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限界オタクが悪役令嬢に生まれ変わって最推しに出逢えて尊い!ので、推しの闇落ちルートを全力回避します  作者: 睦月のにこ


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閑話・アレクセイ様がマカロン作りに挑戦しました。

 日当たりのいい庭先に、ミモザの咲き誇る春の日のお昼過ぎ。

 前世の今頃だとホワイトデーよね。


 北の軍事大国ドルンゲン帝国の白獅子将軍アレクセイ様は一人、張り詰めた顔で悩んでいました。


「キャルロット令嬢。

その、ちょっとした相談があるのですが……お手隙ですか?」


「かまいませんわ。どのような件ですか?」


 十中八九カメリアについてですわね?


「カメリアに、プレゼントを贈りたいのです」


 よし来た、アレクセイ✕カメリア案件これで勝てる!などと、内心で私はガッツポーズする。


「……アレクセイ様からカメリアに。

 それって友好の証?それとも親愛の……!」


「愛?!いえいえ。

 そんな大それたものではなく、こう長年離れていた時間を埋める様な、自然に好……いやもっと仲良くなれたらなーって思いまして」


 うふふ、カメリアへの愛がバレバレですわね。

 うんうん、良き良き。


「それならば、形に残る香水や、ネックレスなんてどうです?」


「そんな、重くないですか?

 ……リオネル王子を参考にして指輪も考えましたけど」


 アレクセイ様、ホワイトデーに指輪を贈る方が愛が重いと思います。最高である。

 私の脳を焼き、とうとう滅する気でしょうか?



「他には、飴や、マドレーヌ、バウムクーヘンとか……マカロンなんていかが?」


「バウムクーヘン?

 エウロペ大陸中央諸国の、地方に伝わる焼菓子ですか?

 知っているほうが珍しいですよ。流石博識ですね。


 しかし、あれは作るのに時間がかかるはず」


 そんな馬鹿な。

 前世だとオヤツやお土産の定番じゃなかった?


 前世のおばあちゃんと兄貴がよく食べていたわよ?



「とすると、キャンディ?」


 いわゆる飴ちゃんかー。

 前世の喉弱い友達が、のど飴を常備していたのを思い出すわね。



「……出来れば、こう、特別感が欲しいと申しますか」


 うーむ。上流階級の方がやると禁じ手になりそうではあるけれど。


「それでしたら、アレクセイ様。

 マドレーヌやマカロン、手作りします?」


「……むう。マカロンがいいな」



 ということで、急遽マカロン手作り講習会!

 ウチのキャルロットのお屋敷の厨房を貸し切って開きました。


 講師はフレイ様。

 参加者は私、アレクセイ様と、ウィンデール様。

 そして。


「アレクセイ様。

 貴方は究極的に不器用でしょう?

 なのに何故、手ずから菓子を作ろうとしているのです!」


 アレクセイ様を心配&監視してやって来たヨハネスである。律儀な奴ね、貴方って人は。


「オレ、せっかくの非番なのに。

 何で休み返上でエリーゼお嬢ん所で、焼菓子講習会やらなきゃならないんだよー……」


 愚痴を言うフレイ様。


「まあまあ、謝礼は弾みますから。


 そうね、あえて言うなら……アルヴェイン帝を見抜けなかった罰?

 リオを守りきれなかった罰とか?」


「ぐうっ!その節は申し訳ありませんでした……」


「ごめん、フレイ様。冗談!冗談だから!」


 思っている以上にフレイ様には効果覿面、急所に入ってしまったようですわ。


「まあまあ、せっかくの機会だしさー!

 男の人でも焼菓子作れた方が楽しいんじゃない?」


「先生、是非ともよろしくお願いします!」


 アレクセイ様が几帳面にフレイ様に挨拶する。


「って、ドルンゲンのアレクセイ将軍?すっげー!

 あの東方戦線の英雄じゃん!本物?

 うわー、ドルンゲンの白獅子に頭下げられるとかプレッシャー凄いわ……オレちょっと怖い……」


 驚いて、身を縮こめるフレイ様。

 流石にアレクセイ様の武勇を聞いているみたいね。


「申し訳ありません、フレイ様。

 ウチのアレクセイ様がご迷惑をおかけします」


「いや、ヨハネスさんが謝ることでもないし……。


 まあ、やるからには白獅子将軍様でも手を抜かないけれどな?

 まずは手洗いうがい、エプロンをする事。キッチンは衛生的に!」


 フレイ様は私に質問してきたわ。


「なぁ、お嬢。ところでマカロンって、マカロン・ド・ナンシーでいいのか?

 あれ、母さんが好きでよく作ってたんだよな」


「ふふふ、それにさらにチョコレートクリームをサンドするのよ!」


「うわぁ、それ美味しそうだなぁ!


 用意するものは、


 マカロンコック用。

 マカロン・ド・ナンシーの材料だな。


 ・粉砂糖

 ・アーモンドパウダー

 ・卵白

 ・グラニュー糖

 色付けはカカオでいいかな?


