↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
限界オタクが悪役令嬢に生まれ変わって最推しに出逢えて尊い!ので、推しの闇落ちルートを全力回避します  作者: 睦月のにこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
90/106

第二部・お人形の様なお嬢さんに嘘を見抜かれました。

 カメリアの墓参りで遭遇した少女は、かなり印象的だったわ。


 人とは思えない白銀の髪に、白磁の様に青ざめた肌。

 喪服のような黒いドレスに、小さな黒いトーク帽とデコルテまで隠すベール。

 瞬き一つ見せない、ガラス玉の様な美しい瞳の少女。


 人非ざるものが人の真似事をしている……そんな歪な印象を受けるわ。


「ごきげんよう。

 青薔薇の聖女のお嬢さん。それに剣舞う椿姫も。

 光の聖女はお休みかしら?」



 無邪気な少女の声に、ふわりと舞う百合の香りが漂うわ。


 その姿とは相反して、私達は一切名乗ってないのに正体をピタリと当ててくるわね。 


 この子、魔力探知能力に優れているのかしら。

 例えば……敵国の魔法使いを掃討する為、とか?


 ガラス玉の様な瞳は、アレクセイ様とシルバーナ・フローリア姉妹を一瞥するわ。


「ふぅん。

 ドルンゲンの始祖雷帝の魔力を引く者たちね。

 昔と違って仲睦まじいのね、いつも一緒なの?」


 アレクセイ様はすかさず、シルバーナ様とフローリア嬢を背中で庇うわ。


「……シルバーナ様、フローリア嬢。

 お先に行ってください」


「ええ、お気をつけて。

 ……あれは多分、噂の魔術人形クークルでしょう」


 ものすごく嫌な予感がしますわ。


「ユーリエフスカヤ公爵家の銀の姫、花の姫はもうお帰りなの?残念だわ。


 そこの闇魔法使い、大家の宗主はお元気かしら?

 あそこは魔術を快く思ってなかったようだけれど」


「……魔術?」


 私が問うも、アレクセイ様が説明してくれるわ。


「……亜流の魔法みたいなものです。

 エーテルを含む触媒を多く使い、人為的に魔法を再現する学術ですね。


 ローズベルでは……あまり馴染みがないかもしれませんが。


 魔法使いからは、魔法の使えなかった落ちこぼれがなるものと軽んじられています」


 み、耳が痛いわ……。

 私も一時期、魔法の使えない落ちこぼれとして王宮や学園で扱われていたから。


「ごきげんよう、お人形の様に素敵なお嬢さん。


 名乗るのが遅くなってしまいましたわ。

 私、セルシアナエリーゼと申します」


「アタシはパペッティア=グリモワール。

 マスターに名付けてもらったの」


 彼女がそう名乗った瞬間、近くの林でさえずっていた鳥の声が聞こえなくなったわ。


 パペッティアって……人形使いを指した名前じゃない。

 それにグリモワールって、偽書って意味よね?

 なんて皮肉な名前付けているのよ?


「ねぇ青薔薇?一緒に遊ぼう?」


 ガラス玉の様に無機質な瞳が、ギラリと輝いたわ。


「……何を仰っているのか、分かりかねますわ」


「貴方、不可思議な魔力をしているのね?

 青薔薇や、ローズベルの水の精霊だけじゃない。


 この世界のものではない加護も受けているのかしら。だから魔力が噛み合っていない」


 この世界のものではないって……前世?

 でも日本に魔力なんてファンタジーなものはあるのかしら。

 別の歴史ゲーの推しの墓参りとか、関係ありそうな神社仏閣巡りしたけど……流石に違うかぁ。懐かしい。


「さあ?心当たりなどございませんわ」


 ふと見ると、アレクセイ様が青ざめているわ。


「……おかしい。あり得ない。

 何故、あの人形からセラフィーナお母様の魔力の気配が……?!」


「アタシに魔力をくれた人?懐かしい。

 貴方も同じ匂い、するね。

 ねぇ?雷帝の子孫」


 凍りつくアレクセイ様。


「待て、何を言っている……?」


 アレクセイ様は息を呑むわ。


「……そんな馬鹿な?!

 お母様が魔術の実験材料にされたと言うことなのか?!」



「お嬢様!アレクセイ様!ご無事ですか?」


 こちらの様子に気がついたのか、ヨハネスが駆けつけてくれたわ。


 パペッティアは、そんなヨハネスに迫って。


「……あら?異種が混じってる。

 みなし子から聖職者?」


「まあ、そんな所だ」


「いえ、王族から祝福……ロザリオを受け渡された?」


 ヨハネスの首元から、翡翠とブロンズの華奢なロザリオを引き出したわ。

 ヨハネスが元聖職者なら、ロザリオをしていても違和感ないけれど。


「ほら、ここに旧王家の紋章。


 でも貴方はその魔力を受け継いでいないはず。

 オカシイわ、オカシイわよね?」


「……何故、分かる?誰にも言っていなかったのに」


「ヨハネス、それってシスターソフィアの遺品……!


 離れて!エンチャント・ローレライ……!」


 カメリアは懐からナイフを取り出して、パペッティアとの間合いを詰め斬りかかろうとするも。


 軽やかな身のこなしでパペッティアは宙を舞い、距離を取るわ。

 まるで操り人形の様だわ。


 パペッティアは、それまでの無邪気な少女の声ではなく、突如不気味なまでの機械的な音声で呟くわ。


「イレギュラーな心拍数上昇。


――嘘を検出しました。


 旧王家の魔力を込めたアミュレットを確認。

 悲願と呪いを引き継ぐ者として、認識しました。


――マスターへの殺意確認。緊急排除します」


 パペッティアはすかさず闇の魔力を放出する!


「皆、僕の後ろに!シチート!」


 アレクセイ様が咄嗟に防御魔法を展開する!

 闇の魔力は、幸いにもアレクセイ様の防御魔法に弾かれ、近くの木立にぶつかるも……木の幹を粉砕するほどの威力だったわ。


「あら、ちゃんと避けられたのね。

 ローズベルの処刑塔の兵士より優秀だわ」


 その様を見て……私はふと思い出してしまった。

 先日の通信で、フィオナ国王陛下が仰っていた白い少女による処刑塔の破壊工作。


 このお人形の様な子のせいじゃないの?

 ローズベルのフレデリク先王が恐れていたのは、これじゃないの……?!


 私は再度問いかけるわ。


「貴方は一体、何処のどなたなの?

 貴方のマスターってどちら様?」


 彼女は、小首を傾げて瞬きもせず嗤うわ。


 おおよそ人では、あり得ない角度まで首を曲げて……!


「アタシは貴方の国の言葉で言うならば、キリングドール。

 この国の言葉だと、クークラ・ウビィーツァ。


 アルヴェイン皇帝陛下こそがアタシのマスターです」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。