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限界オタクが悪役令嬢に生まれ変わって最推しに出逢えて尊い!ので、推しの闇落ちルートを全力回避します  作者: 睦月のにこ


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第二部・ドルンゲン帝国の闇……教会墓地の地下に秘密工場を発見しました。

 私達が教会の共同墓地の一角で、地下へと通ずる謎の隠し階段を発見してからすぐ。


 ダニエル主教と一緒に、スコップを持って戻ってきたヨハネスと合流したわ。


「ダニエル主教、心当たりは?」


 アレクセイ様の詰問に、ダニエル主教はバツが悪そうに答えるわ。


「いえ、何も……私は存じておりません」


 ダニエル主教は何故か震えて答えるわ。


 ヨハネスは灯りを灯して。


「念の為、確認しましょう。

 俺が先頭を務めます」


 グラン様は。


「誰か見張りを立てないとだろう?

 オレとシルバーナ様は地上に残る」


「リオネル王子は私達が様子をみますわ。

 皆様、どうか、お気をつけて」


 そう二人に見送られながら、私達は地下への階段を降っていったわ。




「これは……もしかして噂に聞くカタコンベでしょうか?」


 私がふと呟くと。


「お嬢様……カタコンベは西方教会の総本山などにあるものですよ。

 古代の圧政の頃、地下で教会の教えを密かに信仰していた時代のものです。


 帝国のこれは……先住の民が作った古代遺跡ですかね」


 ヨハネスが簡単に解説してくれるわ。

 前世で海外旅行の広告で見たカッパドキアみたいなものかしら?


「この石材は……帝都近くの山の採石場のものですね」


「カメリア、分かるの?」


「ええ、お嬢様。ウチの領地には鉱山があったので、多少は。

 肝心の鉱山は、お家取り潰しの後にアルヴェイン帝に取られちゃいましたけれどね」


 教会の地下の古代遺跡。そこには……!


 暗闇の中、虚ろな目をしたあの人形と同じものがずらりと何千体も整列して、こちらを向いていたわ。


「……ひい?!パペッティアが……!」


 私は思わず悲鳴を上げてしまった。


 すかさず、アレクセイ様が周囲を見渡して。


「……いえ、微動だにしていません。

 魔力も感知しないし、おそらく稼働前なのでしょう」


 カメリアは注意深く、稼働前と思われる人形に触れる。


「……冷たい。埃、かぶっていないわね」


 さらに奥に行くと、腕、胴体、脚、顔、目玉……などの幾多のパーツ。

 それらが、ずらりと不気味なまでに並べられており……。


「……肝試しにはちょうどいいですかね。

 ここに軍の書類がありますね。どうやらここは軍事機密のようです」


 ヨハネスが書類を渡してくるわ。


 教会の地下、そこには数多のパペッティア製造のための、秘密軍事工場があった。



「この規模は……ざっと見積もって、あの裏帳簿の怪しい項目の金額に相当するかもしれません。


 それにこの数……他国への侵攻にうってつけだな」


 アレクセイ様が厳しい表情をするわ。 


 ……他国への侵攻って。

 まさか、ローズベル王国フレデリク先王はこれを警戒していたの?!


 私は湧き上がる雑念と恐怖を否定しようと、首を振る。

 すると手に何かが当たり、うっかり落としてしまったわ。


「きゃ!……不注意ね。何か落としちゃったわ」


「お嬢様。ご無事ですか?私の方で片付けますので、お嬢様はそのままで」


 カメリアが何かを手に取ると、ピタリと動きが止まったわ。


「カメリア、どうしたの?

 それって魔鉱石?随分と純度が高いものみたいね。

 闇魔術人形の動力源に使われてるのかしら?」


「……お嬢様、触ってはなりません!


 どうして、嘘でしょ?!

 これがなんでこんな所に?」


 カメリアは爪が食い込みそうなほど強く、鉱石を握りしめるわ。

 信じられないものを見たかのようね。

 普段はクールな彼女の眉間にしわを寄せているわ。


「何か、知っているの?カメリア」


「ええお嬢様。これには見覚えがあります。

 ……この結晶、色合い、硬度……間違いない。

 ウチの領地の鉱山のものです。


 それも魔力を込めると生命を奪うシロモノで、おじいちゃんが採掘を禁止にしたはずなのに……!」


 それはきっとバートン家の良心と誇り。

 あの狂帝はそれすらも踏みにじったというの――?!


 その瞬間、私の足元から薔薇の蔓がフロア中に広がり、闇魔術人形に絡みついていったわ。

 青い花弁を咲かせて、採掘禁止となった問題の魔鉱石をも、あっさりと砕いてしまった。


「……青薔薇の魔力が、聖女の貴方に危害を加えないように自動的に発動したようですね」


 アレクセイ様は嘆息して。


「その前に、大規模摘発に踏み切りたいと思っていたのですが……

 流石に少々危険が伴うかな。

 闇魔術人形の処分にはちょうどいいでしょう」




 ヨハネスが堪らず地上に飛び出すわ。


 地上にいる、ダニエル主教の胸ぐらを掴み問い詰めるわ。


「ダニエル!これはどういう事だ!

 教会保有の地下遺跡で何をしていた!

 何故軍事工場が、こんな所に……?」


「……ヨハネス。聡い貴方ならお分かりでしょう?

 教会側が、アルヴェイン帝に提供した。

 それだけの事です」


「ダニエル!お前……!

 何故止めなかった?!」


「だって、仕方ないでしょう!?

 私一人だけ反対した所で、どうなると言うのですか!?」


 ダニエル主教の、私一人だけって……!

 他の主教達は我が身可愛さに、ただアルヴェイン帝に追従しただけとでもいうの?


「アルヴェイン帝は教会という機能を政治利用する為だけに帝国へと変えたのです。

 あの方は、肝心の信仰など何の興味も無い!まるで虫けらを見るような目で私達を毛嫌いして!


 あれではきっと、狂帝に逆らえば教会はおろか、信者まで大弾圧に遭ってしまう!

 皆殺しになりかねない!

 

 それはヨハネス、貴方がよくご存知でしょう?

 シスターソフィアの一派は皆粛清されたではありませんか……!


 あの狂帝の元で、教会が生き残るために必要な事だったのです……!」



 そんな事って……ダニエル主教が、実はアルヴェイン帝の協力者だったなんて。


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