第21話④「反撃のクリティカル」
アランが一歩前へ踏み出した。
巨大な斧を肩へ担ぎ、燃えるような視線でCを睨みつける。
「次は俺だ」
低く、唸るような声だった。
「サクラの仇――取らせてもらう……!」
その背中にあるのは、怒りだけではない。
仲間を奪われた痛み。
それでも前へ進もうとする覚悟。
ユカは大きく頷いた。
「――わかった!」
真っ直ぐアランを見る。
「バーバリアン!
アランさんの攻撃!!」
アランが斧を構えた。
宙に浮かぶ巨大なダイスが、赤く輝く。
カララララララ――ッ!!
激しく回転する数字。
そして――。
止まった。
「17!」
「やりましたぁ!!」
ピコが飛び跳ねる。
「通った……!」
ユカの顔がぱっと明るくなる。
「ラスボスCに、5ダメージ!!」
ギギギ――ッ。
空間に浮かぶHP表示が変化する。
【HP 100】
その数字が、
【HP 95】
へと減少した。
「あらぁ?」
Cの表情に、初めて小さな驚きが浮かんだ。
その瞬間――。
巨大なダイスが、再び光を放つ。
「えっ……追加判定!?」
トモが目を見開く。
カラララララッ!!
再びダイスが転がる。
数字が次々と入れ替わる。
そして――。
ぴたり。
「20!」
「うそっ……クリティカル!?」
トモが叫ぶ。
「マジかよぉぉぉ!?」
ジロウも思わず拳を握った。
「やった!!」
ソウタが飛び上がる。
ユカが、にやりと笑った。
さっきまで怯えていた少女とは思えない。
そこにいたのは、盤面を見据えるプレイヤーだった。
「ダイス20――クリティカル判定!」
ユカが、びしっとCを指差す。
「ダメージ、2倍!!」
「ええぇっ……?」
Cの声が裏返った。
初めて、その余裕の笑みが揺らぐ。
ギュォン――ッ!!
HP表示が一気に削られる。
【95】
↓
【85】
「よし……行ける!」
ソウタが拳を握る。
「見えてきたじゃないか……!」
リサも笑った。
アランは斧を肩へ担ぎ直し、獰猛な笑みを浮かべる。
「ふっ……」
そしてCを睨みつけた。
「ようやくゲームらしくなってきたな」
ユカも笑った。
もう、恐怖に呑まれていた少女ではない。
仲間を信じ、仲間の力を引き出し、盤面をひっくり返そうとする――。
“プレイヤー”の笑みだった。
Cは、そんなユカを見つめていた。
そして――。
肩をぞくりと震わせる。
「うふふふふぅ♪
それそれぇ……それがぁ、見たかったのぉ♡」
歪んだゲーム盤の上で。
ついに――反撃が始まった。
《第21話・終わり》
次回予告
息詰まる戦いの中で、
みんながどんどん倒れていく。
もう、打つ手がない――。
そう思ったとき、
カイが私に伝えた意外な言葉。
「えっ……?
それって、どういうこと!?」
そして――。
感情を食べ続けたCにも、
大きな異変が起こる。
さらに、いきなり飛んできた謎のカード……。
「Cが怯える相手って、
いったい何者なの!?」
次回、
『フラグメンツ・オブ・トゥルース ~最後の投擲~』
第22話『抱えきれぬ痛み』。
ねえ、カイ……。
痛みって、
ずっと抱えていくものなのかな?
※作者の活動報告に各話のコメントを書いています。
https://syosetu.com/userblog/list/




