第九話 カラーバリエーション
遠井市の中心部にある大型商業施設ケオン。そこにはゲーセンやフードコート、家具家電販売店、高級ブランド店など様々な店が並んでいる。そこに到着した三人。
「おおーでっかい!」
「街の中心にあるからな。んで、何買いに来たんだ?」
「えっと、冷蔵庫食器テーブル椅子布団工具携帯筆記用具通学用のカバンその他もろもろ」
「多くね?一日にそんだけ持って帰れるか?」
「ワタシを誰だと思っているの?ちゃんとT-79を持ってきてます」
そう言うとどこからともなくT-79が出現。このバイク風タイムマシンは収納機能がとんでもない。重量は無視できないが、積載するものの大きさは無視できる。確かにこれがあればさっきミクが言っていたものを一気に持って帰ることもできるだろう。
「うわ、急になんか出てきた!」
「そっかエニちゃんは初見か。まあ、簡単に言ったらこれがあれば持ち運びが楽になるって話。」
もともとT-79はタイムマシンなのだから使い方を間違えている気がする。
「ここからは別行動で。ワタシ時間かかっちゃうかもだから先帰っていいよ」
「わかった。そうさせてもらう」
店に入店する青とミクとエニと自動運転機能でついてくるT-79
「え、これも来るの」
「透明化すれば大丈夫でしょ」
するとT-79の姿は消えていた
*****
青とエニが最初に訪れたのは家具コーナー。
「とりあえず食器からだな。えっと皿はこっちか。こんだけあればいいだろ」
「ねえねえ、これどう?」
青はエニのところに行き、そこに置いてあったのは
「マグカップか」
「あったほうがいいと思って。どうかな?」
確かに普通の家にはこういったマグカップがあるイメージだ。しかもこのマグカップはカラーバリエーションが豊富でグラデーションになるようにマグカップが陳列されているのを見ると購買意欲がそそられる。何よりこれはセール品でさらに手が出てしまいそうになる。
「じゃあ、買うか。何色にする」
「じゃあ、これ」
エニがとったのは黄緑色のマグカップ。
「じゃあ、俺はこれにするか」
青がとったのは水色のカップ。青は青系統の色が好きだが、名前の通り青色のものを選ぶのは安直かと思っているので基本色で選ぶ系のものは水色を選んでいる。えっ、苗字が水波?いいだろ別に。青色よりかはましだ。
「一応これも買っとくか」
*****
次に彼らが訪れたのは文房具コーナー。ここはエニが行きたいと言っていた場所だ。新学期になるタイミングで心機一転、新しい文房具を買っておきたいそうだ。
「へーあんまこういうの興味ないから知らなかったけど、結構種類あるんだな。なんだこれ」
黄色12色ボールペン。全部違う色だよ
「12色もいらないだろ。しかも黄色って、見にくいからあんま使えない色じゃねーか。せめて赤とかで売れよ。何でこれで一コーナー埋めてんだ?勝算ないだろ」
すると女子高生ペアが登場
「うわー12黄色ペン売ってるじゃん!これ最近イソスタで見た見た!」
「家の近くの店でも売り切れてるからここマジヤバイ!買っちゃお買っちゃお!」
「じゃあ私リカとレンの分も買っておこーっと」
「じゃあじゃあ私もハナとソラの分買おーっと」
そんな会話を立ち聞きしていると続々と女子高生がやってきて、一コーナー分あった黄色12色ボールペンはあっという間に売り切れとなっていた。
「勝算...あったな...」
続いて青が見ているのはシャーペンコーナー
「爪切り耳かき懐中電灯機能付きシャープペンシル...どの層に向けて売ってるんだ。シャーペンてのはな、こーゆーのでいいんだよ。こう、シンプルな見た目で...税込み5500円?!さすがにたかがシャーペンでこんなには出せないか」
「あ、いた!なんか買いたいのあった?このシャーペン使いやすそう」
エニは5500円もするシャーペンを何のためらいもなくかごに入れた。
青は驚愕する。5500円だ。高校生にとっては大金のはずなのになぜそんなにもためらいもなくかごに入れることができるのだ。
そういえばエニの父親は海外出張に行っており、そこそこ金持ちの家なのではないだろうか。いや、それ以上にだ。昨日のエニの料理を見ていると、料理をやったことのないような動きをしていた気がする。普通高校生にもなったら料理の一つや二つくらいするだろう。エニは料理をしなくてもいい金持ちの家庭に生まれてきた。つまりエニは
「お嬢様ってことか?」
あくまで仮説だし、ここ数日で回りに金持ちが増えすぎな気もするので、多分違うと思う。違うよな
「仮にお嬢様だったら、昨日の俺の飯大丈夫だったかな?お嬢様の口に俺の料理が合うわけがないじゃん。うあぁぁぁぁぁ」
「会計終わったよ。ん?どうしたの?」
「いや、何でもない。全部俺の妄想の中のことだから」
「?」
するとまた声が聞こえてきて
「うわー爪切り耳かき懐中電灯機能付きシャープペンシル売ってるじゃん!」
「またかよ!あー頭がおかしくなる」
本日の収穫。食器、マグカップ、文房具
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空が茜色に染まる中、見覚えのあるバイクが低速度で動いていた。
「重すぎてスピードでない。いろいろ買いすぎた...これ、歩いたほうが速いんじゃ...なんでこーなるのー!」




