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『異世界の記録:3人のパーティー』  作者: Hikaru Taka
第6章: 暗い不確実性

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第76話:3日間降り続く雨

雨がやむのを待つ以外にやることがなかったため、6人は事実上、宿に閉じ込められた状態だった。

しかし、悪いことばかりではなかった。彼らはぶらぶらと過ごしたり、おしゃべりをしたり、くつろいだりしていた。幸いにも宿は広々としており、彼らを含めて現在宿泊しているのは12人だけだったため、動き回ったり、ゲームを準備したりするのに十分なスペースがあった。

これほど自由な時間が続くと、徐々に退屈が忍び寄ってくるものだが――タカだけは別だった。彼は、向かいに座る自称「チェスの達人」から教わるチェスの奥義を学ぶことに、大いに夢中になっていた。最初は絶対に理解できないだろうと思っていたが、プレイを重ねるにつれて、その仕組みを徐々に把握できるようになっていった。 正直、とても楽しかった。とはいえ、ベリルに勝つことなど、まだ一度もできていないのだが。

ベリルは、なんとアーサー――あのアーサーだ――を説得して、機材をいじるのをやめてチェスを習うように仕向けるという、奇妙な奇跡さえ成し遂げていた。アーサーの腕前はひどかった。しかし、ベリルが動揺する様子を見るのは最高に面白く、それだけで十分な娯楽になった。そういう面もあったのだ!

……そして、アーサーがどういうわけかベリルに勝ってしまった試合が訪れた。ベリルはそれを素直に受け入れられず、どうやって勝ったのか問い詰め、不正をしたと非難するなど、ありとあらゆる文句を並べ立てた。

「まるで戦争みたいだ」と、アーサーはついに無表情で説明した。それがどういう意味なのか、誰も分からなかった。誰も尋ねようとはしなかった。

ある朝、宿屋の主人が彼らのカードゲームに加わった。彼は陽気な人間の男性で、髪は薄くなり、手入れの行き届いた髭を蓄え、平凡だが優しい顔立ちをしていた。彼によると、レルンでは「ここ数年、これほどひどい嵐は見たことがない!」とのことだった。

笑い声と喜びが、その小さな空間を満たした。やがて、他の客たちも加わり――皆で一緒にいると、宿はまるで何らかのゲーム……あるいは隠れ家のような場所になった。世界を破壊した恐ろしい雨から身を隠す小さな共同体……その考えに、彼は思わず微笑んだ。馬鹿げたことだった。だが、そんな考えが浮かんだということは、彼はうまく現実から気をそらせていたということだ。

「今この瞬間に集中しろ」――彼はそう自分に言い聞かせた。

「あのことなんて考えちゃダメだ! いや、いや」

これまで、タカは自分がどれほど休息を必要としているか気づいていなかった。この状況が永遠に続くわけではないと分かっていたため、彼は今この瞬間を精一杯生きようと決心し、これまでに起きた恐ろしい出来事にとらわれないように努めた。言うは易く行うは難し……

とりわけ、クルルに関してはそうだった。最近、タカは彼のことを真剣に心配していた。あの日以来、クルルは一度も――心から――笑うことがなく、口数も激減していた。ほとんどの場合、ただ座って、窓の外や天井の梁を陰鬱な表情で見つめているだけだった。睡眠も十分にとれていないようだった。 時には 自分が何をしていたのか、何を聞かれたのかを忘れてしまったり、返答に時間がかかりすぎたりすることもあった。

全体的に、彼はよそよそしく、ぼんやりしていた。彼らが遊ぶどのカードゲームでもひどい手を出し、明らかに勝っていたはずのチェスの対局でも負けてしまう――ある時は、ベリルに3回連続でチェックを食らわされたほどだ。

二日目以降、クルルはゲームそのものを一切拒否するようになった。彼は隅で黙って座り、お茶を飲みながら、ただ耳を傾けていた。目には笑みが浮かばないまま、周囲の心配を笑顔で一蹴していた。少なくとも食事はとっていた。それでも、本当に悲しかった。エキルは彼に心を通わせることさえできなかった……そしてエイライアも、どんなに努力してもできなかった。誰もできなかったのだ。

