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年寄りの独白


それは、ある日の昼下がりのこと——


ホーマンは椅子代わりに作った巣塊に身を沈め、思い耽っていた。



(あいつがあの子らを置いて死んでから、早十年。

 あっという間じゃった……)



思い出すのは、かつてこの里を治めていた、今は亡き親友——


双子の祖父、『ネイザー』のこと。



(お前があの子らをわしに託してから、本当にいろんなことがあった)



双子がまだ物心つく前、

大型の魔物がビエントで猛威をふるっていた。

ネイザーはこの地を守るため、自ら先頭を切ってその魔物と闘い、

——平和と引き換えに、その命を落とした。



『俺が帰ってこなかったら、孫たちを頼む——』



(わしはいつも悩んでいた)


双子たちを、ちゃんと導けているのかと。


だが、そんな悩みは杞憂だった。

双子は確実に、成長している。

ネイザーのように、何かを守ろうとする強い心を持った——そんな大人へと。



先日の戦い。

双子の行動に始めは激怒した。


なぜ危険な場所に出て来たのか。

何かあったらどうするのだと。

二人に何かあったら、

……親友に顔向けできないと。



しかし、あの二人の顔を見た瞬間、そんな考えは消え去った。



二人は遊びで来たのではない。

琥珀の瞳と蒼碧の瞳が、

強く、真っ直ぐに——ビエントの未来を見つめていた。



(やはり、お前の孫よのぉ)



ホーマンは、芽吹き始めた蕾に、

静かに微笑んだ——



ガッシャァアアアン!!!!

「んなあ?!」


直ぐ横で雷が落ちたかのような、そんなけたたましい音に飛び起きる。

何事かと、その音が聞こえた方を振り向いた。



「フアン!

 あんた、お姉ちゃんに何すんのよお!!」


「姉さんがバカなこと言うから悪いんだろ!!」



双子が掴み合いのケンカをしていた。

さっきの音は、この二人が空から突っ込んできた時に何かにぶつかったのだろう。



「!!!」



双子の下に、輝く宝物たち。

わしは一気に血の気が引いた——



「ジョセフィン! マドレーヌ!!

カトリーナぁあああ!!!」



わしの大事な娘らが、双子の下で見るも無惨な姿になっていた。

双子が暴れる度、惨い姿になっていく娘たち。


——許せん。



「こんの、

 悪ガキどもがああああ!!!」



ネイザー。

お前の孫ら……些か元気がすぎるぞ?!!




「今日も平和ねぇ」



岩羽の崖に響いた怒号に、誰かがそう呟いた。


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