第八話 for you お湯
ピンポーン
今日も朝からこやつの登場
「おじゃましまーす」
「やっぱり来たか」
「いやー大変だったんだよ。手続き。でもこれでついにワタシも自分の住処を手に入れたー!」
「あれ?ミクちゃん、どうしたの?」
「やあやあエニちゃん。...ん?エニちゃん?」
するとミクは青の耳元でエニに会話を聞かれないようにコソコソと
「ちょっと、どういうこと?何でエニちゃんがいるの?」
青はそれにつられてコソコソと
「なんか昨日から一緒に暮らすことになって、俺もよくわからん。なんか家族が海外出張だとか」
「ワタシにも『わからない』を伝播させないでよ」
「お前が聞いてきたんじゃねーか」
「あの...二人ともどうかした?」
「「いや、なにも」」
コソコソ話は終わり
「へー、一緒に暮らすことになるんだ。ん?ねえ青?」
「?」
「なんで一時的に私を部屋に泊めることはだめで、エニちゃんがここに住むのはオッケーなの!!!」
そういえばそんなこともあったなと青はその時のことを思い出す
「ねえ、家が決まるまで青の部屋に泊まっていいかな?」
「友達は...いない...です。ちゃんと話したの青くらい。だからお願いします」
そうだな、あの時違ったのは
「シチュエーション...かな」
ミクの時は青が勝手に裏切られた気持ちになってブチギレていた状況で、エニの時は睡眠不足で判断力が鈍っていた状況だったことが大きな要因だろう。
「なによそれ!!!!!」
「うあぁぁ!ゴミ出し!ゴミ出し行ってくる!」
「あ!逃げた!」
ガチャン
「ミクちゃん、ここに泊まろうとしてたの?」
「そうそう。あの時はこの時代に来たばっかりで住むところもなかったからね。それが今ではちゃんと住処を手に入れることができたのだ!!!あーーっはっはっは」
「この...時代?」
「あれ?言ってなかったっけ?えっと、かくかくしかじかうんぬんかんぬん...」
「えっ」
エニの脳内に現実離れした情報が一気に流れ込む。それを理解しようとするがそれを拒絶し、でもそれを受け入れようとし、困惑し、パンクし、硬直した。
「エニちゃーん。どうしたの?動かなくなっちゃって...なんかすごいカチコチなんだけど。ちょ、エニちゃん?エニちゃーーーーん?!?!」
ミクはエニの体を揺らしたり、つついたりしてみるが微動だにせず、まるでエニが氷になったみたいだ。予想だにしに状況に目が回転しているミクは
「氷ってことは、お湯で溶かさないと。お湯ぅお湯ぅ」
*****
「いやぁ、奥野さんと話し込んじまったな。まあ、確かに今週のゴミ出しは間違えるよな」
というのも青の住んでいる地区のゴミの回収日は毎週月曜日と木曜日なのだが、今週は年度末の調整のためだかなんかで日曜日と水曜日に回収が行われることとなっていたのだ。そして奥野さんは日曜日にゴミ回収が行われていたことを忘れていたようで、一週間分のゴミを今日まとめて出したそうだ。
アパートの外にある階段を上り、自分の部屋のドアを開けるとそこにはポットで沸かしたお湯をエニにかけようとするミクの姿が
「馬鹿馬鹿馬鹿!何やろうとしてr熱っっっっっつ」
「はーなーしーて!氷溶かさないと!」
「訳のわからんことを」
*****
ミクをいったん落ち着かせ、手に持っていたポットをキッチンへ戻した。そして部屋には、あぐらをかいて座る青と、それに向かって正座するミク、硬直したまま立っているエニという奇妙な光景が広がっていた。
尋問タイムスタート
「とりあえず、硬直したエニを動かせるためにお湯をかけようとしたことはわかった。が、何でエニが固まってるんだ?」
「えっとぉ、ワタシが未来から来たよぉって言ったらなんかぁ、固まってぇ」
「言ったの?!?!」
そりゃ固まるわけだ。俺だって最初めちゃくちゃ困惑したもん。てかこういうのって普通周りには隠すってのが定番なんじゃないかな。
「とりあえずこういうの防ぐために周りに自分は未来人って言うなよ」
「はい...」
「あれ?ここはどこ?私は誰?」
「はっ!エニちゃぁぁぁぁん」
エニのフリーズ時間が終了し、ミクはエニに向かってダイブ。
「うわぁぁぁんよかったよぉぉぉぉ」
「ミクちゃん?!」
*****
「ということでミクは未来人でこのことは他言無用で。どう?わかった?」
「えっと...わからないけど...なんとなく?わかった...のかな?」
「大丈夫。俺もわからないけどわかってるから」
「ねえ、それってどっちなの?!」
「知るかよ!」
ふと時計を見るとそろそろいい時間
「俺たち今から買い物に行くんだけど」
「ちょうどよかった。私も家具とか買いに行こうとしてたし」
次回こそショッピング回




