第108話 深淵の鍵、旧拠点の真下に眠る「楔」
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シルヴィアの野望を挫き、エドワードとの奇妙な信頼関係を築いたリトル・リンク。
新居での生活も落ち着いた頃、領主エルバート公爵から届いたのは、祝宴の誘いではなく、一振りの「折れた銀の鍵」でした。
それは、彼女たちが街を守るために吹き飛ばした「前の家」の、さらに真下に眠る禁忌の封印に関わるもの。
自分たちが蒔いた種は、自分たちで刈り取る。
リトル・リンク、今日も(責任感と、ちょっぴりの後悔を抱えながら)ちょっとだけ成長中!
「……ふぅ。……お家、……広い。……けど、……このお手紙、……なんだか……重い」
新居のリビングで、ミルが領主公爵から届いた「青い封書」を指先で突いた。
以前、この家を賜った際のお祝いムードとは明らかに違う、公爵家の「裏紋章」が刻印された封蝋。
「ガハハ! 領主様も、アタシたちを便利屋だと思ってるんじゃないだろうねぇ!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**をドスンと下ろして豪快に笑う。
だが、その瞳は鋭く、封書の端から漏れ出る微かな魔力の揺らぎを見逃してはいなかった。
「……論理的に見て、……公式な……祝宴では……ありません。……この術式は、……開封した……瞬間に……内容が……消滅する……秘匿呪文です。……公爵様は、……公には……できない……問題を……抱えておられますね」
セインが眼鏡を押し上げ、解析術式を慎重に展開した。
ハーフエルフの指先が封を切ると、中から現れたのは地図でも依頼書でもなく、一振りの「折れた銀の鍵」だった。
「……鍵? それ、食べられる?」
「……ミル、非論理的な質問です。ですが、この鍵から漂う『地脈の匂い』は確かに尋常ではありません」
ミルの鼻がピクリと動く。
吸血鬼の彼女が感じる、古く、そしてどろりとした「過去の残滓」。
「……あはは、なんだか嫌な予感がするね。一秒あれば逃げ出したいところだけど……」
カノンが銀靴の踵を鳴らし、不安げに背中の小さな羽を震わせた。
かつて孤独だった彼女の直感が、街の地下にまだ「何か」が残っていることを告げていた。
「……行こう。領主様は、うちらを信じて家をくれたんだもん。今度は、うちらがその信頼に……そして、うちらが吹き飛ばしたあの場所の『後始末』に応える番だよ」
クレアが、**『折れたら切ない・ミスリル配合のすんごい斬れ味(予定)の剣』**を手に取った。
かつて前の家を吹き飛ばしてまで鎮めた地下の歪み。
その、さらに深層に打ち込まれていた「銀の楔」が、あの爆発の衝撃で揺らいでしまったのだ。
五人が向かったのは、かつての家があった瓦礫の跡地。
そこには公爵直属の隠密部隊が展開し、一般人の立ち入りを厳重に制限していた。
「……リトル・リンク。来てくれたか。……君たちが家を犠牲にして救ったこの街に、再び『根源』の危機が迫っている」
公爵の代理人が差し出したのは、銀の鍵と対になる、地下へと続く「真実の門」の所在だった。
リトル・リンク、今日も(自分たちの足跡の真下へ、新たな覚悟で潜りながら)ちょっとだけ成長中。
第107話をお読みいただき、ありがとうございました。
「家をもらったお祝い」をあえて外演し、領主様との個人的な信頼関係に基づく「裏の依頼」へと舵を切りました。
かつての家を吹き飛ばした原因である「地下の歪み」。その、さらに深層に眠る何かが動き出そうとしています。
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次回、第108話。
瓦礫の山の下、隠された地下回廊へ。
そこで彼女たちを待っていたのは、前の家の「幽霊」……?
お楽しみに!
次は、地下回廊の探索が始まる第108話へ進めてよろしいでしょうか?




