第113話 黒金の威圧、将軍の大剣が描く「絶望」の弧
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オークの小隊を連携で切り崩したリトル・リンク。ですが、勝利の余韻に浸る暇もなく、深淵の闇から真の主力が姿を現しました。
その名は『オークジェネラル』。
全身を魔導金属の鎧で包み、一振りで岩盤をも断ち切る大剣を携えた、オーク軍を束ねる将です。
かつての拠点の下、こんなにも巨大な「軍」が組織されていた理由。
最弱パーティ、今日も(冷や汗を流しながらも、逃げずに)ちょっとだけ成長中!
「……ふぅ。……空気、……変わった。……鉄の、……冷たい……匂い。……重い、……魔力が……押し寄せて……くる」
ミルが、紅く脈動する**『もう壊さない杖』**の先端を低く下げ、警戒の念を強めた。
吸血鬼の彼女が感じているのは、眼前に立つ『オークジェネラル』が放つ、周囲の魔力を強制的に従わせるような圧倒的な「支配力」だ。
「ガハハ! 冗談じゃないねぇ! あんな重厚な鎧、アタシのパチンコじゃ表面を凹ませるのが精一杯だよ!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**のストラップを肩に食い込ませ、一歩後ろへ下がった。
ドワーフの職人眼は、あの黒金色の鎧が単なる防具ではなく、魔法抵抗を極限まで高めた特殊合金であることを瞬時に見抜いていた。
「……論理的に見て、……これまでの……個体とは……格が……違います。……個体識別……、……オークジェネラル。……周囲の……オークたちに……対して……『鼓舞』の……バフを……付与……していますね。……環境上書き……による……干渉も……弾かれています……!」
セインが眼鏡を指で激しく押し上げ、空中へ展開した無数の数式を必死に組み替える。
ハーフエルフの緻密な術式が、ジェネラルの纏う「魔力障壁」によって、火花を散らして霧散していった。
「……あはは、……あたい……一秒……どころか……コンマ……一秒……あっても……あの……剣筋……から……逃げられる……気が……しないよ……」
カノンが銀靴の踵を鳴らし、ガクガクと震える膝を必死に押さえた。
背中の小さな羽が、ジェネラルがゆっくりと大剣を構えただけで、恐怖にすくんで動かなくなっている。
「……みんな、下がって! ……あいつ、……来るよ!」
クレアが、**『折れたら切ない・ミスリル配合のすんごい斬れ味(予定) of 剣』**を両手で握りしめ、正面に見据えた。
ジェネラルは言葉を発しない。ただ、その兜の奥に灯る赤い瞳が、クレアたちを「排除すべき害虫」として冷酷に定めていた。
「……グルルゥゥゥ……ッ!!」
地響きのような唸り声と共に、ジェネラルが跳んだ。
その巨体からは想像もつかない瞬発力。
一瞬で間合いを詰め、身の丈を超える黒金の大剣が、クレアの頭上から真っ直ぐに振り下ろされる。
ガギィィィィン!!
耳を突き破るような金属音が、地下回廊に響き渡った。
クレアの剣が、ジェネラルの大剣を辛うじて受け止める。
だが、その衝撃は凄まじく、クレアの足元の岩盤がクモの巣状にひび割れ、彼女の膝が深く沈み込んだ。
「……っ! ……重い、……なんて……力……なの……!」
クレアの腕が、激しく震える。
ミスリル配合の剣身が、強大な圧力に悲鳴を上げているようだった。
「……ん。……クレア、……危ない。……ミル、……助ける。……けど、……魔力、……吸われる。……あの……鎧、……嫌い」
ミルが杖を突き出し、ジェネラルの側面から紅い雷撃を放った。
だが、黒金の鎧はその雷撃を無造作に浴びながらも、びくともしない。
それどころか、ジェネラルは大剣を片手で保持したまま、空いた左手でミルの魔法を「掴み」、握りつぶしてしまった。
「……構造解析……不能……!? ……魔法そのものを……握力で……霧散させる……なんて、……非論理的……すぎます……!」
セインの叫びが響く。
その隙を逃さず、後方に控えていた**『オークソルジャー』**たちが、ジェネラルの突進に呼応して左右から包囲を狭めてくる。
「ガハハ! こうなったら、出し惜しみは無しだ! ケットル特製、高圧油膜弾……発射ぁ!!」
ケットルがパチンコから放った弾丸が、ジェネラルの足元で炸裂した。
黒金の巨体が、一瞬だけバランスを崩す。
「……今だ、カノン! ……撹乱して!」
「……わ、分かったよ! ……一秒だけ……目回して……あげるからね!」
カノンが銀靴の踵を鳴らし、油膜の上をスケートのように滑りながら、ジェネラルの周囲を高速で旋回し始めた。
残像を残しながら、ジェネラルの視覚センサーを狂わせる。
リトル・リンク、今日も(将軍という名の巨壁を前に、全員の知恵を振り絞りながら)ちょっとだけ成長中。
第113話をお読みいただき、ありがとうございました。
圧倒的な質量と魔法抵抗を誇る『オークジェネラル』。
これまでの連携が通用しない強敵に対し、ケットルの特殊弾やカノンの機動力で、なんとか隙を作ろうとする五人。
ですが、ジェネラルはまだ「本気」を出していないような不気味さが漂っています。
クレアの剣は、このまま折れずに耐えきることができるのでしょうか。
「ジェネラルの魔法を握りつぶすシーンに絶望したw」「ケットルの油膜弾、ナイス判断!」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、応援いただけると励みになります!
次回、第114話。
怒り狂うジェネラル。
大剣から放たれる衝撃波が、地下回廊を崩壊させる!?
お楽しみに!




