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第十九話 その後悔は数週間で忘れる

 本日はようやくやってきた休日。春休みに慣れていた体は、無慈悲にも始まってしまった新学期に未だに順応していない。とにかくこの休日にしなければいけないことは、今週の疲れを回復し、来週に向けて体力を蓄えておくことだ。

 いつもの癖で朝に目覚めはしたもののここから二度寝、昼頃にはいったん起きようと思う。起きてからは...床に寝転がってゲームだ。できるだけ使用するエネルギーを減らしていこう。


 そう思っていた矢先


 

 ピンポーン


 

 悪魔のチャイムが鳴る。この後の展開は何となく見えてはいる。このチャイムをスルーして二度寝に入るのもいいが一応ドアの向こうを確認しておこう。一応。


 ガチャ


 「おじゃましまーす」


 ミク登場


 「あのさぁ、休日の朝っぱらから元気だよなぁ。小学生のガキかよ。俺寝起きなんだよ」

「ねえねえ、暇だからどこか遊びにいこーよ」

「話聞けよ」


 朝早くから元気なミク。彼女の声は寝起きの人間にとっては脳に響くものらしく、青は不機嫌になる。

 ミクはそんなことは知らないと言わんばかりに、青の部屋に普通に入ってくる。眠気によりそんなことにツッコミを入れる余裕はなく、代わりに欠伸をかます。


 「あ、ミクちゃんおはよう」

「おはよー」


 青とエニの部屋を仕切っているカーテンから顔だけを出し、エニはミクと朝の挨拶を交わす。


 「お前元気だよなぁ」

「わかる!?休日を楽しみにこの五日間を生きてきたからね。じゃあ、どこ行こっか?」

「いいことを教えてやろう。休日ってのは名前の通り『休むための日』なんだよ。だから俺は今日、これから二度寝をし、昼からは寝転がりながらゲーム三昧なんだよ。どこか行ったら体力を回復させるどころか体力消費しちまう。そーだよなエニ」


 ミクに休日の在り方について説き、いつも朝が弱く、自分と同じ考えを持っているであろうエニに共感を求める青。何とかミクを納得させて部屋から追い出したいところだ。


 「え!えーと...うん...」


 カーテンから顔だけを出しているエニは勢いに流され相槌を打つ。しかし、彼女はすでに着替えており、手にはカバンまで準備をしていた。


 休日ってそうやって過ごすんだ....みんなと遊びに行くと思って準備してたけど...


 「とにかく!今から俺は寝る!」

「えーやだー!休日が暇になっちゃう!」

「小学生のガキかよ」

「いーやーだー」


 だめだ、こいつ、俺が動かないとずっとこのまま騒いでるつもりだぞ。こんなんじゃ寝れない。


 「じゃあ、これで遊んで暇つぶしてろ」


 そういって取り出したのは、テレビゲーム機。このテレビゲーム機は最新型で、青がお金を貯めて買ったはいいものの、ゲームの操作性にあまりはまらず、スマホゲームで十分事足りると思ってしまったことにより、数回プレイしたっきりで片付けてしまったという歴史を持つ。


 「ゲーム機?」

「このテレビ使っていいから、ゲームして暇つぶししてろ。あまり大きな音は出すなよ、俺は寝るからな」


 青は耳栓を取り出して装着し、そのまま布団に入り睡眠した。


 「寝た」

「これどうやって遊ぶんだろ」



*****



 目が覚める。まず最初に感じるのは喉の渇きだ。しっかりと寝ているのにもかかわらず体が重く、起き上がるのに一苦労。だが人間、喉の渇きには抗えない。その重い体を無理やり起こし、水道の蛇口をひねり、両手で受け皿を作り、水をためる。その水を一気に飲み干し、その工程を4回ほど繰り返す。

 そろそろ喉が潤ってきたところで現在の時刻を確認する。

 

 いや、それどころではない。


 窓の外が赤い。


 水を飲むことだけしか考えていなかったため、窓から差し込む夕日の光に気づいていなかった。今は夕方?


 時刻を確認すると午後六時。











 「え?」










 喪失感が体を満たしてゆく。この休日を睡眠に使うとはすでに決めていたことだ。だがしかし、今日の過ごし方に対する後悔、自問、自責が脳内に回転する。


 「俺は今日、何してたんだ」


 せめて何かをしたという実績を作るため、顔を洗った後、晩御飯の準備をするのであった。



*****



 「何?急に起きたと思ったら料理始めてるんですけど」

「寝起きだから私たちのこととか見えてないのかな」

「おーい!青ー!」

「耳栓してるから聞こえない...かも...」

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