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最終話④「究極兵装」

Aの巨体が壁へ激突する。


ドゴォォォン!!


壁面に亀裂が走り、白い破片が崩れ落ちた。


「……まだだ」


Aがゆっくりと立ち上がる。


白銀の身体は傷だらけ。

翼も、四肢も、すでに無傷ではない。


それでも――


四つの光が、その身体へ集まり始めた。


「我は……神だ……!」


獅子。

フクロウ。

オオカミ。

ヘビ。


四つの姿が、さらに巨大化していく。


「すべてを超えた存在だ!」


Aの周囲に黒いエネルギーが渦巻いた。


空間そのものが歪み始める。


ジロウの顔が引きつった。


「えっ……これ、やばくないか?」


「きゃーーーっ!!」


トモが頭を抱える。


Aが四つの力を一つに束ねる。


「我が究極技を喰らうがよい……!」


黒い光が爆発的に膨れ上がった。


「《オール・ドミネーション》!!」


ドォォォォォォォォォン!!


真っ黒なエネルギーが、真実審査の間を覆い尽くす。


「トモ!!」


セラの声が飛ぶ。


「は、はいっ!!」


トモが両腕を前へ突き出す。


《アイギス・ヴェール》


最大展開。


巨大な光の壁が、全員を包み込んだ。


黒いエネルギーが激突する。


バァァァァン!!


「うわぁぁぁぁ!!」


トモが歯を食いしばる。


だが――


パキ……。


「え?」


光の壁に、小さな亀裂。


パキパキパキ……。


亀裂が一気に広がっていく。


「そんな……!」


セラも目を見開く。


バキィィィン!!


《アイギス・ヴェール》が砕け散った。


「ぐあっ!」


「きゃあっ!」


「くっ……!」


「うおおおおっ!」


「みんなーーっ!」


衝撃波が全員を吹き飛ばす。


ドォォォン!!


身体が床へ叩きつけられた。


瓦礫と粉塵が舞い上がる。


誰もが息を切らし、立ち上がることさえできない。


その向こうから――


Aが歩いてくる。


巨大な獅子の頭。


背にはフクロウの翼。


四肢はオオカミ。


蛇の尾が、床を這う。


Aは倒れた人間たちを見下ろした。


「……終わりだ」


狼の右腕が持ち上がる。


鋭い爪が光を反射した。


「一人ずつ――」


獅子の口が大きく開く。


「血祭りにあげてくれる!」


そして。


Aの視線が、ある一点で止まった。


「まずは――貴様からだ!」


「……え?」


トモの顔が引きつる。


Aがゆっくりとトモを見下ろした。


「ひ……」


巨大な爪が持ち上がる。


「ひ……ひぃ……」


さらに高く。


「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!!」


狼の爪が振り下ろされた。


ズガァァァァァン!!


その瞬間――


トモの腕輪が、まばゆい光を放った。


カッ!!


「……なにぃっ!?」


「え?」


《アイギス・ヴェール》が激しく明滅する。


だが、先ほどまでの防御光とは明らかに違う。


黄金。


いや――


透明に近いほどの純白。


トモの周囲に、膨大なエネルギーが集まり始める。


「な、なにこれ……?」


バリアの表面に、幾重もの紋様が浮かび上がった。


ピコが解析画面を見る。


「エネルギー出力――急上昇!」


目を見開く。


「通常防御モードから、別のシステムへ移行しています!」


空中にデータが表示される。


OUTPUT LIMIT : NONE


COUNTER FORCE : MAXIMUM


Aの爪が、純白の防壁へ触れた。


ギィィィィン……!!


「……っ!?」


防壁が震える。


そして――


反転した。


受け止めた衝撃が、そのまま増幅されていく。


「なっ――」


ドゴォォォォォォォォォン!!


爆発的な衝撃波がAへ返された。


巨体が、まるで紙切れのように吹き飛ぶ。


「ぐおおおおおおおおおっ!!」


天井近くまで跳ね上げられ、そのまま壁へ激突。


ドォォォォォン!!


トモは、自分の腕輪を見つめた。


「なっ…………」


口を開く。


「なんなのぉーーっ!?」


ピコも叫ぶ。


「これ、防御兵装じゃありません!!」


「ええっ!?」


「内部に攻撃用の《カウンターフォース》が組み込まれています! 受けた攻撃を、そのまま相手へ返す兵器です!」


「私だって知らなかったよぉぉぉ!!」


そのとき。


セラが首を傾げた。


「あら」


ピコが振り返る。


「?」


「知らなかったの?」


トモも固まる。


「……え?」


セラは《アイギス・ヴェール》を指さした。


そして、微笑む。


「それ――私が作った、究極の対AI兵装よ」


「ええええええええっ!?」


「ていうか私、攻撃するのが怖いから防御兵装にしたんだけど!?」


セラはさらに首を傾げる。


「でも――」


当然のことのように言う。


「攻撃されたなら、その力をそのまま返したほうが効率的でしょう?」


「だったら最初に言ってよぉぉぉ!!」


「そういえば……」


セラが少し考える。


「レジスタンスへ送ったとき、説明書を何枚か入れ忘れたかもしれないわね」


「いま、それ言います!?」


「まあ、結果的にはちゃんと動いたでしょう?」


「結果オーライで済ませないでください!」


その横で、ユカがぽかんとセラを見上げていた。


やがて、くすっと笑う。


「あはは……博士って……」


少し困ったように首を傾げる。


「ちょっとうっかりさんなんだね」


「……歳のせいかしら。自分でも困っちゃうわ」


「自覚があるなら直してください!」


「もうやだぁぁぁぁ!!」


トモの叫びが響き渡る。


その向こうで――


吹き飛ばされたAが、ゆっくりと立ち上がった。


傷だらけの獅子の顔。


そこに浮かんでいたのは――


これまでにないほどの怒りだった。



※作者の活動報告に各話のコメントを書いています。

https://syosetu.com/userblog/list/


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