持ち主の負傷に呼応するように、これまでにない禍々しくも美しい深紅の光を放ち始めている。
「ガハハ! ……っ、……冗談……じゃないよ……! アタシの……自慢の……袋が……ボロボロだ……。……でも、……まだ……中身は……生きてる……よ!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**の中から予備の魔導パーツを無理やり引き出し、パチンコのフレームを補強した。
ドワーフの職人魂が、恐怖よりも「道具を使い切っていない不甲斐なさ」への怒りで燃え上がっている。
「……論理的に見て、……正面からの……防御は……もはや……成立……しません。……ですが、……ジェネラルの……排熱……。……鎧の……隙間から……漏れる……蒸気の……周期を……特定……しました。……環境上書き……。……熱……逆流……!!」
セインが割れた眼鏡を投げ捨て、剥き出しの瞳で魔力の流れを凝視した。
ハーフエルフの魔導計算が、ジェネラルのオーバーロードによる自壊の予兆を捉える。
セインが指を鳴らすと、ジェネラルの背後で滞留していた熱気が、一気に鎧の内側へと押し戻された。
「……グルアァァァッ!?」
予期せぬ内部加熱に、ジェネラルの動きが一瞬だけ止まった。
「……あはは、……一秒……どころか……コンマ……一秒……! ……あたい……行くよ……! ……羽が、……まだ……飛べるって……言ってる……もん……!」
カノンが銀靴の踵を、壊れんばかりに打ち鳴らした。
背中の小さな羽が、恐怖を振り切るほどの高周波で振動し、彼女の体を「銀の矢」へと変える。
油膜の残る床を滑り、ジェネラルの視覚センサーの死角へと、カノンが肉薄する。
「……ミル、今だよ!!」
吹き飛ばされていたクレアが、瓦礫を蹴って飛び出した。
**『折れたら切ない・ミスリル配合のすんごい斬れ味(予定) of 剣』**を逆手に持ち替え、渾身の力でジェネラルの装甲の継ぎ目を狙う。
「……ん。……わかった。……これ、……本当は……使いたく……なかった……けど。……みんなの……血、……守る……ため……なら」
ミルが杖を頭上に掲げた。
瞬間、周囲の空気が凍りついたような静寂に包まれる。
彼女の内に眠る、真なる吸血鬼の魔力が解放された。
「……紅き……雨。……すべて、……飲み干して」
杖から放たれたのは、破壊の衝撃波ではない。
ジェネラルの周囲に、無数の針のような「血の弾丸」が生成され、それが重力に従わず、一斉に黒金の鎧の隙間へと吸い込まれていった。
内部から直接魔力を吸い上げる、吸血鬼の呪い。
「……ガ……ァァ……ッ!?」
ジェネラルの巨躯が、初めて大きくよろめいた。
鎧の内部から漏れ出すのは、排熱の蒸気ではなく、奪われた魔力が霧散する不気味な青い光。
「……今です! クレア、……その……一点を……貫いて……!!」
セインの絶叫に近い指示。
クレアの剣が、白銀の光を帯びてジェネラルの胸部装甲、その亀裂へと吸い込まれていく。
リトル・リンク、今日も(限界の先で掴み取った連携で、巨壁を穿ちながら)ちょっとだけ成長中。
第115話をお読みいただき、ありがとうございました。
絶体絶命の淵から、五人の総力がジェネラルの鉄壁をこじ開けました。
特にミルの「吸血鬼としての本性」の一端が垣間見え、彼女がこのパーティにいる理由が改めて浮き彫りになった回でもあります。
しかし、ジェネラルはまだ倒れてはいません。
黒金の将軍が最後に見せるのは、武人としての意地か、それとも深淵の魔性か。
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次回、第116話。
崩れゆく黒金の鎧。
そして、ダンジョン第一階層の「真の終わり」とは……?
お楽しみに!




