第103話 正当なる「所有」、エドワードの静かなる反旗
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自分たちが吹き飛ばした「前の家」の跡地に眠る、真の魔力核。
シルヴィアはギルド上層部を動かし、この地を「公共の魔導資源」として接収する許可を取り付け、力ずくで掘り返しにやってきました。
しかし、その先頭に立つべき副官エドワードは、すでにリトル・リンクの側に立っています。
過去の恩義か、現在の忠誠か。
最弱パーティ、今日も(一人の男の覚悟を背負って)ちょっとだけ成長中!
「……来たね。……論理的に見て、……あの速度は……一刻の……猶予も……ありません」
セインが、遠方から接近する『轟雷の牙』の紋章を掲げた騎兵隊を指差した。
解析端末には、シルヴィアが携えているであろう「ギルドの公式印」が放つ、特有の魔力波形が記録されている。
「ガハハ! 随分と急ぎ足だねぇ。アタシらが更地にした場所を、そんなに宝の山に見えるのかい!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**のベルトを締め直し、不敵に笑った。
ドワーフの彼女にとって、自分たちが一度「捨てた」場所に執着するシルヴィアの姿は、滑稽ですらあった。
「……ん。……あの女、……やっぱり……嫌い。……レバー……焦げた……匂いより、……鼻に……つく。……エドワードさん、……どうする?」
ミルが、無表情のまま隣に立つエドワードを見上げた。
エドワードは、ケットルが丹精込めて直した愛剣の柄を、折れんばかりに握りしめている。
彼の瞳には、かつて窮地を救われたリトル・リンクへの「恩」と、長年仕えてきたシルヴィアへの「義」が、激しく火花を散らしていた。
「……俺は、……この剣に誓った。……誇りのない……戦いには、……二度と……加担しないと」
重厚な声。エドワードは一歩前に出ると、近づいてくる騎兵隊の正面に、仁王立ちで立ちはだかった。
「なっ……! エドワード! あなた、そこで何をしているの! そこを退きなさい!」
馬を止めたシルヴィアが、扇子を投げ捨てるような勢いで叫んだ。
彼女の手には、金色の糸で刺繍されたギルドの発掘許可証が握られている。
「……シルヴィア様。……この地は、……リトル・リンクが……あなたやギルドに奪われるぐらいならと……自らの家を……捧げた場所です。……それを力ずくで……掘り返すことは、……冒険者の……道に……背きます」
「黙りなさい! 私はギルドの正式な許可を得ているのよ! そこを退かないなら、反逆罪としてあなたもろとも……!」
「……論理的に……反論します。……この地は、……リトル・リンクが……自費で購入した……私有地です。……地下の歪みを……解決した際、……彼女たちは……『権利』までは……放棄していません。……許可証の……前提条件が……崩れています」
セインが、以前の家の購入契約書を解析端末から空間投影した。
ハーフエルフの緻密な計算と準備。彼女たちは、家を吹き飛ばしてもなお、その「土地の魂」だけは手放していなかったのだ。
「……あはは、……セイン……流石だね。……あたいも……一秒あれば……署名……し直せるよ?」
カノンが銀靴の踵を鳴らし、クレアの横に並んだ。
「……シルヴィアさん。……家は……失ったけど、……ここにある……想いは……うちらのものです。……力で……奪えるほど、……安くありません!」
クレアが、**『折れたら切ない・ミスリル配合のすんごい斬れ味(予定)の剣』**を抜き放った。
澄んだ魔力の輝きが、夕暮れの更地を美しく照らし出す。
エドワードが、ゆっくりと自分の剣を抜いた。
だが、その矛先はリトル・リンクではなく、困惑する自分の部下たちへと向けられた。
「……この剣を直してくれたのは、彼女たちだ。……俺は、俺の誇りに従う。……退け!」
エドワードの咆哮が、更地に響き渡る。
リトル・リンク、今日も(かつての敵さえも味方に変える、絆の力を信じて)ちょっとだけ成長中。
第103話をお読みいただき、ありがとうございました。
ついにエドワードが明確な意志を持ってシルヴィアに反旗を翻しました。
直してもらった剣は、彼にとって「自分自身」そのもの。それを彼女たちに向けることは、もはや彼には不可能でした。
セインが土地の権利をしっかり保持していたという「ちゃっかり感」も、リトル・リンクらしい強みですね。
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