第101話 百一歩目の朝、庭に埋まった「過去の鍵」
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記念すべき節目を終え、エドワードとの奇妙な信頼関係を再確認したリトル・リンク。
シルヴィアの嫌がらせは続いていますが、街の人々の笑顔と、直した剣を大切に持つエドワードの姿が、彼女たちの心を温めてくれました。
さて、新居での生活もすっかり馴染んだ頃。
ケットルが庭の手入れをしていたら、ひょんなことから「前の家」に関係する不思議なものを見つけてしまい……?
リトル・リンク、今日も(新しい家の隅々まで楽しみながら)ちょっとだけ成長中!
「……ふぅ。……やっぱり、……お家が……一番。……ギルドの……ピリピリ、……お腹……空く」
新居のリビングに辿り着くなり、ミルが『もう壊さない杖』を壁に立てかけ、ソファに沈み込んだ。
吸血鬼の彼女にとって、感情の波が激しい場所は、それだけで魔力を消耗するらしい。
「ガハハ! エドワードの奴、あの剣をまだ大事に使ってくれてたねぇ。職人冥利に尽きるよ!」
ケットルが、**『巨大背負い袋』**をドスンと下ろし、満足げに鼻を鳴らした。
自分が精魂込めて打ち直した剣が、持ち主の誇りを守る盾となった。その事実は、どんな高価な素材を手に入れるよりも、彼女の胸を熱くさせていた。
「……論理的に見て、……エドワード様の……離反は……時間の問題……と言えるでしょう。……ですが、……私たちが……すべきことは……変わりません。……この家の……維持と、……日々の……糧の……確保です」
セインが眼鏡を指で押し上げ、キッチンへと向かった。
領主様から贈られたこの家は、以前の家よりも頑丈で、魔力回路も安定している。だが、広くなった分、掃除の手間や維持にかかる計算も増えているのが、彼女にとっての嬉しい悩みだった。
「あ、そうだ! クレア、ちょっと来ておくれよ。さっき庭の隅を片付けてたら、変なもんが出てきたんだ」
ケットルに呼ばれ、クレアとカノンが広い裏庭へと向かう。
そこには、以前の家を吹き飛ばした際に飛んできたのか、あるいは領主様がこの土地を用意した時から眠っていたのか、土にまみれた金属製の「小さな箱」が転がっていた。
「……何これ? ……古いけど、……細工が……すごく……細かい」
カノンが銀靴の先で、慎重に箱を突く。
背中の羽を警戒気味に震わせる彼女の横で、セインが解析術式を展開した。
「……構造解析……開始。……これは、……ただの箱では……ありません。……特定の……魔力波形に……反応する……封印箱。……しかも、……登録されている波形は……」
「……私たちの、……前の家の……地下にあった……魔力源の……残滓?」
クレアの言葉に、セインが静かに頷いた。
自分たちで吹き飛ばし、塵になったはずの「前の家」。
その地下に眠っていた本当の秘密が、この新しい家の庭から顔を出したのだ。
「……ん。……それ、……開けたら……美味しい……レバー……出てくる?」
いつの間にか庭に現れたミルが、期待を込めて箱を見つめる。
「……残念ながら、……レバーは……入っていません。……ですが、……この中には……前の家の……地下深くに……繋がっていた……『本当の地図』が……収められているようです」
セインの言葉に、五人の間に心地よい緊張が走った。
自分たちが守った街。自分たちが捨てた家。
その跡地に眠る、さらなる深淵への招待状。
「……よし。急ぐ必要はないけど、……明日、みんなで見に行ってみようか。……私たちの『昨日』が、……何を隠していたのかを」
クレアが明るく笑う。
それは、失ったものを惜しむ探索ではない。新しい「城」を手に入れた彼女たちが、自分たちの歩んできた道を確かめるための、ささやかな冒険の始まりだった。
リトル・リンク、今日も(過去の欠片を拾い上げながら)ちょっとだけ成長中。
第101話をお読みいただき、ありがとうございました。
節目を終えた第一歩は、新居の庭で見つかった「前の家の秘密」にまつわる導入です。
あえて自分たちで壊した過去の場所を再訪する。それは彼女たちにとって、未練ではなく、本当の意味での「継承」になるはずです。
ミルの食欲が相変わらずなのも、このパーティの安心感ですね。
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