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第十六話 シェフの気まぐれおせち

 これは部活見学期間中の出来事


 本日は新学期になって初めての授業。現在4限目の数学の時間。さすがに初回授業で寝ている人物などいるはずもなく――


 「ぐーーーーーー」


 いた。机に突っ伏して、夢の世界で遊んでいるのはミクだ。

 そんなミクの前にやってきたのは


 「よぉ~調辺。初回授業で寝るなんてええ度胸しとるなぁ~」

「ふぇ。だってぇ内容全部わかるもん」

「なんや。内容全部わかっとんのか。なら寝てよし」

「ふぁ~い。おやすみなさぃ」



*****



 キーンコーンカーンコーン


 「じゃあ今日の授業は終わり。ほな号令~」



*****



 「ひー、これが後三限もあるの、学校って大変」

「これからお昼だけどどうするの青?」

「ワタシお昼持ってない!どーしよ。コンビニ行こうかな」

「いいわけねーだろ。購買行くぞ」


 クラスの人間は仲良しグループで机を固め、早い者はもう弁当を出している。そういった空気が嫌いなのか、居づらいのか、青は足早に購買へと向かう。

 ミクはそれについていき、エニはどこかを見つめていた


 「エニ?どうした?」

「う、ううん。なんでもない」



*****



 購買の前についた一同。そこには購買パンを求める長蛇の列があった。


 「人多くない?売り切れたりしないよね?」

「種類選ばなかったらよゆーで買える。おすすめはジャムバターロール。売れ残る割にくそうまい」


 そんなことを話していたらいつの間にか自分たちの番となり、青はジャムバターロール。ミクはアンパンとクロワッサン、エニはツナタマゴサンドを購入。


 「じゃあ俺はこれで」

「ちょっと、どこ行くの」

「一緒に食べよ」

「え゙ー」



*****



 場面は変わり今度は部室に三人が集まり、先ほど購買で購入したパンを食している。


 「いつもここで食べてるの」

「教室でぼっち飯はさすがに精神病むからな。仲良さそうな奴らの会話が嫌でも聞こえてくんだよ。たった数十分なのに体感時間数時間。簡易拷問の完成だ」

「会話に入ってけばいいのに」

「それが出来たらぼっちになってねーよ」


 青とミクが会話を繰り広げている中、エニは黙々とサンドイッチを食べている。その瞳は二人の会話を聞いているものとは思えず、どこかぼーっとしていた。

 青はそれに気づいたのだが、あまり気には留めず、そのままジャムバターロールを食した。



*****



 「お待たせしました。こちら肉じゃがです」

「おおー」


 この時はまだ見学者が0でも新入部員0が確定したわけではなかったので、普通に晩御飯を作れていた。本日の晩御飯は肉じゃが。じゃがいもに煮汁がしっかりとしみ込んでいるのがポイント。ちなみにインゲンは青が嫌いなので入れていない。


 「んー」


 昼食時にはあまり気には留めようとしてはいたが、ぼーっとしていたエニのことはやっぱり気になっていた。しかし、肉じゃがを食すエニの笑顔を見て昼食時の彼女は気のせいなのかと青は思うことにした。



*****



 夜も遅くなりそろそろ寝る時間となる。青はゲームの周回が切りのいいところまでやり切ろうとしていた。


 「あ、青...あの...」


 カーテンで隔たれているエニの部屋こと203号室からエニが現れた。


 「?」

「あっ...おやすみ」

「?おやすみ」


 エニの行動に首をかしげる青。やはり昼の様子が関係しているのだろうか。さすがにこのもやもやした気持ちのまま睡眠に入るのは不可能と考えた青は推理ゲームを開始する。


 朝はいつも通りだったから変になったのは昼から。細かく言うと購買に行く前くらい。何だ?考えるにはヒントが少なすぎる。なにか...


 青は部屋を見渡し周りにあるものにヒントを求める。ここで直感的にキッチンへと向かう。キッチン棚を開けていきヒントとなりそうなものを探す。


 えっと、皿にコップ、炊飯器。んーやっぱり違うのか。あ、弁当箱こんなところにしまってたのか。弁当なんていかるが荘来てから使ってなかったからな。


 何かが引っかかる。


 弁当...購買に行く前...教室...


 4限目が終わった後の記憶を辿り、脳内スクリーンに映し出す。


 あの時のエニは...教室の奴らが弁当出しているところを見ていた?


 絡まっていた謎という紐がだんだんとほどけていき、ある仮設にたどり着く。


 「まさか。えー、だったら大変なんだけど」



*****



 「朝だぞー起きろー」

「んむーおあよー」


 食卓にはご飯、みそ汁、スクランブルエッグ。そして


 「あ、お弁当」

「あー、一応作ってみたんだけど...いる?」


 食卓にあったもの、それは昨日欲しかったけど言い出せなかったそれがあった。


 「うん!」


 よっぽどうれしかったのだろう。その満面の笑みは、早起きは三文の徳とはこのことなのだろうと確信できるものであった。












*****



おまけ1


 仮説ができた直後


 「弁当って何作ればいいんだよ。好きなものとかあんまわかんないんだけど。そもそも材料とかあるかな。野菜なら多少残ってはいるけど。てか、あいつってお嬢様説あったよな。お嬢様の弁当って何?おせち?シェフの気まぐれおせちですか?あー、わっかんねー!」



*****



おまけ2


 深夜のコンビニにて


 「もういいやこれで。冷凍唐揚げだけ買っておいて、余ったスペースにサラダ詰めとけばいいだろ。朝スクランブルエッグ作るからそれも入れて、でもこのメンツに唐揚げっておかしいか?ハンバーグの方がいいか?あー、やっぱりわっかんねー!」

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