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第十一話 200年伝言ゲームトッピング盛り盛り

 「ってわけで大変だったんだよ~」

「ミクちゃんお疲れ様」

「まあ、帰りが遅くなった点に関しては改善案があるがな」

「嘘?!」

「そもそもここからケオンまでバスで行ったわけだ。その間あのバイクは透明化+自動運転で俺たちについてきたんだよな」

「うんうん」

「それができるなら、帰りはお前が先に帰って荷物はバイクに任せるってのでよかったんじゃねーか?」


 あー と顔が上を向く。天井の木目をちゃんと見たのはこれが初めてだ。

 ミクはすべてを理解した。なぜそんな単純なことに気づかなかったのか。なぜ青に思いついて自分は思いつかなかったのか。


 「で、朝から愚痴言うためにここに来たのか?」

「ワタシだってそこまで暇じゃないの。用が済んだら帰るし」

「用ってどんなの?」


 エニの問いかけに答えるため、ミクはカバンからスマホを取り出す。それは昨日買ったもので、さすが大金持ち。最新機種の容量の大きいものを買っている。


 「連絡先交換しないとだなと思って」

「はいはい、えっと電話番号は...」

「私は...」

「よしよし、じゃあワタシは...」



*****



 「ワタシびっくりしたんだよねー。2025年って通信技術出来てたんだーって。もちろんインターネットとかそこらへんはできてること知ってたけど、この板一個で手軽に連絡できるのはもう少し後のことだと思ってた。2040年とか」

「2025年なめんなよ。しかも連絡ならもっと前からできてたよ」

「うっそだー」


 未来人と現代人との常識等の差なのだろうか、想像しているものが違っていたりする。まあ、同じ地球で生きてきたといっても、2025年周辺の時間に関して我々は今生きていることをそのまま考えればいいのだが、ミクにとっては誰かから誰かに繋いでいった伝言ゲームの果てにいるのだからギャップがあるのは仕方ないのだろう。


 「歴史の授業とかでもそんなことあったな」


 小学校の時の歴史の授業で江戸時代が始まったのは今から約400年前と聞いてそんな馬鹿なと思ったことがあるのを思い出した。当時の自分にとって江戸時代は大昔の話でざっと1000年以上前のことかと思ってた。

 伝言ゲームとか以前に人間は昔のことだと直感で思ったら本来よりオーバーに昔のことだと思い、最近のことだと直感で思ったら本来よりオーバーに最近のことだと思うのだろう。

 そう考えるとミクの時間間隔の誤差は割と小さいことなのかもしれない。


 「よし!うまくいった。じゃあワタシ帰るねー」

「待て待て、お前nishine(ニシン)は?」

「なにそれ」

「会話アプリ。こういう風に文字で会話できるの」


 例として見せたのは青とエニの個人nishine。そこに「あ」と一文字だけを送る。ちなみにこのチャットルーム動いたのはエニが家に住み始めた日の夕飯後にちゃんと連絡先がつながったかを確認するために青がスタンプ一個送ったときのみ。


 「この時代でもうここまで来たんだ」



*****



 「これで全員分できたのかな」

「うん!ちゃんと確認できたよ」

「全員って交換したの二人じゃん」

「ねえねえ二人とも。2025年でここまでできてるってことは、グループチャットとかもできるの?」

「おう。じゃあ作るか」


 とは言ったものの、ミクはもちろん青とエニはグループを作ったことがなく悪戦苦闘。5分ほどかけやっとの思いで完成した。

 グループnishineが出来て一番興奮していたのはミクではなくエニだった。


 「初めてのグループnishine...!」

「クラスチャットとかなかったのか?」

「あ、えーっと、あったらしいけどチャットに呼ぶことを忘れられてて...」

「よし!この話は終わろう!」


 そういえばエニとnishine交換した時もこんな反応していたなと青は思い出す。


 「今度こそこれで完了!じゃあワタシ帰るねー」



*****



 ミクが帰ってから2時間ほどエニは一分おきにスマホの電源をつけ、画面を確認したら机にスマホを置く行為を繰り返している。

 そして時刻はちょうど12時


 ピロン


 「はっ」


 光の速さでスマホを取り、画面を確認するとnishineに一件のメッセージが送られている。そのメッセージを確認すると


 「うぅ」

「遠井市の公式nishineだろ。ほら、俺のとこにも届いてる」


 落ち込むエニ。それを見て青はどうにかフォローしようとし


 「まあ、今ミク忙しそうだしメッセージ送られないと思うぞ」

「でも、気になるものは気になるから」

「お茶でも飲んで少しは落ち着くか?」

 

 お湯を沸かし緑茶を淹れる。ちなみに茶葉はエニと住むことになったときにちゃんとした生活を送るため、青が購入した。

 完成したお茶を飲みほっと一息


 「「ふぅ」」

「少しは落ち着いたか」

「うん...でも...気になる。友達だったらずっと連絡とるものなのかな?でも自分からするのは緊張しちゃうし...」

「高校で友達のいない俺が言うのもどうかと思うけど、友達ってnishineが全てじゃないと思うぞ」


 あまりよくわからない、友達との交流は初めてで普通がわからない。そう思っていたエニだが、ふとあるものが目に留まる。

 そういえば青とはメッセージを送り合っていないが友達だ。友達?で合っているのだろうか?でも友達じゃないわけじゃない。だから友達で合ってると思う。友達だ。


 「うん。なんとなくわかった」


 机には先ほどまで入っていたお茶の熱が残っている温かい黄緑色と水色の二つのマグカップが置かれていた。

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