↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
69/148

第18話③「新たな仲間たち」

ユカは、目の前に佇む《Analog Mind Café》を見つめた。


かつては温かな灯りを灯していた店も、今は看板が外され、窓には色褪せた「CLOSED」の文字が残っている。


「ユナお姉ちゃんの店……」


「そうだ」


カイは店を見つめたまま、わずかに目を細めた。


「そして――俺が、初めてあいつと会った場所だ」


その言葉に、カイの脳裏へ古い記憶が蘇る。


依頼主の企業へ向かう途中、道に迷ったカイが偶然見つけた小さなカフェ。


カウンターの奥では、一人の女性がボードゲームの駒を磨いていた。


『珍しいね。こんな時間に若いお客さん』


顔を上げたユナが、ふわりと笑う。


柔らかな照明。

コーヒーの香り。

レコードから流れる音楽。


あの日の光景は、今もカイの記憶に残っている。


(……もう、ずいぶん昔のことみたいだ)


「……そりゃ、キツいよな」


ジロウが、ぽつりと呟いた。


「なんか……私まで泣きそうになってきた……」


トモまで目を潤ませている。


「いや、おい」


「はい?」


「え?」


ジロウとトモが同時に姿勢を正した。


カイは振り返り、ユカ、リサ、ジロウ、トモを順番に見渡す。


「なんでお前らまで、普通について来てんだよ」


「え、なんでって……」


ジロウがトモを見る。


「ねぇ?」


トモも首を傾げる。


その後ろでは、リサがニヤニヤしていた。


「私は絶対ついて行くからね!」


ユカがカイを指差す。


「だって、パートナーなんだから!」


「パートナーって……お前なぁ」


カイが頭を抱える。


「これから先は、さっきまでとは比べ物にならないくらい危険だぞ。とっとと帰れ」


「やだ」


即答だった。


「即答すんな」


「だってカイ、私がいなきゃ指輪の力、ちゃんと使えないじゃん!」


「うぐっ……!」


図星を突かれ、カイが一歩後ずさる。


ユカは満面の笑みを浮かべた。


「はい、決まり!」


「ははっ。カイ、あんたの負けだね」


「諦めろって」


「うんうん」


リサ、ジロウ、トモまで賛同する。


「い、いやっ、ユカはともかく!」


カイが三人を指差した。


「お前らは関係ねぇだろ!」


すると、リサの表情が少しだけ柔らかくなった。


「あんたのこと、気になっちまってね」


ジロウも頭を掻く。


「俺たち、今までのこと……ちょっと悔いてるんだ」


そして、まっすぐカイを見る。


「だから、せめて償わせてくれ」


トモも閉ざされたカフェを見上げた。


「それに……私たちも知りたいの」


「何を?」


「ユナさんのこと。あなたが追ってる“真実”を」


カイは四人を見つめた。


それぞれ理由は違う。


ユカはカイを心配している。

リサは真実への好奇心。

ジロウはこれまでのことへの後悔。

トモはユナのことを知りたい。


それでも、全員がここにいる。


カイは小さく息を吐いた。


「……勝手にしろ」


「よし、正式加入ってことで」


リサが軽く手を上げる。


「私はリサ・オイレン。解析、侵入、リバースエンジニアリング担当」


「ジロウ・ケイ。インフラ、ネットワーク、実装担当だ」


「トモ・レイヴンクロフトでーす!」


トモがぺこっと頭を下げる。


「UI、感情設計、コミュニケーションAI担当! よろしくねー!」


カイは三人を見て、呆れたように呟いた。


「肩書きだけは、やたら強そうだな……」


「実際強いよ?」


「……足引っ張るなよ」


ぶっきらぼうに言い残し、カイはカフェへ向かって歩き出した。


「待って!」


ユカがすぐに追いかける。


その後ろから、リサ、ジロウ、トモも続いた。


閉ざされた《Analog Mind Café》。


ユナがいなくなってから、止まっていた場所。


そこへ今、新たな仲間たちと共に足を踏み入れる。


ユナが残したものを追うために。


そして――カイたち自身の、真実を追うために。


止まっていた時間が、再び動き始めようとしていた。


※作者の活動報告に各話のコメントを書いています。

https://syosetu.com/userblog/list/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。