 チョコレートクリームは、

 ・チョコレート

 ・生クリーム


 ……まあ、こんな所かな?」


「残った卵黄はどうするの?」


「あー、オレの方でカスタードクリームにでもするわ。


 まずは、粉砂糖とアーモンドパウダーをふるいにかける。

 振るい器使ってくれよ?

 無いならザルで代用出来る」


「おや、菓子なのにバターは要らないのですか。

 砂糖、結構な量が入りますね」


 アレクセイ様が目を丸くする。


「菓子なんてそんなもんですよ、アレクセイ将軍」


「ふむふむ。ふるったよー」


 ウィンデール様は慣れた手つきで振るい器を取り扱っているわ。


 ヨハネスは黙々と的確に作業しているわね。

 流石、庭師しているだけあって職人のようだわ。



「次に卵白を角が立てられるぐらいまで泡立てる。

 その後低速で艶がしっかりと出るまで混ぜてくれ」


「思っている以上に手首に負担がかかりますね」


 その割に顔色を変えずにヨハネスがコメントするわ。


「フレイ先生ー、魔法で撹拌していいですかー?」


 ウィンデール様が不貞腐れた駄々っ子の様に提案するわ。


「別に構わないよ」


「あ!それいいなぁ、僕にも教えてくれます?」


 アレクセイがウィンデール様提案の撹拌の魔法に飛びついたわ。面倒だものね。



「振るっておいた粉を、卵白がつぶれない様に少しずつ混ぜます」


「力任せではいけないのか……難しい」


 アレクセイ様、苦悶の表情で恐る恐る混ぜる。


「混ぜたものを絞り袋に入れ、同じ大きさの円状に成型する。


 この時、大きな気泡を潰しておくと形が綺麗になるぞ。


 オーブンを150℃に加熱させている間、マカロンコックの生地を指で触れるくらいに乾燥させる。


 150℃に予熱したオーブンを、140℃に下げて、マカロンコックの生地を焼いてっと……」


「一段落か。焼き上がりが楽しみだな」


 ヨハネスが額の汗を腕で拭きながら言ったわ。



「この間にガナッシュを作るよ。


 まずはチョコレートを細かく刻み、湯煎で溶かす」


「わー!チョコレートを切るのって危なくなーい?」


 ウィンデール様が困惑するわ。


 アレクセイ様は包丁を手に慌てているわ。


「包丁とチョコレートが滑る!」


 いくら戦場に出ている将軍といえども、慣れない調理にはタジタジよね。




「溶けたら、生クリームと混ぜて。


 今度は氷水でボールを冷やして、クリームを好きな固さにする」


「ふむふむー」


「焼き上がったマカロンコックにガナッシュを挟んで、よし完成だ」


 皆で思い思いに、マカロンにチョコレートクリームをサンドする。


「やった!完成ー!セシリー喜んでくれるかな?」


 ご機嫌なウィンデール様。形や見た目は申し分ないマカロンを作り上げたわ。

 ヨハネス、貴方はプロかな?フレイ様と遜色ない形のマカロンだわ。器用すぎる。



 一方、アレクセイ様がしょんぼりしている。


「……どうして、僕のマカロンは形が歪に……?」


 アレクセイ様のだけ、マカロンコックの上下で少し形がズレているわね。

 なんかボコボコしているわ。

 ガナッシュもはみ出てしまっているしね。


「初めてにしては上出来ですわ」


 流石に私もフォローを入れるわ。



 騒ぎを聞きつけてやって来たカメリアは。


「エリーゼお嬢様?アレクセイ様?

 厨房で何しているのですか?

 奥様に怒られますよ……」


「カメリア?!これは、その。

 失敗しちゃったから見ないでくれ……」


 慌ててマカロンを隠すアレクセイ様。

 まるで子どもの様だわ。


「皆でマカロン焼いていたのよ。プレゼント用にね?」


 私がカメリアに伝えると。


「……アレクセイ様。

 差し出がましい様ですが、そちらを毒見を兼ねて味見しても?」


「僕が君に贈るマカロンに毒なんか入れるものか!……あ」


「マカロンを私に?下さるのですか?」


 カメリアは、ヒョイッとアレクセイ手作りのマカロンをつまみ上げて一口食べる。


「アレクセイ様、卑下なさらないで下さい。

 形は……改善の余地ありですが、これは慣れが解決する事。

 味はすごく美味しいですよ?」


「本当?カメリア、一緒に食べよう!

 ……あ。セルシアナエリーゼ嬢、フレイ殿ありがとうございます!

 それに皆さんも是非ご一緒にマカロンを」


 柔らかに微笑むカメリアに、アレクセイ様の満面の笑顔。

 最高のスチルよ……!


「いえ、もうお腹いっぱいですわ……!」




 なお、教会へ聖職者教育を受けに行ったロジーに、マカロンを届けに行ったフレイ様は。


「何でアタシも呼んでくれなかったんですか!?」


 と、理不尽に怒られたそうですわ。



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