静かな時間はさらに辛かった。タカは自分の思考と二人きりになるのが嫌だった。本も持っていなかったし、ベリルが勧めてくれた本もどれもそれほど面白くなかった。とはいえ、思考の声がこれ以上大きくなるのを防ぐためだけに、一冊手に取って無理やり読み通したことはあった。彼が最も望まなかったのは、あの光景を再び目にすることだった。

タカは時折、窓の外を眺めた。ガラスに人影を描いたりもした。雨を眺めるのは心地よかったが、見ている時間が長くなるほど、思考が忍び込んでくるのを防ぐのが難しくなった。

だから、エシルとベリルが読書にふけり、アーサーがアーサーらしいことに忙しくしている間、タカは本を読んだり、頭の中でチェスの戦略をシミュレーションしたり、あるいは今まで聞いたことのない新しい歌を創作したりしていた。

どれもそれほど難しいことではなかった――彼は昔から想像力が豊かだったからだ。デインの言葉が頭の中で響いた――「君は想像力が豊かだぞ、坊や! それは才能だ! 大事にしろよ!」

ゴブリンが登場するページに差し掛かると、彼は本をパタンと閉じて、慌ててベリルに返した。想像力を持つことなんて、時には呪いのように感じられると、彼は心の中で呟いた……

彼は残りの時間を、頭の中で物語を紡ぐことに費やした。ゴブリンとは何の関係もない物語だ。デインが話してくれたすべての物語の記憶を掘り起こし、それらを混ぜ合わせ、登場人物や舞台、出来事……を組み合わせて、自分だけの物語を作り上げた。彼は奇妙な衝動に駆られて、これらを書き留めようとしたが、ペンを紙に走らせた途端、自分が思いついた物語の正確な内容を思い出せなくなってしまった。苛立ちを覚え、彼は諦めた。

4日目、6人は、輝く虹が彩る青空の下で目を覚ました。タカは真っ先に玄関のドアを飛び出し、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んだ。そして微笑み、畏敬の念に満ちた眼差しで 上空を見上げた。ベリルたちも彼の後を追って外に出たが、ベリルの反応を見る限り、彼はタカの行動を馬鹿げていると思っていたようだ。

「あいつは別の場所でクソ野郎やってればいいさ。俺が幸せだってことに、あいつがどう思おうと知ったことじゃない」と、彼は心の中で憤慨しながらつぶやいた。

そう。これこそが「生きている」ということだ――太陽の温かな光と冷たい朝の風に包まれ、大切な人たちに囲まれていること。たとえその中には、同じ気持ちを持っていない者たちがいたとしても。

朝食後、クルルは席を立った。行き先は明かさず、「あいつに会いに行かなきゃ」とだけ言った。

エシルは眉をひそめた。「一緒に行こうか?」と尋ねたが、クルルは断り、エシルはただ眉をひそめるしかなかった。タカが彼の方を向き、目を輝かせて真剣な笑顔で言った。「あの、私、一緒に行こうか? そうしたら、きっと楽しいかも――」

「大丈夫、すぐ戻るから」

「わかった……」彼はもっと強く迫りたかったが、やめておくことにした。どうせ、「彼に会いに行く」という言葉が何を意味するのか、なんとなく察していたからだ。

卵料理を食べ終えたベリルは、喉を鳴らして飲み込み、クルルの方へ期待を込めた視線を向けた。しかし、彼の心からの心配の言葉さえも、一蹴されてしまった。

ついに、エシルが立ち上がり、真剣な口調で言った。「クルル、行く前に。本当に大丈夫なのか?

クルルは戸口で足を止めた。顔を向け、その顔にはかすかな微笑みが浮かんでいた。

「ああ。」

そして、彼は姿を消した。

『彼、大丈夫だといいな』

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