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限界オタクが悪役令嬢に生まれ変わって最推しに出逢えて尊い!ので、推しの闇落ちルートを全力回避します  作者: 睦月のにこ


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第二部・仮面舞踏会の夜、宿命の再会イベントが始まりました。

「どうか静かに。

 この事はくれぐれもご内密に。

 でなければ、貴方を口封じしなくてはなりません故」


 カメリアは妖艶に、でも凍りついた仮面の様な瞳で忠告する。


 その姿があまりにも綺麗で、私は思わず息を止めて魅入ってしまった。


「……ひぇっ!」


 私はすぐさま我に返って、咄嗟に逃げ出す。

 人が倒れていた!?カメリアのせいよね?


 怖い怖い怖い!

 まだ心臓がバクバク言っているわ。



 うん、落ち着いて。一旦落ち着いて整理しよう。


 カメリアのさっきの件は、今後一切口外しない。

 墓場に持って行くつもりでスルーしましょう。


 あくまで、今の私の目的はリオとの合流よ。

 早くリオと合流してお屋敷に帰りましょう。


 ひょっとしたらリオと行き違ったのかも知れない。



 私は深呼吸してから、舞踏会の会場に戻ると。


「助けてください!キャルロット嬢!」


 白金の髪の美丈夫に捕まった。

 アレクセイ将軍だわ。


 パニックになってるのに、私は何をしているのだろうか?


 控室のカーテンの影にアレクセイ将軍を匿い。

 私はそれとなくその前に立って何とか誤魔化す。


「あら、そこの貴方。アレクセイ将軍はどちらに行かれたのかしら?」


「あのお方なら、向こうの噴水のフロアへ」


「もう!せっかくの玉の輿のチャンスが逃げてしまいましたわ!」

「時間もない事ですし、他の殿方に当たりましょう」


 私はとっさに女性陣を嘘で誘導する。


 するとアレクセイ様を追いかけ回していた女性陣は、そちらにぞろぞろと去っていったわ。


「……行きましたよ。アレクセイ様」


「ああ、良かった。助かりました。

 僕はお恥ずかしながら、どうにも女性が苦手で……」


「え、その顔で女性が苦手とな?

 その顔と容姿で?」


 しまった。

 動揺しているせいか、本音が声に出てしまったわ。


 するとアレクセイ将軍は恥ずかしそうに、頬をかきながらポソリと本音を漏らしたわ。


「顔、ねぇ……僕自身、自分の顔はそれほど好きではないのですがね。


 僕は幼い頃から、基本的にベルツの領地のお屋敷でずっと勉強漬けで暮らしていて。

 同世代との関わりがあまりないのですよ。


 それに、思春期から長らく士官学校や軍などの男性社会にいたせいもあって、不慣れなのです。


 女性と共通の話題があまりないので、とにかく会話が続かなくて……」


 そんな馬鹿な。そんな事があり得るのか。

 それはそれとして、教育虐待めいた生い立ちね……。


 私はてっきり、アレクセイ様は女性関係も百戦錬磨の常勝将軍なのかと思っていたのに……!


「キャルロット嬢は、あまり緊張せず話せるので助かります。

 どうか、一曲踊りませんか。

 さぁお手を、レディ?」


 そう言って、強引にダンスに連れ出すアレクセイ将軍。


「いえ、アレクセイ様?今それどころじゃ……

 リオとはぐれてしまって……!」


 カメリアの事もあるわね。

 いっその事相談してみるのも手かしら?と思った矢先。


「……キャルロット公爵令嬢。


 単刀直入に伺う。

 君の家にカミーリアと言うメイドはいないか?


 リヤ嬢は何処の出身か、知っているのだろう?

 リヤ……いや、カメリアは!?」


 嘘でしょ?間が悪過ぎる。


 つい先ほどカメリアは、どなたかを始末してましたなんて言えないわよね。

 そもそも、これって答えていいやつなの?


 だが、私は震える手で、いつの間にやらダンス会場を壁伝いに、こっそりと移動しているカメリアの方向を指し示す。


 カメリアはウォールフラワーを決め込みながら会場から逃げるつもりだわ。


 そうはさせませんわ!


「あら、奇遇ですこと。

 彼女は今宵の仮面舞踏会に参加していましてよ。

 カメリアならあちらですわ。


 アレクセイ様ってば、彼女と二人きりになりたいのでしょう?

 さあ、早く行ってらっしゃいまし」


 と、アレクセイ様の背中を押して、カメリアの元へ送り出す私ですわ。


 何故なら、その答えは簡単な事よ。

 だってこれは、次作ゲームの序盤導入イベントだからよ!


「ようやく見つけた……!

 やはり君だな?カメリア!

 私の元婚約者、カミーリア・バートン!」


 アレクセイ様は無我夢中になってカメリアの手を取る。


「嘘、アレクセイ様?!

 アレクセイ・ヴァン・ベルツ様が……私の元婚約者の貴方が、何故ここに?

