第117話 帰還の灯火、鎧の中に眠る「小さな謎」
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オークジェネラルとの死闘を制し、ついに第一階層を突破したリトル・リンク。
ボロボロになりながらも、彼女たちは瓦礫の山を這い出し、領主様から贈られた「新しい城」へと戻ります。
勝利の余韻に浸る間もなく、セインが見つけたのは、崩れゆく将軍の鎧に刻まれていた奇妙な紋章。
それはシルヴィアの野心とも、街の歴史とも違う、もっと古い「何か」を予感させました。
最弱パーティ、今日も(温かいスープを夢見ながら、重い足取りで)ちょっとだけ成長中!
「……ふぅ。……お外、……まぶしい。……夕焼け、……ミルの……瞳より……紅い。……空気が、……美味しい……気が……する」
ミルが、折れそうな体を『もう壊さない杖』で支え、ダンジョンの入り口である瓦礫の隙間から地上へと這い出した。
地下の濃密な魔力と獣の臭いから解放され、リフェルナを包む夕暮れの冷たい風が、彼女の火照った肌を優しく撫でる。
「ガハハ! 生きてるってのは、こういう風が気持ちいいってことだねぇ! アタシの背負い袋、重さが半分になった気がするよ。……中身が空っぽになっちまったからね!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**の底に残った数少ない予備パーツをカラカラと鳴らし、豪快に笑った。
だが、その肩にはオークの斧が掠めた跡があり、ドワーフの強靭な肌も今は赤黒く腫れ上がっている。
「……論理的に見て、……これ以上の……継続……調査は……不可能……でした。……適切な……判断です……、……クレア。……環境上書き……。……自己修復……補助……」
セインが割れた眼鏡を指で弄びながら、歩くのもままならない仲間たちに、微弱な治癒術式を重ねがけしていく。
ハーフエルフの彼女自身、魔力切れで顔色は青白いが、その手にはジェネラルの鎧から剥ぎ取った「一枚の装甲板」がしっかりと握られていた。
「……あはは、……あたい……一秒……どころか……一生分……走った……気がするよ……。……お家……帰ったら、……自動洗浄トイレ……三回……くらい……入っちゃう……かも……」
カノンが銀靴の踵を重そうに引きずり、クレアの肩を借りて歩く。
背中の小さな羽は、疲れ果てた小鳥のようにぴたりと畳まれていた。
「……みんな、よく頑張ったね。……本当に……すごかったよ。……うちら、……あの将軍に……勝てたんだもん」
クレアが、鞘に納めた**『折れたら切ない・ミスリル配合のすんごい斬れ味(予定) of 剣』**の柄をそっと撫でた。
ミスリル配合の刀身には、ジェネラルの大剣を受けた際の無数の火花が、細かな傷となって刻まれている。
それは彼女たちが「深淵」に挑み、生き残った証でもあった。
ようやく辿り着いた新居。
セインが鍵を開け、リビングに倒れ込むようにして寛ぐ五人。
「……ん。……スープ。……セイン、……レバー……入れて。……いっぱい」
「……非論理的な……要求……ですが、……今日は……特別……です。……カノン、……火を……熾して……いただけますか?」
セインがキッチンへ向かおうとしたその時、ふと、机に置いた「ジェネラルの装甲板」が、リビングの魔導ランプに照らされて不気味に光った。
「……構造解析……再開。……っ!? ……この……紋章、……ただの……飾りでは……ありません。……これは、……オークの……文化には……存在しない……様式……。……古き……帝国の……軍章……?」
セインの言葉に、リビングの空気が一瞬だけ凍りついた。
「ガハハ! 帝国なんて、もう数百年前に滅びた国の話じゃないか! なんでそんなもんが、オークの将軍の鎧についてるんだい?」
「……わかりません。……ですが、……この紋章の……裏側に……微かに……残る……術式。……これは……『轰雷の牙』の……シルヴィア様が……使っていた……ものと……似て非なる…………極めて……高度な……混成魔導……」
セインの指先が、装甲板の裏に刻まれた「小さな刻印」をなぞる。
そこには、オークの武力とは無縁の、緻密で冷徹な「人間の魔導士」の気配が残っていた。
「……つまり、……あのオークたちは……誰かに……飼われてた……ってこと?」
カノンが、不安げに呟いた。
リトル・リンク、今日も(勝利の祝杯の前に、新たな謎の深淵を覗き込みながら)ちょっとだけ成長中。
第117話をお読みいただき、ありがとうございました。
オークジェネラルを倒した喜びも束の間、セインが持ち帰った装甲板から、不穏な事実が浮き彫りになりました。
滅びた帝国の紋章、そして何者かによる意図的な魔導の痕跡。
前の家の真下に広がっていたダンジョンは、ただの魔物の巣窟ではなく、何者かの「実験場」あるいは「軍事拠点」だったのかもしれません。
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次回、第118話。
美味しいスープで鋭気を養い、装備の新調へ。
ケットルが提案する「対・鎧用」のパチンコ新素材とは!?
お楽しみに!




