第十八話 教授!死体撃ちはやめましょう!
「さーて始まりました!ミクさんの新入部員分析データ発表会!えーっとまずは」
「待て待て。急に始めんなって。こっちは何もわかってねーんだからよ」
「私もちょっとびっくりしちゃった」
「ごめんごめん」
青とエニがオセロを少し始めていたところでタブレット端末を持ったミクが急に話題をぶっこむ。
「では教授、事の経緯を教えていただけますでしょうか」
こういう時、意外にも青はノリノリだ。
「いいでしょう!まずは、演劇部の新入部員が0人だったところに着目し、他の部活には新入部員が何人入ったのか気になり、そしてぱぱーっと調べたところいろいろな結果が出てきたのです!さっすがワタシ!そしてこれは、その発表会です!」
「教授!良ければそちらのプロジェクターを使ってください!」
「感謝する!」
青とミクの二人が調子に乗りまくって話を進めている様子を見て、エニは
今日は私がツッコミするの?
と心の中でつぶやく。
「演劇部って本当にいろいろな物あるよね」
「いやー、本当に便利だと思う」
便利って一体何に対して言っているのだろうか。
「よし、準備できたよ」
壁にスクリーンを展開し、プロジェクターでそこに折れ線グラフを映す。
ミクは部室にあった白衣を着て、伊達メガネをつけていた。
「なんですかこれは」
「まずは演劇部について。こちらのグラフをご覧ください。こちらはその年に入った新入部員の人数をグラフで表したものとなっております。今年は0、去年は1、一昨年は0なのに対して、三年前は7、四年前は11と、三年前までは数多くの新入部員が入っており、二桁人入ってくることもあります。これはどういうことですか水波君!」
青自身、二個上の先輩までは大量の部員がいたことは知っている。だがしかし、こうもしっかりとデータとして見せられると、心に刺さるものがある。何なら折れ線グラフに関してはギャグのような形をしている。崖かよ。急にガーンと落ちて。
「いやぁ、わかってはいるんですよ。でも現状をどうにかできるなら苦労はしないっていうか...はい...」
青は白くなった。新入部員0という現実を突きつけられるといつもこうなる。
「ミ、ミクちゃん、次、次行ってみよ」
「では続いて、新入部員の数ランキング~!まあ、真ん中の方は面白くないからトップスリーいってみよう!第三位!」
ミクは音響機材のボタンを押し、ドラムロールの音を流す。
「じゃじゃん!テニス部!やはり全国大会出場の実績は強いか」
「いいなぁ、全国大会。昔の演劇部だって大会で結構いい成績とってたりしてたんだよ...でも...今では...」
「ミクちゃん!次!」
「第二位!」
ドラムロール
「吹奏楽部!なんと前年比1.8倍の72人入部!」
「吹奏楽の部活見学に流れていく子多いなぁって思ってたんだよ。やっぱりあいつらが演劇部の新入部員奪っていったんだよなぁ...許さない...許さない...」
「一位いこ!」
「栄えある第一位は」
ドラムロール
「長くない?」
「こういうのは溜めっていうのが大事なんだよ」
「へぇ」
「バスケットボール部!新入部員はなんと83人!」
「あれ?バスケ部って入学式の日ビラ配りしてたっけ?」
「そんなことしなくても俺たちの部活は部員大量確保できるって舐めプしてんだよ。馬鹿にしやがって...クソが死ね」
青がどんどん荒れていくことに心配するエニ。しかしそんな心配は必要ない。
「ちなみに最下位は0人の演劇部、空手部、登山部、文芸部でした」
「あーーーーーーー」
荒れ始まっていた青はすぐさま萎れていく。
「じゃあ、最後に合計部員数ランキング~!まずはトップ――」
「やめて。上はもう見たくない。下だけでいいから。許して」
青が落ち込んでいる中、エニは
そろそろ私ツッコミ役として仕事しないとかな。なんかこの空気悪いと思う。よし。
「な、何で下は見れるね~~~~ん」
「は?」
「?」
「へ?!」
エニの顔がどんどん赤くなり、頭から湯気が昇ってゆく。
「私...私...うーーー」
「何だったんだ」
「さあ。気を取り直して合計部員ランキング最下位は~」
ドラムロール
「不名誉なことなんだからドラムロールは必要ないだろ」
「じゃん!空手部!」
「!」
まさかだった、青は演劇部が呼ばれることを覚悟していたが、呼ばれたのは演劇部ではない。空手部だ。
「そうか、空手部か。演劇部じゃないんだよな。つまり、最下位じゃないってことか!よっしゃぁぁぁ!そうかそうか空手部か。空手部...空手部?」
何故か空手部というワードに引っかかる。何故だ。そういえば3月の部長会で――
*****
「えーっと、来年度なんですけど、ここ数年部員が入っていない空手部は廃部する運びになったのでお知らせします。またどこかのタイミングで全校生徒向けに連絡されるとは思いますが――」
*****
あっ
「空手部...今年度廃部になったんだよ。そりゃ部員数最下位だよ...」
そうなると本当の最下位は
「本当?!じゃあ本当の最下位は」
ドラムロールが流れる。
正直ただの煽りにしか聞こえない。
「演劇部!部員数一人!」
「やっぱりかよぉぉぉぉぉ!」
「ということで本日の発表会を終了します」
*****
「ツッコミ...私...なんか顔熱くなってきた...」
「最下位...俺がなにしたっていうんだよ...」