 どうしてわたしを?!」


「やっと……やっと見つけた!もう離さない!」


 そうして二人はワルツを踊り出す。

 長らく引き離されていた時を取り戻すように。



 私の前世には、幾つか推しのカップルがいた。


 ミステリアスローズの次作『凍てつく宮殿の身代わり皇妃は4人の騎士に愛される』は正直言って、苦手だったのよね。


 大貴族のご令嬢の身代わりとして差し出されたヒロイン。

 美しくも悲しい物語と裏切り策謀の交錯する北の帝国で、攻略対象の騎士とともに皇妃に成り上がっていくサクセスストーリーなんだけれど。


 ゲームの内容が大人向けになってしまい、なかなか重い展開が多くてね……。



 でも、アレクセイ×カメリアの、幼馴染ながらも大人の都合で引き離されてしまったカップルだけは推せる!だった。


 私はどうも、幼馴染が引き離されるも後年再会して……というシチュエーションに弱いみたいですね。


 だからゲームの冒頭のシーン、運命の再会をする仮面舞踏会で華やかに踊る二人を眺めて、ガッツポーズを取るのも、無理のない事だったのよ。


 他のルートは……ちょっとね。

 アレクセイ様からヒロインを奪うみたいで……駄目でした。

 アニメ化もしたけれど、not for meってやつかなー。



 次作の何処かでいいから、リオネル様を幸せにして欲しかったな!……流石に無理か、無理よね。



 ワルツの旋律に合わせ、ターンすると2人の距離が近づいた。


「あのバートン領が焼き払われた内戦から君が行方知れずになったと聞いて……

 僕がどれだけ絶望した事か……!

 一体、今まで君は何処で何をしていたんだ?」


「……レディーの秘密を探るなんて、無粋な方ね」


 不意にアレクセイ様の仮面と、カメリアの仮面が近づく。

 今、仮面越しにキスしましたわよね?


 もう一度!スクショ撮る!

 ワンチャン!ワンスモア!

 

「カメリア。どうか、僕と結婚して欲しい」


 突然アレクセイ様の直球プロポーズ来ましたわよ!

 恋愛の順序と言うものをすっ飛ばしましたわ。

 早い、早すぎる?


 でも、生で聞けて良かった。

 これで前世のオタク人生に悔いはない……!


 と、私はそそくさとウォールフラワーよろしく、壁に寄りかかって後方腕組み理解者面して頷いているわ。



 ……だが、現実とは厳しいものなのである。


 カメリアの薄紅の瞳が一瞬揺らいで。


「……お断りしますわ。

 今の私にはとても」


 一瞬にして、私の色と音が失せましたわ。


 ……何故なのカメリア、なんで断るのよ!

 これって運命の、いえ宿命の再会じゃないの?


 残念ながらこれはゲームの進行通りだけど!



 そして、どなたかが私の肩を叩くわ。

 何よ?良いシーンの途中なのに無粋じゃない?


「もし、一曲どうです?レディ」


 そこにはダンディーなイケオジ様が。


 白髪混じりのブラックパールの様な髪をオールバックにしてますわ。

 仮面からは銀の瞳がギラギラと輝いている。


 どことなく、仮面から覗く目鼻立ちがアレクセイ様の雰囲気に似ている気がしますわ。



「あら、エリーゼと申します。貴方は?」


「……アルヴィと申します。


 今宵の宴は、なかなかに面白い催しですな。

 仮面を被れば貴賤の差もなく、共に祭りを楽しめるとは。


 おかげで、私の様な卑しい身分の異邦人でも、貴女の様な高貴なご令嬢とダンスを楽しめるのですからな」


 ……あれ?

 この方が仰っている事に違和感を覚える。


 この仮面舞踏会は確かに民間の人も楽しめるとは銘打っている。

 それでも紹介制チケットを買うにしても、日本円にして100万以上と高額で販売されているはず。


 それに、ドレスコードもある。

 仮面舞踏会のコンセプトに相応しい、主催者側が用意した豪華な衣装のレンタル代に60万かかるなんてザラ。

 


 ホテル代も相当高騰していると聞いたわ。


 この会場に入れると言うのなら、卑しい訳がないのよ。


「時にお嬢さん。

 トラヴィエッタ……カミーリア・バートンという名の女性に心当たりはお有りかな?」


「あら、お世辞は結構ですわ。

 その女性に心当たりはありませんね」


 私は咄嗟にシラを切る。

 何故なら強烈な違和感が迫りくるから。


 この方をカメリアに会わせてはいけない。

 何故だか分からないけれど、そんな気がする。


「むう、それは残念……

 しかし、これほどまでにお美しいとは。

 思わず心が奪われてしまいそうだ」



「残念ながら、私には心に決めた婚約者がおりますもの」


 私はキッパリと言い放つ。

 するとアルヴィはにたり、と微笑んだ。


「これはこれは、手厳しい。


 流石、セルシアナエリーゼ・フォン・キャルロット公爵令嬢。

 青薔薇の聖女でありながら、フィオナ新国王とクーデターを仕掛けた鉄の女。


 実に興味深い。

 ぜひとも我がドルンゲン帝国の皇后に……」

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